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日記調査から読み解く、コロナ禍での「心が豊かになる生活」

3度目の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の適用範囲の拡大など、多くの人が制約を受けている現在ですが、1年を超えるコロナ禍の生活を経て、生活者は様々な工夫をして過ごしています。

この記事では、インテージクオリスが<n=1プロジェクト>として、コロナ禍でもポジティブな行動変容をした方を対象に実施している日記調査の結果から、「心が豊かになる生活」を送る工夫と、その背景にある気持ちを、インテージクオリスのリサーチャー太田 優香が読み解きます。

コロナ禍で注目の「植物」のある生活

この1年、誰もがライフスタイルや価値観に変化があったのではないかと思います。リモートワークが推進され、東京の転出超過に代表されるように、地方や郊外で働く人も増えてきています。実は私もその一人です。ワークスペースを作れる広い部屋、オフの日に散策が楽しい環境、そんな物件を求めて都内から郊外へ引っ越しました。元々はあまりモノを持たない生活でしたが、観葉植物を色々買ってみたり、ハンモックを置いてみたり、今までなかった電気圧力鍋やトースター等のキッチン家電を充実させたり、と生活は随分変わり、おうち時間も充実してきました。だだっ広い部屋を埋める目的もありつつ始めたことでしたが、「必要なものだけのシンプルな生活」の価値観から、「心が豊かになる生活」に自ずとシフトしています。

こんな風に「心が豊かになる生活」に自ずと動かされている人は、私だけではないようです。
インテージクオリスで<n=1プロジェクト>として主に20代独身層、30~40代ファミリー層、60~70代アクティブシニア層の3つの層に行っている日記調査で目に付くのが「植物」の存在。コロナ禍におうち時間が長くなり、室内に花や緑を取り入れたり、ベランダ菜園をしたり、植物のある生活に魅力を感じる人が増えています。

●アクティブシニア層、屋外の園芸と室内の植物を楽しむ

アクティブシニア層には、まさにコロナ禍だからこそ、寝室に植物を置くようになった方がいました。

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Aさんは屋外で朝顔を育てたり、ガーデニング自体は先にされていたのですが、コロナ禍だからこそ室内の植物に目が向いてこられたようです。

同じくアクティブシニア層に、ストレス発散の一つとして、積極的にベランダ菜園を楽しむ方もいらっしゃいました。

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Bさんは、ベランダ菜園に加えて、廊下にパター練習のグッズや、子供部屋にトランポリンを設置して運動不足解消、ストレス発散にも取り組まれています。

●独身層、植物が「心を豊かにしてくれる」と実感

花き市場の消費者は、50代以上がボリューム層になりますが、日記調査からは、独身層からの「植物」報告が相次いでいます。コロナ禍に観葉植物に「ハマった」という方もやはりいらっしゃいました。

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Cさんは、植物そのものを楽しむ様子に加えて、購入に大型専門店を使う一方で、フリマアプリを使ったり、色んなチャネルで観葉植物の情報収集をしながら、ショッピングも楽しまれている様子が伺えました。

そしてCさんと同じように、花のある生活が「心を豊かにする」と感じて積極的に取り入れている方がいました。

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CさんもDさんも、花や緑は「枯れてしまうので都度買わないといけない」「お金がかかる」と感じつつも、それ以上に「心を豊かにしてくれる」ことを実感され、ここに価値を感じていらっしゃいます。

また、花をドライフラワーに加工して部屋に飾りはじめた方もいました。

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Eさんは、たまたま結婚式が続き、花をもらう機会が増えたことがきっかけではありますが、「もともと興味がなかった」ことにチャレンジしたのは、おうち時間が増える中で、部屋を心地の良い空間にしたい気持ちが生まれたことや、自宅での趣味の時間がよりできたことも要因かと思われます。

