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5年後はどうありたい?アジアの働く女性の価値観、国際比較

インターネットによって世界の情報格差が縮まり、世界的にライフスタイル・ビジネススタイルが変化しています。一方、世界各国には切っても切り離せない文化的・社会的背景があります。それぞれの国で生きる生活者は、どのようなライフスタイル・ビジネススタイルに理想を描いているのでしょうか。

インテージでは、「世界の働く女性たちが描く、5年後のありたい自分」をテーマに、日本、インドネシア、インドの3ヵ国の20~30代の働く女性たちに対して調査を実施しました※。さらにインテージ独自のリサーチ&創発プログラム「デ・サインリサーチ」により、彼女たちの意識の中にある未来を「マインドディスカバリーマップ」として見える化。(「デ・サインリサーチ」については、「生活者の隠れたニーズをあぶり出す、アイディア開発のためのリサーチとは?」で詳しく説明しています。)

この「マインドディスカバリーマップ」をインテージ独自のリサーチ&創発プログラム「デ・サインリサーチプログラム」(グローバルディスカバリー編)のワークショップにて読み込み、各国のインテージ駐在員の知見も踏まえて導出した、各国の働く女性が未来に寄せる「想い」を紹介しましょう。

働く女性の“なりたい自分”、国によってどう違う?

まずはそれぞれの国の特徴的な価値観を見てみましょう。

■日本:”自分らしく、無理はしないわ。”

図表1は日本の働く女性に、「5年後、あなたはどのような人でありたいですか?」という質問をして思い浮かんだ言葉を自由に入力してもらい、その結果を統計的に処理して作成した「マインドディスカバリーマップ」です。とても多くの言葉が集まってきました。全体を俯瞰してみると、「仕事と子育ての両立」「ワークライフバランス」「仕事とプライベートの充実」など“両立”を表す言葉が複数出現していました。家庭や趣味と仕事とのバランスを重要視しながら、心にゆとりがある安定した日常生活を求める声が聞こえてきます。

図表1

日本の20代・30代の働く女性が連想する「5年後のありたい自分」【全体俯瞰図】

このマップの中心エリアに注目したのが図表2です。あらわれているのは、他のさまざまな要素とつながりを持っている「連想の中枢」ともいうべき言葉たち。このエリアには以下のような言葉が見られました。

「ゆとり」「心に余裕がある」「安定した生活」「無理しない」「楽しく過ごす」

図表2

ソフトでゆったりした印象の言葉が並んでいます。何かを成し遂げるとか、挑戦するといったアグレッシブな未来ではなく、「心に余裕を持って楽しみながら、ゆったり過ごしたい」という価値観が浮かび上がってきます。また、行動を表す言葉としては、「手作り」「食べ歩き」といった言葉が登場しています。友人と美味しいものを食べ歩いたり、自分で料理を手作りするなど、無理をせず楽しく穏やかな時間を過ごすことに幸せな未来を感じるのでしょう。

■インドネシア:“一生懸命に働くわ。バーチャルアシスタントが味方よ!”

続いて、インドネシアの働く女性の「マインドディスカバリーマップ」から、彼女たちの価値観を探ってみましょう。

全体的に電化製品や自動車、服などの耐久消費財や、バケーションといった裕福な暮らしを象徴するワードが多く出現しており、日々の生活に物質的な豊かさを求める声が聞こえてきました。

また、中心エリアに見られたのは以下のワードです(図表3)。
「ハードワーク」「責任を持つ」「一生懸命仕事をする」「子供の教育」
「バーチャルアシスタント」「効果的」

図表3

インドネシアの20代・30代の働く女性が連想する「5年後のありたい自分」

ここで出てきた「バーチャルアシスタント」とは個人の活動をサポートするITサービスの総称で、Appleの「Siri」やGoogleの「Google Now」などが代表的な例となります。
責任感を持ってハードに働いて、服も車もバケーションも、好きなモノを手に入れたいし、子供の教育も頑張りたい。バーチャルアシスタントはそんな生活を賢く豊かに送るためのキーの様です。

■インド:“夢をもって人生を創り出していくの。幸せな生活をおくる成熟した私。”

最後はインドの働く女性の「マインドディスカバリーマップ」です。希望、パワー、冒険など、チャレンジ精神を表す言葉が多く出現しています。近未来に前向きに立ち向かっていこうとする力強い声が聞こえてきました。

中心エリアには以下のワードが見られました(図表4)。
「夢」「創造性」「力」「幸せ」「希望」「成熟」「ノートPC」

図表4

インドの20代・30代の働く女性が連想する「5年後のありたい自分」

自分が成長し、夢もかなえたいし感性も磨きたい。そのためにポジティブな気持ちで頑張ることが大事、という価値観が見えてきます。ここで仕事を頑張るうえでノートPCが重要と感じているようです。

日本は「ゆとりと安定」。インドネシアは「努力と豊かさ」。インドは「挑戦と成熟」。3カ国の働く女性の「5年後になりたい自分」を通して、各国の価値観の違いが浮き彫りになりました。

働く女性にとっての「成功」とは?

