甲子園視聴データから見える地元愛 秋田でのテレビ観戦の盛り上がり実態は?

8月21日(火)、史上最多の56校が出場した第100回全国高等学校野球選手権大会が幕を閉じました。結果は、大阪桐蔭の史上初、2度目の春夏連覇。また、秋田県勢として103年ぶりに決勝進出した金足農が話題となり、東北勢初優勝をかけた決勝戦は盛り上がりを見せました。テレビにくぎ付けになった方も多いのではないでしょうか。熱気を帯びた今大会は、どのように観戦されたのでしょうか。Media Gauge TVの全国約70万台のスマートテレビ視聴ログデータを使用して、全試合の視聴状況や都道府県別の違いを捉えてみました。

【目次】

高校野球全試合。特に多くの人がテレビ観戦した試合は?

はじめに、「平均何%のテレビで観られていたか」を示す接触率を試合別に見てみましょう。接触率は、図表1の計算例の様に算出しています。

図表1

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全国のスマートテレビを対象に、大会全試合の平均接触率(試合時間帯の分単位の接触率の平均値)を算出した結果が図表2です。ここでは高校野球中継を行っていたNHK、NHKEテレ、テレビ朝日系列、独立局などの地上波のいずれかのチャンネルで高校野球が見られていたテレビがどのくらいあったか、を集計しています。

図表2

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大会前半は平日の試合が続くこともあり、接触率が3~4%の試合がほとんどですが、お盆期間に入り、会社が休みの人が増えるタイミングでその水準が上がっています。

なかでも強豪校同士の対決など注目のカードは接触率が高く、開会当初から優勝候補として注目されていた大阪桐蔭の試合の接触率の高さからはその人気が伺えます。
一方で今大会話題を集めた金足農の試合の接触率は、劇的な逆転サヨナラ勝利をおさめた近江との準々決勝で急劇に上がって8.5%という今大会2番目の数値を出し、翌日の準決勝も7.2%と高い接触率となりました。
この2校が対戦した8月21日(火)の決勝戦は、平日にも関わらず13.5%の接触率を記録しています。昨年8月23日(水)の第99回大会決勝戦(花咲徳栄(埼玉)対 広陵(広島))の9.9%と比較しても、この試合の関心の高さがうかがえます。

今大会、一番テレビ観戦したのはどの都道府県の人?

続いて、全55試合の接触率を足し上げた延べ接触率を都道府県別に比較してみました。(図表3)
このチャートは、大会全試合を通して、どの都道府県で高校野球がよく見られていたかを示しています。

図表3

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比較した結果、金足農が決勝に進出した秋田県で最も数値が高く、ベスト8入りを果たした近江のある滋賀県が2番目となっていました。一方で、東京都では日大三高がベスト4入りしたものの、延べ接触率は最も低いという結果になりました。

次に、ベスト4に入った大阪桐蔭(大阪)、金足農(秋田)、日大三高(東京)、済美(愛媛)の4校がある都府県について、各都府県代表校の試合の接触率を見てみましょう。(図表4)

図表4

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秋田県、愛媛県では、代表校の初戦から2ケタの接触率となっており、大会序盤からの地元校への関心の高さがうかがえます。特に秋田県では、土曜日に行われた金足農と近江の準々決勝で、平均接触率が46.2%に達しました。また、全国的に接触率の高さが目立っていた大阪桐蔭戦は、大阪府でも接触率が高く、2回戦以降は常に2ケタを記録していました。

一方で東京都だけは異なる傾向が見られています。序盤、中盤と低かった接触率が、終盤の準々決勝になって5%を越えるようになりましたが、最も高かったのは金足農と大阪桐蔭の決勝戦、次いで前述の金足農と近江の準々決勝と、東京代表である日大三高戦を見ているわけではありませんでした。
この地元以外の試合で盛り上がるという傾向は、東京は他県からの移住者が多く東京に対して地元感を持つ人が少ないことが影響していると考えられます。

ちなみに、愛媛県では全国的に盛り上がった決勝戦よりも、愛媛代表である済美高校の準決勝の方が高い接触率を記録していました。この結果からも高校野球のテレビ観戦は地元応援の気持ちが強いことがわかります。

決勝戦の行方、どのくらいの人が見守った?

最後に、決勝戦(金足農(秋田)対 大阪桐蔭(北大阪))がどう見られていたのかをくわしく見てみましょう。決勝戦の平均接触率を都道府県別に比較した結果が図表5です。平日昼間の試合にも関わらず、どの県も接触率10%以上と全国的な盛り上がりが感じられます。なかでも秋田県の接触率は突出しており、44.3%となっています。秋田以外の東北各県でも他都道府県に比べ接触率が高い傾向が確認され、東北勢初優勝への東北エリアの期待も垣間見えます。

図表5

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秋田県での視聴状況をさらに詳しく見てみましょう。図表6は秋田県での決勝戦の接触率が試合の動きとともにどのように変化したかを示しています。

図表6

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試合開始から接触率はじわじわと上がり、4回裏、大阪桐蔭宮崎選手の3ランホームランで5点差となる直前でこの試合の最高接触率となる46.9%を記録します。県大会初戦から甲子園準決勝まで10試合を完投してきたエースの吉田選手が「4回から下半身が動かなくなった」というコメントを残していますが、金足農はこの4回、5回で9点を失いました。それまで勝ち続けてきたエースが初めて崩れる姿に、少しつらくなって視聴をやめてしまった人もいるのかもしれません。
6回の投手交代のタイミングでも少し接触率は下がっていますが、その後は同じ水準で試合終了まで推移。最後まで接触率40%以上と、多くの人が試合の行く末を見守っていたことがわかります。

県立高校の東北勢初の優勝か、絶対王者の史上初の2度目の春夏連覇か。第100回の記念すべき大会の決勝戦は全国的な盛り上がりを見せました。みんなでテレビで応援して、地域がひとつになれるきっかけにもなってくれる夏の風物詩。来年はどのようなドラマが生まれるのでしょうか。


今回の分析は、弊社が保有するスマートテレビTV視聴ログデータであるMedia Gauge TVのデータを用いて行いました。

【Media Gauge TV】
複数のテレビメーカーから収集した、ネットに結線されたスマートテレビと録画機の視聴ログ※をクレンジングし、統一フォーマットで標準化・構造化した視聴データです。都道府県別にとどまらず、一部エリアでは市区町村別でもデータを見ることが可能です。
インテージでは現在、各放送局別(地上波・BS・CS)、各地域別(市区町村など)のテレビ視聴データを提供しています。テレビ:約72万台、録画機器:約63万台(2018年8月時点 最新の台数情報はこちら
※マーケティング利用の許諾を得て、匿名化されているもので、どのテレビ・録画機で、いつ、どんな操作がされたかがわかります。

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