衆議院選挙2017を振り返る~有権者の投票したい政党はどう変化したのか~

9月25日、記者会見の場で安倍首相が衆議院の解散を表明すると、同日には小池氏が「希望の党」を発表。その後、「民進党」は「希望の党」への合流が提案・承認され、事実上の解党が報じられると、10月2日には枝野氏が「立憲民主党」の旗揚げを表明。選挙期間中は、各党の動向がニュースとなり、また「自由民主党」の勢い、「立憲民主党」の躍進、その一方で「希望の党」の苦戦など、選挙戦の情勢や各党の獲得議席数予想が報じられ、自らの一票をどの政党・候補者に投じるのか、これらの情報も参考にしながら検討した有権者も多かったものと思われます。

選挙期間の前後で、有権者の投票したい政党・実際に投票した先はどのように変化したのか

有権者が投票したい政党は、選挙期間中どのように推移していったのでしょうか。まずは、3回実施した調査それぞれの時点での投票したい政党の比率を、「今回の衆議院選挙に行くとして、あなたは、比例代表選挙ではどの党に投票しますか。」と問うた結果から振り返ります。
公示日翌日の10月11日から13日にかけて実施した「公示日翌日調査」時点では、「自由民主党」が18.6%と最も高く、次いで「希望の党」(9.4%)、「立憲民主党」(8.2%)と続いています。
しかし、10月16日から18日にかけて実施した「投票日1週間前調査」時点では、「自由民主党」(19.2%)に次いで「立憲民主党」が10.0%で高く、「希望の党」(7.0%)と順位が逆転しています。
さらに、投票日翌日の10月23日から26日に実施した「投票日翌日調査」時点になると、「自由民主党」(21.5%)に次いで「立憲民主党」は17.4%と、「投票日1週間前調査」時点の10.0%から7.4ポイント割合を伸ばし、一方で「希望の党」は8.1%と伸び悩み、今回の選挙戦の情勢を浮き彫りにする結果があらためて確認できました。

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では、有権者個人の中では、投票したい政党はどのように変化していったのでしょうか。今回の3調査はいずれも同一個人を対象に実施しているため、その結果から、得票数上位の「自由民主党」「立憲民主党」「希望の党」の3政党に着目しながら、投票意向政党の流入・流出と、実際の投票先を分析します。
まずは、「公示日翌日調査」から「投票日1週間前調査」の1週間弱での変化に着目します。すると、「公示日翌日調査」時点で「自由民主党」「立憲民主党」に投票予定と回答していた人では、それぞれ88%、80%が「投票日1週間前調査」時点でも同一政党に投票予定と回答しているのに対し、「希望の党」に投票予定と回答していた人では、変わらず「希望の党」に投票予定と回答した人の割合が57%にとどまっています。では、残りの43%はどの政党へと投票予定が変化したのでしょうか。多かったのは「決めていない」の17%で、一度は「希望の党」を投票予定先としたものの、この間の情報接触等々の影響もあってか、いま一度検討しようと考えた人が、「希望の党」投票予定者では他党と比べると多くいたようです。また、「希望の党」を投票予定先としていた人のうち10%は、「投票日1週間前調査」時点では「立憲民主党」へと投票予定先を変えていました。
続いて、「投票日1週間前調査」から「投票日翌日調査」の約1週間での変化に着目します。そこでまず目をひくのは、「立憲民主党」投票予定者の実際の投票率の高さで、「投票日1週間前調査」時点で「立憲民主党」に投票予定と回答していた人のうち91%が実際に「立憲民主党」に投票したと回答しています。一方で、「希望の党」を見てみると、先ほど確認した2時点での比較結果と同様、「投票日1週間前調査」から「投票日翌日調査」で同一政党を回答した人は55%と他政党に比べて低く、11%が実際には「立憲民主党」に投票したと回答しています。また、「投票日1週間前調査」時点で「希望の党」に投票予定と回答していた人のうち21%が実際には「投票に行かなかった」と回答しています。この割合は歩留まりが低かった「立憲民主党」の5%(図表では数値記載なし)と大きく異なり、また「自由民主党」(15%)と比べても高く、結果を左右した一因と考えられます。

