グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(後編)

2018年3月1日(木)・2日(金)、ヒルトン東京お台場にて、「サステナブル・ブランド 国際会議2018東京」が、「REDEFINING THE GOOD LIFE (“グッド・ライフ”の再定義)」をテーマに開催されました。「サステナブル・ブランド国際会議(SB)」は、サステナビリティとブランドの統合をテーマとし、世界11カ国12都市で開催されている国際会議で、東京での会議は昨年に続き2回目となります。本会議に、インテージはシルバースポンサー及びリサーチパートナーとして参加。「日本の生活者にとってのグッド・ライフ」を再定義するための意識調査を実施し、結果を発表しました。

本記事「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(後編)」では、同会議で行ったインテージ定性ソリューションスペシャリスト星晶子の発表をベースに、生活者から集められた写真とエピソードから浮かび上がってくる「日本の生活者にとってのグッド・ライフ」の姿をご紹介します。

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日本人のグッド・ライフを作るのは?

「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)」では、インテージで実施した「日本人のグッド・ライフ意識調査」から、日本人がグッド・ライフを送る上で、【健康でありたい】【過剰ではなくて適度でシンプルな生活がいい】【家族や社会とつながっていたい】という3つの要素がキーとなっていることをご紹介しました。(関連記事はこちら

では、日本人にとってのグッド・ライフとは、具体的にどんな人生・生活なのでしょうか。生活者が送ってくれたグッド・ライフを表す写真とエピソードからは、【心身の健康と、適度でシンプルな生活を送れるだけの経済的安定を基盤に、大切な人・社会とつながっていて、自己の充実や成長を実感できる生きがい・やりがいを持っている】というグッド・ライフ像が見えてきました。

【健康】や【経済的安定】といったベーシック・ニーズが充たされてこそのグッド・ライフ

前述のように、心身の健康は、グッド・ライフの基盤です。生活者のエピソードからは、自身だけでなく家族など周囲の人も含めて心身ともに健康であるからこそ、働くこともでき、好きな趣味も楽しめて、毎日笑って暮らせるという声が聞かれました。

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「心」の健康については、グッド・ライフを送るには精神的な安定や余裕が欠かせないという声が目立ちました。「毎日が健康で穏やかに笑顔で過ごすことが「グッド・ライフ」と思うが、現実は思うように事が進まず、荒んだ気持ちになり、イライラが続くので「グッド・ライフ」な毎日ではない」(46歳男性)とあるように、心の余裕がないとグッド・ライフを送ることは難しいことが分かります。

また、「時間に余裕を持つのと同時に、余裕を持ち時間を作ることで心がすっきりし豊かな生活が送られるのだと気づきました。」(26歳女性)というコメントにあるように、時間の余裕と心の余裕が密接に結びついているという声も聞かれました。時間の余裕がないことから心の余裕がなくなり、グッド・ライフを送っていると感じられない、というエピソードも目立っていたことから、忙しい毎日の中でも「月に一度のネイル」(37歳女性)や「平日の昼間にカフェでお茶しながら読書」(44歳男性)といった小休止の時間を作ることが、心の余裕や安定を得る上では重要と言えそうです。

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一方、健康的な生活=グッド・ライフかというと、それだけではない様子も浮かび上がってきます。グッド・ライフを表す写真として送られてきた中にはたくさんの食べ物の写真が含まれていましたが、そのほとんどが脂質・糖質たっぷりの食事やスイーツでした。

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「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)」でご紹介したように、「日本人のグッド・ライフ意識調査」では、グッド・ライフを送る上で重視する項目として「健康的な食生活を送る」が1位に挙がっていました。しかし、「たべたいときにたべたいものをたべる」(25歳女性)、「美味しいラーメンを食べるのは至福である」(20歳男性)とあるように、幸福感・充足感をもたらしてくれるのは「健康的な食生活」とはまた別ものなのかもしれません。

また、グッド・ライフを表すエピソードや生活者自身の考えるグッド・ライフの定義からは、不安のない、安定した経済状態はグッド・ライフを送る上で不可欠であると考えられていることも浮かび上がってきました。経済的に良くなったので友人と外食や旅行を楽しめる、というコメントからは、お金がないことで、グッド・ライフの重要な要素である【大切な人とのつながり】にもマイナスの影響を与えてしまう場合もあることがうかがえます。

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「日本人のグッド・ライフ意識調査」でも、グッド・ライフの実現を妨げている要因として「収入」が最も多く挙がっています。「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)」で、グッド・ライフを送る上で「過剰ではなくて適度な、シンプルな生活」が重視されていることをご紹介しましたが、過度の贅沢は求められないものの、経済的な不安や家計の逼迫はグッド・ライフの実現を妨げていることが意識調査の結果からも見てとれます。GL02_Barrier.png

愛されている、必要とされているという実感が持てることで、幸福感や充足感がもたらされる

今回の写真・エピソードの収集調査では、大切な人からの愛情や絆の象徴や一緒に過ごす時間を写した写真など、【大切な人とのつながり】を表すたくさんの写真が集まりました。

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これらの【大切な人とのつながり】を表す写真からは、大切な人から愛され、必要とされている実感を持てることで幸福感や充足感を得られている様子がうかがえます。「大切な人」としてどんな関係の人が主に登場するのかは、ライフステージにより変遷が見られますが、【大切な人とのつながり】はどのライフステージでもグッド・ライフを作る重要な要素となっています。

