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ニューノーマル(新しい日常) 意識・生活の変化が、消費財の購買行動に与える影響とは?

以前、こちらの記事でご紹介したwithコロナ/afterコロナにおけるニューノーマル 。特に重要な3大潮流として、以下の様な意識・生活の変化を紹介しました。

■withコロナ/afterコロナにおけるニューノーマル3大潮流
1.予防・衛生意識の高まり
2.在宅時間の増加
3.節約意識の高まり
感染拡大が続いていた緊急事態宣言下ですでに始まっていたこれらの動きは、生活者の購買行動にどのような影響を与えていたのでしょうか。

3/31~4/7*に実施した新型コロナウイルスに関するSCIモニターへのアンケート結果(33,563人が回答)と消費財の購買ログを掛け合わせて分析し、「3大潮流に関連する意識・行動に当てはまる人の、日常の買い物行動」の特徴を確認しました。
*『志村けんさん死去(3/29) ~ 緊急事態宣言発出(4/7)』の 最も不安が広がった時期

生活者の「購入カテゴリ」と「利用チャネル」への新型コロナの影響

はじめに、新型コロナウイルスの影響で、どんなカテゴリがより多く買われたのかをみてみましょう。15~79歳の男女における、購入金額の前年比Top50カテゴリが図表1です。

図表1newnormal-2_01.png

マスクや殺菌消毒剤といった予防・衛生用品(太字)が上位に並んでいます。やはり、感染症拡大にともない予防・衛生意識が高まった影響が大きく表れています。

また、外出自粛、子供の休校・休園、在宅勤務によって、内食の機会が増加したため、食品や調理用品が多くランクインしています。 なかでも、菓子・ケーキ用のプレミックスやホイップクリーム、フルーツ缶詰、エッセンス類といったお菓子づくりの材料の伸びには、おうち時間を食育に充てて親子で楽しむといった動きが表れています。

次に、日常の買い物で利用するチャネルに変化があったのかをみてみましょう。チャネル別の月間買い物金額(消費財購入を含むレシートが対象)の前年比について、1月から4月までの推移を表したのが図表2です。

図表2newnormal-2_02.png

予防・衛生用品や紙製品などを買い求める「薬局・ドラッグストア」、内食の増加で需要が増えた食品や飲料を購入する「スーパー」、外出自粛や感染予防のために利用者が増加した「宅配・ネット通販」、自粛要請(居酒屋の営業や繁華街への外出)による家飲み需要の高まりを受けた「酒量販店」が、それぞれ伸びています。
また、オフィス街、住宅街、ロードサイド、駅ナカなど立地によって濃淡はありそうですが、「コンビニエンスストア」は全体では前年並みで推移しています。
一方、外出自粛や通勤・通学の減少によって、「自動販売機」、「デパート」、「駅売店」は大きく縮小していました。

ニューノーマル3大潮流に関連する意識・生活の変化

前述の通り、生活者の買い物行動に大きな影響を与えた新型コロナウイルス。
ここからは、withコロナ/afterコロナにおけるニューノーマル3大潮流が、生活者の買い物行動にどのような影響が与えるのかをみていきます。

3大潮流に関連する意識・生活の変化として、以下のそれぞれに当てはまる人の買い物行動に注目しました。
予防・衛生意識の高まり:『免疫力向上をはかっている人(8.5%)』、
在宅時間の増加:『本人、もしくは、家族が在宅勤務するようになった人(7.0%)』
節約意識の高まり:『節約している人(8.7%)』
※詳細な定義は以下の通りです。

3大潮流注目する生活者関連する意識・生活の変化
予防・衛生意識の高まり免疫力向上をはかっている人[8.5%]免疫力を高める食品・飲料を摂る
健康食品・サプリで免疫力向上をはかる
在宅時間の増加本人、もしくは、家族が在宅勤務するようになった人[7.0%]本人、もしくは、家族が在宅勤務するようになった
節約意識の高まり節約している人[8.7%]極力お金を使わないようにしているーとても当てはまる

それぞれどのような人たちが多いのか、性年代別の人数構成比を確認してみましょう。(図表3)

図表3newnormal-2_03.png

免疫力向上をはかっている人は30~70代の女性が、本人、もしくは家族が在宅勤務するようになった人は20~50代の現役世代が、節約している人は若年~中年(男性10~40代と女性10~30代)が多いという特徴が見られました。

日常の買い物行動にはそれぞれどのような変化があったのでしょうか?月間買い物金額の前年比について、推移を表したのが図表4です。

図表4newnormal-2_04.png

本人、もしくは家族が在宅勤務するようになった人は、在宅勤務によって、「内食」や「家飲み」の機会が増えたこともあり、買い物の金額が非常に多くなっています。 特に、緊急事態宣言が発出された4月は前年比120%と顕著です。
逆に、節約している人は、かなり消費を抑える工夫をしていることがうかがえます。

感染対策として免疫力向上のために買うカテゴリは?

