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パワーDINKsの攻略法~可処分所得3倍、“次の富裕層”を狙え~

5月に高購買層である「パワーファミリー」に関する記事を公開した。今回はさらに自由に使えるお金が多いと想定される「パワーDINKs」に関して深掘りを行う。

日本の「夫婦のみの世帯」は厚生労働省(※)によると1,354万4千世帯(全世帯の24.7%)に達し、単独世帯(34.6%)に次いで2番目に多い世帯構造となっている。この中には65歳以上のシニアが55.4%含まれるため、夫婦共に65歳以上の高齢者世帯を除外すると、604.6万世帯(全世帯の11.0%)が「高齢者世帯を除く夫婦のみ世帯」であることが分かる。

ここから、世帯年収が高く、より自由度が高く、高い購買力を誇る「パワーDINKs」に注目し、その暮らしぶり、彼らの不安やニーズを明らかにし、企業がパワーDINKsにどのようにアプローチすればよいか、読み解いていきたい。

1. 最強の消費者「パワーDINKs」の正体

※調査対象の定義

今回対象となるパワーDINKs層は、夫婦2人の年収合計が1500万円以上とした。
また、比較対象とする一般層は、65歳未満の世帯で最も世帯数が多い「親と未婚の子のみの世帯」1713万世帯(65歳未満の世帯の45.5%)※(厚生労働省の統計を元に計算)とした。
パワーDINKs層全体では、1500万から2000万未満が58.8%、2000万から3000万未満が28.6%、3000万以上が12.7%の構成となっている。
では、これらのパワーDINKs層が1か月に個人が自由に使えるお金(可処分所得)はどれくらいあるのか、確認したのが図表1である。

図表1

1か月に自由に使えるお金

一般層の1か月に自由に使えるお金の平均値は6.4万円であった、一方パワーDINKs層では、一般層の約3倍の平均18.4万円が自由に使えるお金となっている。
さらにパワーDINKs層個人で自由に使えるお金を年代別に確認すると、20~39歳では、平均16.5万円、40~49歳では18.2万円、50~59歳では18.9万円と金額も多くなっている。

DINKsと言うと、若い共働き夫婦というイメージで語られることが多いが、パワーDINKs層の年齢分布はどのようになっているだろうか。

図表2

年齢分布

世帯年収1500万円以上のパワーDINKs層では、50~59歳が60.2%を占めている。一般層と比較すると、23.6ポイント多い結果となった。
パワーDINKs層は、単に「子どもがいない若い共働き夫婦」ではなく、世帯年収1,500万円以上、かつ可処分所得に大きな余裕を持つ高購買層である。
自由に使えるお金は一般層の約3倍に達し、特に50代が中心を占めることから、キャリア形成を経て経済力を高めた円熟の夫婦像が浮かび上がる。
この高い経済的余裕こそが、彼らを市場における「最強の消費者」たらしめている背景であり、量より質、価格より価値を重視する有力ターゲットといえる。

2. 高い自由度を謳歌する「協力型」のライフスタイル

次に、パワーDINKs層のライフスタイルを読み解く入口として、住まいから確認していきたい。
パワーDINKs層の住まいは、マンションが多く各年代ともに約70%(持ち家+賃貸)を占めている。年齢が高くなると、持ち家(マンション)の比率が高まっていき、20~39歳では持ち家(マンション)が24.4%であるが、50~59歳では50.7%まで高まる。40代のタイミングで持ち家マンションを手に入れているようである。

図表3

住まいのタイプ

さらに、パワーDINKs層の居住エリアを確認すると、1都3県(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)に74.7%が居住しており、一般層34.5%の約2倍に当たる。
前節でのマンション居住者が多いことの説明として、1都3県に集中していることも要因として挙げられるのではないか。

次に家事分担に関して確認していく。平日の夫婦の家事分担の比率に関してまとめたのが、図表4である。
一般層では、妻がメイン(70~100%)で家事をしている割合は、82.2%であるのに対して、パワーDINKs層の20~39歳では、49.8%に低下している(32.4ポイント差)。他の世代も相対的に一般層に比べて「妻がメイン」回答率が低くパワーDINKs層では、夫婦が協力して家事に取り組んでいる様子が確認できる。