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Key Point 1

投票したい政党、および実際に投票した政党は、有権者個人の中で変化。特に「希望の党」は投票予定者の流出が他党に比べて高く、投票日1週間前時点から25%が他の政党へ流出し、21%は投票に行かず。投票日1週間前時点で投票先を「立憲民主党」としていた人の9割が実際に「立憲民主党」に投票。

「立憲民主党」躍進の背景に“強い”判断、『確信度スコア』の分析から明らかに

ここまで、投票日前後の3時点で実施した自主企画調査の回答結果を見てきましたが、少し異なる観点から選挙戦を振り返ってみたいと思います。
今回の調査では「自由民主党」「立憲民主党」「希望の党」を含む9つの政党のうち認知している政党について「政党支持」(政党名を呈示した上で「支持している」「支持していない」「答えたくない・わからない」の3択)を確認しました。ここでは、「投票日翌日調査」時点において、各政党を「支持している」と回答した人について、回答の反応速度をインテージ独自の基準でスコア化(個人差が影響しないよう時間データを標準化)したものを『確信度スコア』として算出し、支持率とあわせてその結果を分析しました。
支持率が上位の5政党について結果を見てみると、「立憲民主党」は『確信度スコア』は20.0で、他党(「自由民主党」(5.6)、「希望の党」(12.1))に比べて高くなっています。このことから、「立憲民主党」支持者は回答に要した時間が短く、他党よりも支持の判断が強固であることがわかります。前項では、「投票日1週間前調査」時点で「立憲民主党」に投票予定と回答していた人のうち91%が実際に「立憲民主党」に投票した結果を確認しましたが、あらためて「立憲民主党」支持者の強い判断が衆議院選挙における「立憲民主党」躍進の背景にあることがわかります。

※『確信度スコア』は、スコアが大きくなるほど回答に要した時間が短く、「回答に迷いがない」ということを表します。回答時間を測定することによって回答者の潜在的な態度を測定する試み(レスポンス・レイテンシー調査)は、主に心理学の分野で研究が進んでおり、IAT(潜在連合テスト:ある対象に対する回答者の潜在的な態度について、反応時間データを用いて、対象とイメージワードとの連合強度を測定する手法)を始めとした手法が確立され、米ハーバード大学を始めとして研究が行われています。近年、マーケティングリサーチの分野においても、従来の質問方式では測定不可能な潜在的な意識を測定する手法として、反応時間データの活用が注目され始めています。

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Key Point 2

「立憲民主党」支持者は『確信度スコア』が他党支持者に比べて高く、このデータからも支持の判断の強固さがうかがえる。

東京都知事選「小池氏支持票」は何処へ流れたのか?同一個人ベースの分析で判明

今回の衆議院選挙では、「希望の党」や、その代表である小池百合子氏の動向が注目されました。では、東京都在住の有権者は、小池氏が代表を務める「希望の党」をどう見たのでしょうか。
インテージでは、2016年の東京都知事選直後に実施した調査のデータと今回のデータを同一個人ベースで紐づけ、「都知事選で小池氏に投票した人は、衆院選ではどの党に投票したのか」を分析しました。
その結果を見ると、都知事選で小池氏に投票した人の衆院選での投票先として最も高かったのは「自由民主党」で45.0%、次いで「立憲民主党」で19.0%。「希望の党」は17.5%で、東京都在住者全体の14.0%に比べると高いものの、それほど大きな差はありませんでした。なお、他の候補者に投票した人に目を向けると、都知事選で鳥越氏に投票した人では53.5%と半数以上が「立憲民主党」に投票したことも明らかになりました。

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Key Point 3

都知事選で小池氏に投票した人のうち、今回の衆院選で「希望の党」に投票した人の割合は17.5%で、「立憲民主党」の19.0%を下回る。鳥越氏に投票した人では半数を超える53.5%が「立憲民主党」に投票。


今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。なお、今回の自主企画調査では、全国の有権者を母集団としてその傾向を分析するための「基本設計」と、東京都在住の有権者を母集団として都知事選の投票データとの関連性を分析するための「特別設計」を設定しました。

【自主企画調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:[基本設計] 全国  [特別設計] 東京都
対象者条件:18-69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:[基本設計] n=1,205  [特別設計] n=879
調査実施時期:2017年10月11日(水)~10月13日(金)、2017年10月16日(月)~10月18日(水)、2017年10月23日(月)~10月26日(水)

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