免疫力向上をはかっている人は、どんなカテゴリをより多く買っているのでしょうか?購入率の差分(免疫力向上をはかっている人-そうではない人)ランキング Top50が図表5です。上位ほど、免疫力向上をはかっている人が特徴的に購入しているカテゴリとなります。

図表5newnormal-2_05.png

30~70代の女性が多いため、内食の増加にともなう食品や調理用品が多数ランクインしていますが、上位には発酵食品を中心とした食品・飲料(太字)が並んでおり、免疫力を高めると言われる食品・飲料を広く取り入れている様子がうかがえます。

予防・衛生に加えて、「運動不足」や「間食の増加による体重の増量」など体調維持・健康管理への関心が高まっていることから、免疫力を強化する食品・飲料はこれまでのように冬場だけではなく、年間を通じて需要が高まると考えられます。

在宅勤務が引き起こす消費とは?

本人、もしくは、家族が在宅勤務するようになった人は、どんなカテゴリをより多く買っているのでしょうか? 特徴的に買っているカテゴリのTop50が図表6です。

図表6newnormal-2_06.png

「在宅勤務時の飲料」や「家飲みの酒類」が多くランクインしています。また、内食に関連するカテゴリ以外にも、アイスクリームや菓子が上位に並んでいます。 勤務中や休憩中の間食、ストレス解消など、今回の非常事態によって引き起こされた新たな行動様式を垣間見ることができます。

節約するための買い物の工夫とは?

節約している人は、どのような工夫をしているのでしょうか?1か月あたりの買い物金額を、買い物の回数×1回あたり買上点数(買い物の量)×個数単価に分解したのが図表7です。節約していない人を100とした水準値で表現しています。

図表7newnormal-2_07.png

節約している人は、そうじゃない人に比べて、1か月の買い物金額を86%に抑えています。これを可能にしている一番の要因は、できるだけ安い商品を選択している(単価が91%)ことです。次に、不要な買物を控えている(回数が95%)こともうかがえます。

では、節約している人は、どこでより多く買い物をしているのでしょうか?利用しているチャネル別の金額構成比を表したのが図表8です。

図表8newnormal-2_08.png

節約している人は、薬局・ドラッグストアでより多く買い物をしています。この薬局・ドラッグストアで特徴的に買っているカテゴリのランキング Top50が図表9です。

図表9newnormal-2_09.png

節約している人は、薬局・ドラッグストアで、食品・飲料をより多く購入しています。特に、内食の増加による影響を受けやすい主食となる、パン・麺類・米(太字)を低価格で購入することで、食費を抑えていることがうかがえます。

今後も長期化しそうな新型コロナウイルスとの闘い。
この記事では、以前、ご紹介したwithコロナ/afterコロナにおけるニューノーマル(新しい日常)のうち、特に重要な予防・衛生意識の高まり、在宅時間の増加、節約意識の高まりの3つに着目し、意識・生活の変化が、消費財の購買行動に与える影響を紹介しました。

今回みられた、宅配・ネット通販が増加する一方で日常の買い物に欠かせないスーパーが勢いを取り戻すといった動きのほかにも、消費単位が個人から世帯に移行したり、安心・安全が「タダ同然・アタリマエ」ではなく「根本的な価値あるもの」へ変化したり、実体験・対面が当たり前でVRやARのようなバーチャルが非日常・付加価値だったのが一気にその価値が逆転したりと、様々な分野で価値観や行動が急速に変化しました。

第2波、第3波に備えた生活が続くなか、コロナ後を見据えた中長期にわたる購買行動の変化を追っていくことは、今後のマーケティング戦略・施策を考える上で、より大切になるのではないでしょうか?
知るGalleryでは、withコロナの世界における生活者の変化を、引き続き追いかけていきます。

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