図表4

平日の夫婦の家事分担の割合

今度は、パワーDINKs層の休日の様子を確認していきたい。
図表5は、「過去1年間で3日以上の休日に何を体験したか」を図表化したものである。
パワーDINKs層と、一般層を比較すると、男女とも約30ポイントの差が出たのが「国内旅行」であった。パワーDINKs層においては、約80%が国内旅行に出かけている。
女性のパワーDINKsでは「ひとりで出かける」59.1%(一般層と31.8ポイント差)、食べ歩き48.2%(一般層と24.5ポイント差)となった。一般層と比較すると、より自由に行動していることが分かる。また休日に「家事(掃除、料理、買い物など)」を行っているパワーDINKs層の女性は58.5%が実施しており、休日にまとめて家事をする姿も読み取れる。

図表5

3日以上の休日に体験したこと(過去1年間)

パワーDINKs層の暮らしは、データから1都3県・マンション居住を軸に、夫婦で家事を分担しながら自由な時間を楽しむ姿が確認できた。さらに一般層に比べて家事が妻に偏りにくく、休日には国内旅行、ショッピング、食べ歩き、ひとり時間など多様な行動が見られる。経済的な余裕だけでなく、夫婦それぞれの時間を尊重し合う関係性が、彼らの消費行動の土台になっている。

3.自由の裏にある「パワーDINKs」ならではの不安

では、余裕のある資金を使い自由を謳歌しているようにみえるパワーDINKs層は、彼らなりにどのような不安を持っているのだろうか。

図表6

今後の暮らしで不安なこと

パワーDINKs層と、一般層にて差が大きかったのは、「自身の健康」パワーDINKs層女性52.2%(一般層女性と7.8ポイント差)、「親の介護」同37.5%(9.4ポイント差)、「セカンドライフの計画」同24.9%(11.8ポイント差)となった。一般層では経済面への不安が目立つ一方、パワーDINKs層では、自身や親の健康、夫婦2人の老後設計といった、将来の生活設計に関する不安が相対的に強い。
また、不安と回答した人に、現在対処できているかを確認したところ「自身の健康」に関して、パワーDINKs層女性の27.2%は対処できていると回答したが、「親の介護」では8.3%、「セカンドライフの計画」では4.0%に留まっており、自身の健康については一定の取り組みが進んでいるものの、介護やセカンドライフについては、具体的な対処に至っていない人が多いようである。
自由度が高く、経済的にも比較的余裕のある暮らしの裏側には、自身の健康や親の介護、セカンドライフに対する不安が存在する。夫婦2人を軸とした将来を考える際、老後の暮らしをどのように設計し、必要な備えを進めていくかが、重要な生活課題として浮かび上がる。

4.「パワーDINKs」へ、企業が提供すべき「豊かな時間」の提案

今度は、不安の裏返しとしてパワーDINKs層がどのような時間を大切にしているのか確認したのが図表7である。
男女ともに一般層と差が大きかったのは、「趣味を楽しむ」(18.6ポイント差)、「飲食を楽しむ」(同16.5ポイント差)、「知識や教養を身に付ける」(19.8ポイント差)であった。
また、パワーDINKs層女性で差が大きかったのは「身体を動かすこと」(一般層女性と18.8ポイント差)、「仕事をすること」(同11.3ポイント差)、「芸術、文化を楽しむこと」(同15.7ポイント差)、「外見を磨くこと」(同18.7ポイント差)であった。
パワーDINKs層が大切にしたい時間に、豊富な資金力をもって対処することが考えられる。

