新時代のクルマ利用はどの国から? 6カ国調査から見えた温度の違い

クルマを持つことがステータス。
ドライブのためにはクルマを購入する以外の選択肢がなかったのは一昔前。
今、日本では、近所の駐車場に停められたクルマをカード一枚でレンタルすることが可能になりました。
クルマはステータスシンボルのみならず、手軽にシェアする移動手段としてその在り方を変えつつあります。

今回はMaaSやCASEといった言葉が飛び交うクルマ事情を、世界の消費者はどうとらえているのか、
日本、アメリカ、ドイツ、中国、タイ、インドネシアの6か国で弊社が独自に行ったアンケート調査をもとに紐解いていきます。

※本記事内ではCASE・MaaSを下記の意味としています。
CASE・・・Connected(通信技術でつながる車) Autonomous(自動運転)Shared(カーシェア・ライドシェア)Electric(電気自動車)の頭文字をとったもの。
2016年パリモーターショーで独ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長が発信したことを機に、今後の自動車や新サービスの開発において重要な要素とされている。

MaaS・・・・Mobility as a Serviceの略。
情報通信技術を活用することにより全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念。

【目次】

各国のクルマ事情比較

はじめに、各国のクルマ保有者の運転頻度を比べてみましょう。(図表1)

図表1mobility-6country_01.png

日本以外の国では、7~8割のクルマ保有者が「ほぼ毎日」「週に4~5日」運転すると答えており、日常の足として自動車を利用している様子が伺えます。
一方、日本では「週に1日程度」「それ以下」と少ない人も約2割と多く見られ、公共交通機関の発達した日本の移動実態が、諸外国と異なっていることがわかります。

図表2はクルマ保有者の配車サービスとカーシェアの利用経験です。

図表2mobility-6country_02.png

配車サービスでは、アメリカ発のUberや東南アジアを中心に発展を続けるGrab、中国で広く普及するDidiといったサービスが有名ですが、日本やドイツでは法的な規制や業界団体の反発で普及が進まず、利用経験は低くなっています。
また、クルマ保有者がドライバーとして登録して利用することもできることもあり、中国やタイ、インドネシアでは特に利用経験が高くなっていることがわかります。

車を保有せずに複数名で共有するカーシェアサービスは、他国と比べて日本で特に利用経験が低くなっています。
クルマを保有しているため、カーシェアサービスを利用する機会が少なくなるのは当然と考えられますが、他国では「国土が広く飛行機等で移動して旅先で利用する」、「カーシェアの利用を経て保有に至る」など、様々な形で経験している様子がうかがえます。

進まない認知 日本はCASE・MaaS後進国?

各国のクルマ保有者に、CASE・MaaSという言葉を知っているかどうか聴取した結果が図表3です。

図表3mobility-6country_03.png

2つの言葉とも、「見たり聞いたりしたことがある」と答えた人は日本が最も少なく、それぞれ11.2%,12.2%にとどまりました。
一方、中国・東南アジアでの認知率は高くなっており、この分野に対しての興味関心が日本を除くアジア圏で高まっていることがわかります。

次に、CASEそれぞれのコンセプトについて、どの程度魅力に感じるかを質問しました。(図表4)

図表4mobility-6country_04.png

それぞれのコンセプトについて、タイとインドネシアで特に魅力に感じる人が多く見られました。
もちろん各サービスの実導入には道路事情やインフラ課題といった現実的な障壁もありますが、自動車に関する新サービスに対し、東南アジアの人々は非常に柔軟といえるでしょう。

進むシェアリング 今後のクルマ保有意向は?

ここからは、CASEの”S”にあたるカーシェアリングについて、もう少しみていきましょう。利用に対する抵抗感を聞いた結果が図表5です。

図表5mobility-6country_05.png

中国・東南アジアではここまでの傾向と同様にカーシェアや配車サービスに肯定的な印象です。
また、日本は双方とも抵抗を感じる人が最も多いという結果になりました。他の国と比べて、新しいものを受け入れることへの抵抗が大きいようです。

では、このままシェアリングや自動運転が進んだら、クルマを保有しなくなるのでしょうか。
10年後を想定して答えてもらいました。(図表6)

図表6mobility-6country_06.png

アメリカ・ドイツなどでは4~5割ほどが10年後クルマを持っていないだろうと回答しました。
一方、中国、東南アジアでは、日常生活の足として定着したクルマを、継続して保有したいという意欲は強いようです。また、保有することで配車サービスなどの商売道具として活用できるという点も、背景にあると考えられます。

改めて、今回の調査結果から各国を比較してみましょう。

mobility-6country_07.png

小さな国土に充実した公共交通機関と自家用車を購入できる経済状態で事足りているからでしょうか、日本のクルマに対する認識は、他国と比べて遅れているようです。CASE・MaaSの拡大は柔軟な中国・東南アジアから進んでいくのかもしれません。

消費者にとってクルマを取り巻く事情は変革の時期を今まさに迎えています。
移動手段に長所・短所があり、それをうまく使い分けることができる時代となりました。
各国、各企業で模索しながら開発が進められるクルマの新しい姿は一体どの国でどのように実現するのでしょうか。
100年に1度といわれる変革を迎えるクルマ業界の今後に注目が集まります。


今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。

【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査地域:日本・米国・中国・ドイツ・タイ・インドネシア
対象者条件:運転免許保有かつ月に1回以上運転
標本抽出方法:各国提携パネルより抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=508(日)n=510(米)n=510(中)n=510(独)n=510(尼)
調査実施時期: 2019/9/30~2019/10/11


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