「24時間テレビ」が最も見られていた県は?全国スマートテレビ視聴データから見えた、都道府県別の視聴実態と地方の放送事情

毎年、夏の終わりに日テレ系列で放映されている「24時間テレビ」は、今年で43回目を迎えました。「24時間テレビ」は、系列ローカル局が地域に密着した異なるコンテンツをそれぞれ放映するなど、系列局全体で取り組む大型チャリティー番組です。
系列局の独自コンテンツや局の事情に伴い、その放映実態は様々です。結果として、各都道府県の視聴状況にどのような違いが生まれるのでしょうか?
Media Gauge® TVの全国約219万台のスマートテレビ視聴ログデータを用いてみてみましょう。

【目次】

24時間テレビの視聴状況 都道府県による違いはある?

はじめに、「ある番組が何%のテレビでその時間に見られていたか」を示す接触率を都道府県別に見てみましょう。接触率は、図表1の計算例の様に算出しています。

図表124htv2020_01.png

各都道府県の「24時間テレビ」の平均接触率(※1)を算出しランキング化したものが図表2、その高低をヒートマップで表した地図が図表3です。

図表224htv2020_02.png

図表324htv2020_03.png

ヒートマップを見ると、”西低東高”の傾向があることがわかります。一番接触率が高いのは断トツで青森県の19.4%。逆に一番低いのは沖縄県で7.6%、僅差で宮崎県が7.7%でした。
地域別に見てみると、東北地域や関東広域では全体に接触率が高い傾向で、近畿広域は低い傾向であることもわかります。
ここからは、なぜこの差が生まれているのかを詳細にみていきましょう。

「一番24時間テレビを見なかった県」の放送事情とは?

図表4は、番組平均接触率の下位5位を棒グラフにしたものです。

図表424htv2020_04.png

沖縄県や宮崎県ではなぜ、接触率が極端に低いのか。それは、日テレ系列の放送局がないからです。この2つの県ではクロスネット局という、複数の系列を扱う局があります。日テレ系列の番組は放映されますが、一部のみの放送や、遅れての放送になることがあります。
もちろん、「24時間テレビ」は話題の番組ですから、放映はされていましたが、そのスケジュールは独特です。

図表5は当日の放映スケジュールを東京都と宮崎県、沖縄県とで並べたものです。

図表524htv2020_05.png

沖縄県では深夜スタートでPART2からの放送、そして、ところどころ他番組を挟んでエンディングは月曜に録画放送となっています。また宮崎県では、PART1から放送をしていますが、同様にところどころに他番組を挟み、後半は宮崎県独自の「24時間テレビin宮崎」も挟みながらの放送になっています。

24時間常に放映している地域の場合、『今日一日ずっと、「24時間テレビ」がやっている』という認識が生活者にあり、『あ、そういえば今「24時間テレビ」どんな内容のコーナーをやっているかな』や、『今、マラソンってどこまでいったかな』、『そろそろ、ラストのゴールシーンだな』というように度々、思い出すということが想定されます。
しかし、番組が飛び飛びで一部放送をしていないとなると、そもそも『一日中ずっと「24時間テレビ」がやっている』という認識はありませんし、思い出したタイミングで放映していないこともあるでしょう。また、毎年番組内で一番高い接触率を記録するゴールシーンが深夜帯に録画放送される場合、寝ていて見ない生活者もいるでしょうし、ネットニュースなどで既に結果を知ってしまい、結果が気になってテレビを見る生活者はおのずと少なくなると考えられます。

2県における平均接触率が特に低いという結果からは、24時間テレビの接触率には、「その日中、いつでも放映している」という状況や、「ラストのシーンを生で見ることができる」という状況が影響していると言えそうです。

「一番24時間テレビを見ていた県」の放送事情とは?

接触率一位の青森県と東京都、大阪府、愛知県の、放送パート別の接触率を比較したものが図表6です。

図表624htv2020_06.png

どの都府県でも、深夜帯~早朝のPART2、3と外出が多い日曜昼のPART5の接触率が低く、逆に自宅にいる時間帯や、最初と最後の注目度の高い放送パートは接触率が高い傾向があります。
そして、どの時間帯においても青森県の接触率が最も高くなっています。

なぜ、青森県ではこれほどにまで24時間テレビが見られているのでしょうか。それは青森県にフジテレビ系列の放送局がないことと、青森放送(日本テレビ系列)が県民に深く浸透していることが関係しています。

