

物価高の影響が長期化する中、生活者の「推し活」のあり方にも変化の兆しが見えてきました。全国5,000人を対象にした今年1月の調査から、シニア層を中心とした推し活人口の落ち着きと、その一方で加速する1人あたり支出額の増加傾向が明らかになりました。ジャンルごとの消費変化や、値上げにとどまらない「熱量の高まり」がもたらす市場動向を紐解きます。
推しを持つ人は全体の33.6%で3人に1人。男性に比べて女性で高く、男女ともに若年層ほど推しを持つ傾向があります。最も高かったのは女性15-19歳で、75.9%にも及びました。昨年と比べて男性60代で-3.8ポイント、70代で-10.5ポイント、女性70代で-5.0ポイントと、シニア層での減少が目立ちます(図表1)。昨年の調査では、「推し活」は物価高の影響を受けにくく、その傾向はシニア層でより顕著という結果でした。一方、今回の調査では、特に60代で「影響する」と回答した人が増えており、長く続く物価高の影響がシニア層の「推し活」にも及び始めている可能性がうかがえます。
図表1

次に、どのようなジャンルを推している人が多いのかを見てみましょう。「国内のアイドル」が最も多く、全体の9.4%。「ミュージシャン・バンド」(8.3%)、「アニメ」(7.4%)が続きました。なお、推しを持つ人が、「推しがいる(ある)」と回答したジャンル数は、昨年の平均2.3から、今年は2.0ジャンルとやや減少(前年比87.0%)。全年代で減少しており、推しの対象を絞っている傾向がうかがえます(図表2)。
図表2

ここまでで、「推し活」は一定の落ち着きを見せつつあるように見えます。しかし、過去1年間の支出を見ると、多くのジャンルで増加していました。
中でも、「ゲーム」に対する平均支出は、昨年の14,116円から36,698円へと2.6倍に増加しました。ゲーム機「Nintendo Switch 2」や、人気ソフトの発売が影響したと考えられます。
また、「アニメ」の平均支出も、昨年の11,259円から22,584円へと2.0倍となりました。人気キャラクターとのコラボ企画やグッズの発売、「劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」などアニメ映画の公開・ヒットなどが後押ししたと考えられます(図表3)。
図表3

支出額が増加した理由を見ると、上位3項目は、「グッズや関連商品の購入が増えたから」(45.7%)、「ライブやイベントに参加/回数が増えたから」(37.3%)、「推しへの愛情が深まったから」(36.1%)でした。一方、「チケットやグッズなどの価格が上がったから」(16.3%)は低く、「推し活」支出の増加は、物価高よりも活動を増やしたことによるものと考えられます(図表4)。
図表4

最後に、どのようなジャンルの「推し」が多いのかについて、男女、年代別に見ていきます。
男性では、10~40代で「アニメ」、40代以上で「ミュージシャン・バンド」が上位となりました。「スポーツ(スポーツチーム/スポーツ選手)」は30代で1位となっており、50代以上でも上位にランクインしています(図表5上図)。10代に注目すると、調査開始(2024年)以来1位を維持していた「YouTuber/VTuber」を、今年初めて「アニメ」が抜き、首位となりました。「YouTuber/VTuber」は昨年16.9%、今年16.8%で、同水準を維持しています。一方、「アニメ」は、昨年16.2%から今年22.1%と、約6ポイント増加しました。
同様に、女性を年代別に見ると、10~30代では「国内のアイドル」、40~60代では「ミュージシャン・バンド」で、70代で再び「国内のアイドル」が1位となりました。「アニメ」は10~30代で2位です(図表5下図)。
「国内のアイドル」は20代男性と幅広い年代の女性、「ミュージシャン・バンド」は40~60代の男女、「アニメ」は10~40代男性と10~30代女性が牽引していると言えます。
図表5

長引く物価高やライフスタイルの変化を受け、消費者の「推し活」は対象を精選し、より深い熱量を注ぐフェーズへと移行しつつあります。シニア層での沈静化が見られる一方で、若年層を中心とした1人あたり支出額の大幅な増加は、推し活市場の強固なエンゲージメントを象徴しています。単なる消費行動にとどまらず、生活者のモチベーションを左右する「推し活」の動向について、インテージでは今後も多角的に分析を続けてまいります。
<調査概要>
調査地域:日本全国
対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=5000 ※国勢調査にもとづき性別・年代・地域を母集団構成に合わせて回収
調査実施時期: 2026年1月14日(水)~1月19日(月)
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