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また、シーンとしては家族や恋人といった大切な人と囲む食卓や食事の場面が多く見られました。「毎日、家族揃って食事が出来る事!!」(59歳女性)、「子供も主人も元気に仕事学校に行って、夕飯の時に色々な馬鹿話をしている時。」(39歳女性)にグッド・ライフを送っていると感じる、という生活者のエピソードが示すように、「個食化」「孤食化」が指摘される今日でも、やはり皆で囲む食卓は一家団欒の象徴であるようです。

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「個」としての自己の充実も、グッド・ライフを送る上では重要な要素

「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)」では、グッド・ライフを送っている人は、【目標を持つ】こともグッド・ライフを送る上で重視している傾向にあることをご紹介しました。

「毎日部活で、目標に向かって練習していたこと」(21歳女性)、「過去に無理だろうな~と思うことでも無心に取り組んでいたなと思えることがあること。たとえかなってなくても。」(47歳女性)というエピソードからも、目標ややりたいことに向かって前向きに取り組むというプロセスそのものがグッド・ライフを送っていると感じさせてくれることが示唆されています。

写真・エピソードからは、【目標を持つ】ことも含め、自己実現・成長や、個人としての精神的な充実、生きがい・やりがいを持つことが、グッド・ライフを送る上で重要であることが分かります。これらの「自己」の充実においては、趣味・仕事が重要な役割を果たしています。趣味・仕事に共通して、自己実現や成長を実感できること、生きがい・やりがいを感じさせてくれるというエピソードが語られています。

また、趣味が、自己表現や精神的な充足感、解放感をもたらしてくれるのに対して、仕事は、仕事を通じて他者に感謝されたり社会に貢献できたりすることや、経済的な自立をもたらしてくれることで、グッド・ライフの実現に貢献してくれている様子がうかがえます。

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ライフステージで変わる、グッド・ライフのテーマ

尚、グッド・ライフの写真に表わされるテーマには、性別やライフステージで特徴が見られました。

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前述のように、【大切な人とのつながり】はどのライフステージでもグッド・ライフを送る上で重要な要素となっていますが、特に子育て世代の女性は、子どもを中心とした家族との絆や愛情表現、子どもの成長にグッド・ライフを感じている傾向が強く見られます。一方、男性は、特にアラフィフ以下の世代で、趣味や好きなことを通した「自己」の表現や「自分の時間」の充実を通してグッド・ライフを語る人が目立ちました。(しかし、子育て真っ只中のライフステージでは、その傾向が少し弱まる様子が見られました。)

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また、子どもが成長し巣立った後のライフステージでは、女性が「自分の時間」を楽しむ写真が多く見られました。子育てや介護がひと段落してようやく自分のやりたいこと、自分自身のための時間を存分に楽しめるようになったと考えられます。それに対して、男性は妻との絆を表す写真が多く登場。仕事を引退したり第一線を退いたりして生活が家庭中心になったためか、妻との時間がより大切になっているようです。

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改めて、日本の生活者にとってのグッド・ライフとは?

ここまで、写真とエピソードを通して「日本の生活者にとってのグッド・ライフ」とは具体的にどういったシーンやエピソードから成っているのかを見てきました。【心身の健康と、適度でシンプルな生活を送れるだけの経済的安定を基盤に、大切な人・社会とつながっていて、自己の充実や成長を実感できる生きがい・やりがいを持っている】というグッド・ライフ像は、実は目新しいものではなかったのではないでしょうか。

「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)」で、日曜夕方のTVアニメ『サザエさん』は、「日本人にとってのグッド・ライフのエッセンスである【健康】、【過剰ではなくて適度でシンプルな生活】、【家族や社会とのつながり】を感じさせる」とご紹介しましたが、今回の調査で明らかになったのは、今までになかった新しい価値観というよりも、日本の生活者にとっての普遍的なグッド・ライフの在り方と言えるのかもしれません。

『サザエさん』では、家族がちゃぶ台を囲んで、日常のちょっとしたことで笑い合ったり会話が盛り上がったりしています。『サザエさん』のようにちゃぶ台を囲む場面そのものは2018年現在では珍しくなっているかもしれませんが、今の生活者も『サザエさん』の登場人物と同様に、日々のちょっとしたことに楽しさや喜び、幸せを見つけています。

例えば、いつもの道で珍しい鳥を見かけたり、家の窓から虹やきれいな景色が見えたり、庭の花が咲いたり蝶が孵化したりというささやかなことに喜びや幸せを感じられること。また、コーヒーを飲んだり家族とくつろいだりといった普通の、平凡な日常を送ることができることに感謝する気持ちを持てること。

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こういった、ささやかだけれど日々にちょっとしたワクワク、幸せをもたらしてくれる「コト」に出会えること、そしてその「コト」を楽しめる心の余裕を持てることこそが、究極的には「日本の生活者にとってのグッド・ライフ」を形作っているのかもしれません。

今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【日本人のグッド・ライフ意識調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:18―75歳男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n= 2,240
調査実施時期:2018年1月22日(月)~2018年1月25日(木)

【グッド・ライフに関するエピソード/写真収集調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:16―69歳男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n= 2,122
調査実施時期:2017年12月27日(水)~28日(木)

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