1つ目のフジテレビ系列の放送局がない県というのは青森県だけでなく、山梨県や山口県も同様ですが、青森県と他2県には明確な差があります。
それは域外視聴がしにくく、チャンネルの選択肢が少ないことです。域外視聴とは、隣接県や周辺エリアの放送を受信して視聴することで、主に県境周辺で可能になっています。図表7は、青森県、山梨県、山口県それぞれで、1ヶ月に一度でも県外のフジテレビ系列を視聴した割合を、受信した放送局のエリア別に算出したものです。

図表724htv2020_07.png

山梨県や山口県では、隣接県や周辺エリアの放送を大半のテレビで受信することが可能であるのに対し、青森県では、半数以上のテレビにおいて域外視聴できないということがわかります。このように、青森県民はチャンネルの選択肢が他県より少ないために、1つの番組の接触率が高くなりやすいという土台が存在します。

2つ目の青森放送が県民に浸透している理由は、青森放送の歴史の長さにあります。青森放送がテレビ放送を開始したのは、1959年と60年以上も前で、青森の中では最も歴史ある放送局です。このため、昔から青森では、民放の中では日テレ系列が特に強く、日常的に視聴する傾向があるようです。実際に、本サイトで毎週更新している『MG番組接触率ウィークリーランキング』でも、青森県では日テレ系列の番組が上位を独占しています。

青森県が『24時間テレビ43「動く」』の接触率が最も高い県だった背景には、これらの事情が考えられます。

西と東で生まれた地域差、決め手となった時間帯とコンテンツは?

最後に、地域ごとの差を放送パートごとに見てみましょう。今回は、接触率が低い傾向だった近畿広域と高い傾向だった東北地域、関東広域を比べていきます。
パート別の平均接触率を3エリアで比較したものが図表8です。

図表824htv2020_08.png

番組全体を通して、東北地域、関東広域が高く、近畿広域が低い傾向がありますが、その動きに特に大きな差が見られたのは、日曜の朝から昼過ぎのPART4からPART5の間の変化でした。
東北では20.6%→16.5%(-4.1ポイント)と大きな下落をするも、高い水準。関東広域は、最も下落幅が小さく17.6%→16.0%(-1.6ポイント)。近畿広域は、もともと低かった接触率が更に下落し、15.1%→12.4%(-2.7ポイント)となっています。

PART5の時間帯には、近畿広域と宮城県ではローカル枠として現地生放送をそれぞれ放映していましたが、関東広域と宮城を除く東北4県では、「有吉ゼミ」と「エンタの神様」とのコラボ企画を放映していました。「有吉ゼミ」は毎週、『MG番組接触率ウィークリーランキング』でもTOP3常連の番組ですし、「エンタの神様」も言わずと知れた昔からの人気番組です。この人気番組のチカラが、日曜昼過ぎという外出している人が多く、テレビをつけている人が少ないであろう時間帯の接触率を下支えしたと考えられます。

今回の分析からは、各都道府県の系列放送局やクロスネット局の有無、生活者がその局が持つチャンネルに馴染みがあるかなど、地域ごとの放映コンテンツの違いが24時間テレビの視聴行動に影響を与えている様子がみられました。
地域や都道府県ごと、また時間帯、番組内容ごとに視聴実態が大きく異なる様子からは、『エリアや時間、番組を細分化して分析し視聴者の実態を捉えること』の重要性を感じられます。
これまで見えなかった、画面の向こう側にいる視聴者の実態を、データを通じて見えるようにしていくことで、より良いテレビづくりが可能になっていくのではないでしょうか。
コロナ禍における在宅時間の増加や、「半沢直樹」のような強いコンテンツの影響で話題になる事も増えているテレビ。知るGalleryでは今後もその視聴行動を追いかけます。

※1:平均接触率は放映時間帯の15秒単位の接触率の平均値です。「24時間テレビ」は7パートに分かれていますが、ここでは、それら全てを集計し、平均値を算出しています。


今回の分析は、弊社が保有するスマートテレビ視聴ログデータであるMedia Gauge TVのデータを用いて行いました。

【Media Gauge® TV】
複数のテレビメーカーから収集した、ネットに結線されたスマートテレビの録画機の視聴ログ※をクレンジングし、統一フォーマットで標準化・構造化した視聴データです。都道府県別にとどまらず、一部エリアでは市区町村別でもデータを見ることが可能です。
インテージでは現在、各放送局別(地上波・BC・CS)、各地域別(市区町村など)のテレビ視聴データを提供しています。テレビ:219万台(2020年9月時点 最新の台数はこちら)
※マーケティング利用許諾を得て、匿名化されているもので、どのテレビ・録画機で、いつ、どんな操作がされていたかがわかります。

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