プランニングに役立つ購買行動ログとメディア接触ログを活用したターゲット分析
PICK UP
  • アルコール飲料購入者を7つの購買行動パターンに分類
  • アルコール飲料の月平均購入本数56本という高頻度大量買い層は購入者全体の5%
  • 上記の高頻度大量買い層が全体の購入容量の25%を占めている
  • アルコール飲料の購入はほとんどない超ライト層は購入者全体の30%を占めている
  • 各クラスターにより3つのメディア(TV、PC、Mobile)の接触傾向が異なる

株式会社インテージは、『プランニングに役立つ購買行動ログとメディア接触ログを活用したターゲット分析』を実施しました。
本分析では、購買行動を捉えることができるSCI(全国個人消費者パネル調査)(※1)と、メディア接触行動を捉えることができるi-SSP(インテージ シングルソースパネル)(※2)のログデータを使い、実行動ベースのマーケティングコミュニケーションの可能性を見出すことを目的に分析を行いました。
ログデータにはアンケートでは聴取しづらい、普段意識されていない行動も含まれており、このデータによるセグメンテーション、ターゲット分析を行うことにより、生活者の行動に基づいたプランニングが可能になります。
今回は分析事例として、データのばらつきとデータ量の観点から、消費者の嗜好性が強く、購入頻度の高い「アルコール飲料」を取り上げ、結果をまとめました。


 
※1:SCI(全国個人消費者パネル調査)
全国男女50,000人のパネルモニターによる消費者市場動向のトラッキングサービスです。食品(生鮮・惣菜・弁当などを除く)・飲料・日用雑貨品・医薬品の消費者購買パネル調査です。消費者購買パネルモニターが購入した商品のバーコードを携帯端末でスキャンし、インターネット調査画面から、その商品を購入したルートや個数・金額などを入力することで、日本全国の男女50,000人の消費者購買行動が分析できます。
   
※2:i-SSP(インテージ シングルソースパネル)
当社の主力サービスであるSCI(全国個人消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・モバイルからのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関するデータを収集するものです。当データにより、パソコン・モバイル・テレビそれぞれの利用傾向や接触率はもちろん、同一対象者から収集している購買データとあわせて分析することで、消費行動と情報接触の関係性や、広告の効果を明らかにすることが可能となります。また、調査対象者に別途アンケート調査を実施することにより、意識・価値観や耐久財・サービス財の購買状況を聴取し、あわせて分析することも可能です。
*i-SSP(アイエスエスピー)/シングルソースパネルは株式会社インテージの登録商標です。
 
調査概要
クラスター分析
概要
データソース: SCI全国個人消費者パネル調査 20~69歳男女
※意識調査を含まない購買ログデータ

データ期間:2013 年11月~2014年10月
分析対象者:期間内アルコール飲料購入者 64,407人
※代理購買のみの購入者は除く、ウェイトバック集計値

投入変数:購入金額、購入本数、購入容量、購入回数、本数単価、購入カテゴリー数、購入SKU(JAN)数、1回当たり購入金額、土日購入本数構成比
分析手法:K-means法(非階層クラスター)
プロフィール
分析概要
クラスターごとの特徴把握のため、SCI購買データに加え、下記データを使用
データソース:SCI Profiler調査データ(食意識、消費価値観等の意識調査)
調査時期:2014年3月、4月
分析対象:クラスター分析と同様
メディア接触
分析概要
データソース:i-SSP 20~59歳男女
※傾向の違いを分かりやすくするため、60代を除いて分析を行った

データ期間:2014年11月
分析対象者:クラスター分析対象者のうちのi-SSPモニター12,471人
※ウェイトバック集計値

対象メディア:TV、PC、Mobile(ブラウザ、アプリ)
分析者
川畑 夏奈(マーケティングイノベーション本部 次世代プロダクト開発部)

調査結果

分析結果のポイントとサマリー

本分析は、アルコール飲料の購買データのみを使い、その購買行動をパターン化し、メディア接触傾向の把握を試みた結果、以下のことが分かった。

クラスター分析により、アルコール飲料購入者を購買行動パターンから7つに分類したところ、3つのクラスターで購入容量全体の約7割を占め、これらの層がアルコール飲料市場を支えている。
一方、人数構成比が購入者全体の30%と最も高い割合を占めるクラスターが、購入容量構成比では わずか3%と最も低い。