●ファミリー層、植物に「癒し」を求める

ファミリー層で植物のある生活をされている方は、コロナ禍だからこそというより、もともと取り入れられている方が多い傾向でした。その中にも、コロナ禍だからこそ、例年以上に花を購入された方もいらっしゃいました。

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ステイホームでストレスもたまる中、Fさんは花をできるだけ絶やさずに飾ることで、日々「癒し」を得られているようです。「心が豊かになる生活」には、「癒し」の要素も重要そうです。同じくファミリー層には、窓際を植物で満たしてリラックスできる空間にし、親子でお気に入りの場所になっている方もいました。

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こんなに素敵な空間なら取り合いになるのも納得です。おうち時間が長くなった今、Gさん親子の競争も激しくなっているかもしれませんね。

コロナ禍では、花きのギフト需要はイベント中止によって落ちていますが、ホームユースの切り花や観葉植物、多肉植物などは非常に好調なようです。この日記調査でも、コロナ禍に「植物」のある生活に魅力を感じている人は確実に増えています。特に20代の若い層に「心を豊かにしてくれる」という価値が実感されており、ホームユースでのユーザーの間口が広がっていることが伺えます。

まだ暫くはステイホームも続きそうですし、コロナ収束後でも在宅ワーク推進の企業も出てきています。植物のある「心が豊かになる生活」は、定着していきそうです。

コロナ禍で楽しむ「季節感」

また、「植物」を取り入れていない方では、「季節感」を積極的に取り入れている方もいらっしゃいました。

まずは独身層の方です。

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Hさんは普段、近所の八百屋で旬な野菜等を安く購入して自炊生活を楽しまれており、12月にはご自身でシュトーレンを作ったりもされています。食生活を含めて「季節感」を大事にされている様子が伺えます。
ファミリー層にもリビングで「季節感」を演出されている方がいらっしゃいました。

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ファミリー層は、子供の行事・イベントを一緒に楽しむ方が多いため、この方だけの傾向ではありませんでしたが、旬な食材を楽しんだり、クリスマスプレゼントを子供だけでなく周囲の方に配ったりもされているようでした。

HさんもIさんも、生活に「季節感」を取り入れることは、コロナ禍だからということではありませんが、日記調査では、空や季節を感じる景色の写真を送って下さる方が多く、そこに添えられるコメントには「きれい/美しい」「嬉しい」「爽快」というような気持ちが上がる言葉に溢れています。季節のイベントの中止も相次ぎ、おうち時間も増える中で、日々の生活での「季節感」は、「植物」同様に「心の豊かさ」「癒し」につながっているようです。

インサイト:家の中で「外の気分を味わいたい」は今後も鍵

この記事では、日記調査から読み解く、コロナ禍での「心が豊かになる生活」ということで、「植物」「季節感」について注目しました。この2つの要素をみると、ステイホームが続く中で「外に出たい」という強い気持ちが表れています。家の中で「外の気分を味わいたい」、これはコロナ禍ならではのインサイトですが、コロナ収束後もこのインサイトは、超高齢社会の日本では鍵ではないかと感じています。コロナ禍で人気の商品・サービスは、なかなか外に出られない状況の人を支えるものとして、今だけのヒットではなく、長期的に育てていくという視点もあるのではないかと考えます。

今後も、「n-1」を追いかけながら、これからの商品・サービスのヒントを探していきます。世の中の商品・サービスに関わる方のなにかしらの気づきになれば幸いです。

 


<n=1プロジェクト>とは?
コロナ禍でもポジティブな行動変容をした方を対象に日記調査を実施しています。主に20代独身層、30~40代ファミリー層、60~70代アクティブシニア層の3つの層に該当する方から、日々の出来事の記録を送っていただき、月に何度か衣食住や季節のイベント等に関するお題にご協力いただき、そのひとり一人の行動や気持ちを理解すること(n=1分析)で、変化の兆しを捉え、新しい商品やサービス開発のヒントを探っています。

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