次に、3カ国いずれにも共通して出現した“Success”という言葉に注目して「マインドディスカバリーマップ」を読み解くことで、その言葉が持つ“潜在的な意味”や背景の違いを比較してみましょう。

■日本:転勤したり、ママ友ができたり。大きな変化から小さな変化までうまく手に入れられる自分でいたい

日本の「マインドディスカバリーマップ」では、「成功」という言葉に関連性が強いのは以下の言葉です(図表5)。
「転勤」「新車」「家電の買い替え」「ママ友」「昇進」

図表5

日本の20代・30代の働く女性が連想する「5年後の成功」

転勤や昇進といった大きな変化や、家の内外の小さな変化を表す言葉が特徴的です。これらの言葉を繋ぐことで、このような声が聞こえてきました。

「5年後はきっと、私のライフスタイルも変わっているはず。そこでもきちんと自分の居場所は確保したい。目立ちすぎず、でも前向きに。変化をうまく自分のモノにできる、それが「成功」。」

先に出てきた「安定した日常生活を求める」という価値観が「成功」に関する考え方にも反映されているようです。

■インドネシア:何事にも感謝して、努力していけばいつかハジにも行けるし、自分の土地も持てるはず

インドネシアの「マインドディスカバリーマップ」で「成功」という言葉に関連性が強いのは以下の言葉です(図表6)。
「感謝する」「努力」「ハジ(インドネシア語でメッカ巡礼)」「信仰心が強い」「家族」「土地」

図表6

インドネシアの20代・30代の働く女性が連想する「5年後の成功」

「成功」の象徴が、ハジへ行くことと土地を持つことだと読み解けます。そのために、何事にも感謝して、努力する。これらの言葉を繋ぐことで、このような声が聞こえてきました。

「仕事だ、家庭だという前に、大切なのは、信仰を守り続けること。自分自身はもちろん、家族もいつかハジに行かせてあげたいし、自分の土地も持ちたい。そのためにもがんばらなくちゃ。」

「成功」というと、人生の成功=精神的な豊かさといった捉え方をし、仕事でお金を得ることとは切り離して考えているようです。努力を重ねて家族と豊かに暮らすと同時に、神への信仰を大切にするインドネシアの女性の価値観が見えてきました。

■インド:ママみたいにきれいで、仕事も家事もバランスよくこなせる人こそ成功者よ

インドの「マインドディスカバリーマップ」で「成功」という言葉に関連性が強いのは以下の言葉です(図表7)。
「ママ」「家族の時間」「完璧」「美人」「仕事」「やる気に満ちた」「ワークライフバランス」

図表7

これらの言葉を繋ぐことで、このような声が聞こえてきました。

「単に仕事ができるだけじゃダメ。美貌も才能も、家族との時間も、モチベーションだってすべてを持ち合わせていること。そう、私のママみたいになりたい。」

「挑戦と成熟」を求めるという価値観は、仕事に対してだけでなく、全方位に向けて発揮されているようです。

世界各国で異なる文化的背景や価値観。それらの違いをすべて把握し、各国の生活者の意識や行動を捉えていく作業は容易ではありません。そこでは、「マインドディスカバリーマップ」のように生活者の意識を丸ごと可視化し、その意味を探索することで見えない声を発見し、インサイトを発見していくという手段が有効となってきます。例えば何を「幸せ」と感じるのか。新たな発見がありそうです。

※インターネットでアンケート回答ができる環境にある人が対象となるため、一定の社会階層以上の人の価値観となります。

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今回の分析は、各国の女性に行ったインターネット調査のデータを用いています。
●プロジェクト構成 インターネット調査、ワークショップ ※『デ・サインリサーチプログラム』による調査とワークショップの複合プラン
●調査地域 日本/インドネシア/インド/アメリカ 
※本調査では各国、全域を対象、本記事ではアジア圏の結果のみ紹介
●対象者条件 女性 20~39歳 有職者
●調査時期 2018年9月
●標本サイズ 日本:670s インドネシア:600s インド:541s アメリカ:581s
●標本抽出方法 日本:インテージネットモニター(マイティモニター) 海外:MAppsモニター
●分析方法 1)PAC分析を応用した解析ツール『PAC-i』によって、『マインドディスカバリーマップ』を各国ごとに2言語作成(日・現地語)。

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PAC-i
定性調査で実施するPAC分析を定量調査で実施し、マップを生成することで、対象者全体の価値構造を明らかにします。
2018年12月 PAC分析学会の登壇レポートはコチラ
デ・サインリサーチ
豊富なリサーチデータを基に、多様なプロフェッショナルメンバーでワークショップを行うことで、新しい商品/サービス/コミュニケーション開発を支援するプログラムです。東京大学大学院情報学環 安斎勇樹先生と、リサーチデータを活用した新商品開発プログラム構築のための産学共同研究を行っています。
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2017/20170713.html

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