各クラスターについて、アルコール飲料のカテゴリー別/ブランド別の購入傾向や、デモグラフィック属性、購買意識等を確認し、アルコール飲料市場における位置づけを検討した結果、とるべきマーケティング戦略は“既存ユーザーを維持する「継続層」”と、“今後の飲用開拓が必要な「頻度引き上げ層」”の2つに分かれると考えられる。

各クラスターへのアプローチ方法を検討するため、TV、PC、Mobileのメディア接触傾向を確認したところ、接触時間や各メディアで接触しているコンテンツに違いがあった。

購買ログ、メディア接触ログという普段意識されない行動を含むデータを分析した結果、効果的なマーケティングコミュニケーションを行うためには、購買行動パターンとメディア接触傾向を組み合わせて各層に適切な戦略とアプローチ方法を検討することが必要であることが分かった。生活者の情報接触がオンラインに拡大し多様化している中、単にカテゴリーユーザーなどと一括りにせず、カテゴリー購入者における実行動をベースにしたプランニングがますます重要になっていくだろう。

なお、今回の分析・考察は、グーグル株式会社のマーケットインサイトチームに協力をいただいた。

分析結果詳細

1.アルコール飲料購入者を7つの購買行動パターンに分類

アルコール飲料の購買データを用いてクラスター分析を行い、アルコール飲料購入者を7つの購買行動パターンに分類し、購買意識の特徴から各クラスターを以下のように命名した。


各クラスターの人数構成比とアルコール飲料の購入容量構成比を確認すると、図表1のような分布となった。

[図表1]
クラスター別人数構成比・購入容量構成比


CLS4は、人数ベースでは30%を占めるが、購入容量ベースではわずか3%にとどまっており、アルコール飲料のライト層である。
一方で、CLS2は人数ベースでは5%に過ぎないが、このクラスターで全アルコール飲料の25%の購入容量を占めるヘビー層であることがわかる。また、CLS5、CLS6も購入容量では20%以上を占めており、CLS2、CLS5、CLS6の3つのクラスターで全アルコール飲料購入容量の約7割を支えている。

2.各クラスターの特徴

更に、各クラスターの変数平均値(図表2-1)と購入カテゴリー構成比(図表2-2)は下記の通りとなった。

[図表2-1]
クラスター別変数平均値(1人当たり)


[図表2-2]
クラスター別購入カテゴリー構成比(容量ベース)

それぞれのクラスターの特徴は以下のようにまとめられる。


3.各クラスター特徴から考えるマーケティングの方向性

購買特徴や購買意識から各クラスターに向けたマーケティングコミュニケーションの方向性を検討した。

まず、市場全体に占める購入容量の25%を支えているCLS2は最も重要に見える。しかしながら、自分が選んで気に入ったものを買い続ける傾向があり、アプローチをしてもブランドスイッチはしない可能性が高い。
また、高齢層が多いため今後の拡大も難しい。従って、CLS2は、ブランドロイヤルティの維持を目指すべき層といえる。

次いで購入容量構成比が高いCLS6(23%)は、アルコール飲料の中でも様々なカテゴリーを購入しており、消費意識としても新商品をどんどん試す傾向があるため、重要なターゲットとなる。食に対するこだわりがあるという点が、コミュニケーションの方向性を検討する上でヒントになると思われる。

CLS5もアルコール飲料の購入容量構成比は高い(21%)。他の人に先駆けて新商品に手を伸ばすということはないが、特定の商品やブランドへのこだわりはあまりない。値ごろ感やお得感などを訴求することで、ブランドスイッチを促すことができる可能性がある。

一方で、CLS7は全体に占める購入容量構成比は高くない(12%)が、売れているモノに関心があるため、話題の商品を購入するポテンシャルはあると考えられる。平日に”今売れている”という情報を届けつつ、まとめ買いをする週末の店頭で購買に結び付けたい。

CLS1は購入容量構成比が低く(10%)、1人当たりの年間購入回数も19回と少ない。ただ、人数構成比としては、全体の16%と少なくないため、今後は少しでも飲用機会を増やしていきたい層である。平日の買い物が多く、店頭施策に反応しやすいことから、アルコール飲料に関しても「ついで買い」を促すような施策がよいと思われる。

CLS4は購入容量構成比が非常に低く(3%)、アルコール飲料市場にとっては無視してもいい層に思える。しかし、人数としては30%を占めており、また若者の割合も多いため、長期的な視点ではユーザー育成のためのプランが必要になると考えられる。

CLS3はビール類をケース買いするようなヘビー層だが、人数が少なく、また、購買において保守傾向であることから、ターゲットとしての優先順位は低い。

以上のことから、 CLS2、5、6を“既存ユーザーを維持する「継続層」”、CLS1、4、7を “今後の飲用開拓が必要な「頻度引き上げ層」”として、2つのグループに分けてプランニングすることが適当と考える。


4.各ターゲットクラスターに的確なメディアプラン策定のために

ターゲットクラスターへの最適なアプローチ方法を探るため、クラスター別に3つのメディア(TV、PC、Mobile)の接触傾向を比較した。

各メディアの接触時間構成比(図表3)を見ると、CLS1、4、5、7は、オンライン(PC・Mobile)の占める割合が4割を超え高い。その中でも、CLS1はPC、CLS4はMobileの接触時間比率が高い。

反対にCLS2、CLS3、CLS6はTVの接触時間割合が他のクラスターより高いが、これらのクラスターでも35%以上の時間をオンラインメディアに使っている。

以上のことから、継続層のうちCLS5と頻度引き上げ層(CLS1、4、7)については、オンラインメディアによるアプローチがTVによるものと同じくらい重要になると考えられる。
また、残りの継続層(CLS2、6)はTVを中心として、オンラインメディアでフォローをするようなプランニングが必要になるだろう。


[図表3]
クラスター別メディア接触時間構成比


更に、各メディアの接触状況を詳細に見ると、テレビ番組や見ているオンライン(PC・Mobile)の接触内容にもクラスター間で違いがあった。

まず、テレビ番組については、CLS1はバラエティ番組の接触率が高かった。CLS2は情報/ワイドショー、CLS3はニュース/報道番組や、「連続テレビ小説」を中心としたドラマ番組がそれぞれ高い。CLS4もドラマ番組が高いがCLS3とは番組が異なり、バラエティ番組も高いのが特徴的。CLS5もバラエティの接触率が高め。CLS6、7はニュース/報道番組の接触率が高い。

一方、オンライン(PC・Mobile)の接触内容でもクラスター間に違いが見られた。オンラインの総接触時間に占めるサイトのカテゴリー別の接触時間構成比を見ると、CLS1、6はブログ・SNSが高く、CLS2は専門・情報サイトが高い。CLS4はMobileの時間が長いためか、ポータルサイトの比率が低いのが特徴的であった。CLS5、7は動画サイトの接触時間割合が高い。

5.生活者の実行動を起点としたマーケティングプランの実践に向けて

今回の分析では、アルコール飲料購入者をその実購買の特徴から7つのクラスターに分類した。更に、クラスターごとの購買行動、購買意識、メディア接触状況を捉え、それぞれに適したマーケティング戦略を策定することによる、ターゲットへのより効果的な価値伝達の可能性を示した。

今回はアルコール飲料を扱ったが、この結果は、実購買データによるターゲットセグメンテーションが、カテゴリー購入者や商品購入者、性年代による分析とは異なる「今、そこで買われている現実の場」を基点にしたマーケティングプランの可能性を示唆している。
生活者の情報行動の多様化が進む中、アンケートで収集したデータだけではなく、記憶に残らない行動も把握できるログデータの分析や、購買データと情報接触データが紐づいている、シングルソースデータの分析を活用したマーケティングの必要性が高まっていると考える。

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インテージ ビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』 2015年2月調査
株式会社インテージのビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』(2015年2月調査)によると・・

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