図表7

大切にしたい時間

最後にパワーDINKs層にこれからどのような事に「お金」や「時間」を使いたいのか、WILLを確認してみた。

図表8

今後の「お金」や「時間」の使い方

男女ともに今後の意向が高いのは「特別な旅の経験」で男性48.6%、女性55.4%。「夫婦の対話時間」で男性42.9%、女性45.7%となった。
特に女性のパワーDINKs層と一般層の間の「お金」や「時間」を使いたい意向の差は大きく、代表的な項目は「心身のメンテナンス」68.4%(27.4ポイント差)、「夫婦の対話時間」45.7%(23.2ポイント差)、「本物の文化・芸術にふれる」38.6%(22.6ポイント差)、「食を通じた幸せ」53.6%(21.9ポイント差)となった。
パワーDINKs層の女性を中心に、趣味や飲食、知識・教養の習得など、多くの楽しみに興味を持っていることが分かる。

パワーDINKs層が求めているのは、趣味、飲食、知識・教養、文化、健康、夫婦の対話といった「時間の質」を高める体験である。特に女性では、心身のメンテナンス、本物の文化・芸術、食を通じた幸せへの意向が強い。企業は、彼らの不安を軽減しながら、夫婦それぞれの人生を豊かにする高品質な体験価値を提案することが求められるのではないか。

まとめ

今回の調査から見えてきたパワーDINKs層は、自由に使えるお金が多いだけの消費者ではない。一般層の約3倍の可処分所得を持ち、50代を中心にキャリアと生活基盤を築きながら、首都圏のマンションで夫婦協力型の暮らしを実践している。休日には旅行や食べ歩き、ショッピング、ひとり時間を楽しみ、経済的・時間的な自由を自分たちらしく使う姿が見えてきた。
一方で、その自由は将来不安と隣り合わせでもある。自身や家族の健康、親の介護、セカンドライフの計画など、夫婦2人を軸とした将来を考える2人の将来設計には、まだ満たされていないニーズが残されている。つまり、パワーDINKs層に向けた商品・サービス開発では、「高価格でも売れる層」と捉えるだけでは不十分である。
企業に求められるのは、彼らの不安を軽くしながら、夫婦の対話、本物に触れる体験、心身のメンテナンス、知識・教養、食や旅の楽しみといった“豊かな時間”をアップデートする提案である。ヘルスケアツーリズム、上質な文化体験、夫婦で過ごす住空間のリフォーム、食を通じた体験型サービスなどは、その有力な切り口となるだろう。
パワーDINKsは、今後の成熟消費市場において、モノとセットで豊かな体験価値を求める重要なターゲットとして注目すべき存在ではないだろうか。

2024(令和6)年 国民生活基礎調査を活用し、以下の式により「夫婦のみの世帯数」を算出した。
(65歳未満の世帯)=(全世帯数)表1 世帯構成別、世帯累計別世帯数及び平均世帯人員の年次推移 - (65歳以上のみの世帯)表3 高齢者世帯の世帯構造の年次推移


※今回の調査で明らかになった詳細なデータやチャートは、無料のダウンロードレポートでご覧いただけます。レポートのみにて提供している項目は以下です。ぜひ、ダウンロードしてご覧ください。

<ダウンロードレポートのみ掲載項目>
【お金】1カ月の生活費(世帯)
【住まい】居住地域
【住まい】住居形態
【所有・利用】所有している商品/利用しているサービス
【不安】暮らしの不安・悩み に対処できている割合
【休息】リカバリー方法


【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】

<調査概要>
調査地域:日本全国
対象者条件:20~59歳男女個人
標本抽出方法:マイティモニターより適格者を抽出
標本サイズ:合計n=794 パワーDINKs層:n=362、一般層:n=432
ウエイトバック集計:あり※
※性年代構成比を、2020年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2024年度の構成比にあわせてウエイトバック
調査実施時期: 2026年4月17日(金)~2026年4月23日(木)

著者プロフィール

濱 賢太郎(はま けんたろう)プロフィール画像
濱 賢太郎(はま けんたろう)
株式会社インテージ マーケティングパートナー第2本部 営業推進部 
未来共創センター長
・大学卒業後家電メーカーへ就職、ワープロ、FAX、携帯電話、通信映像端末、
太陽光発電の商品企画を担当。
・2013年株式会社インテージに入社し、国内外の生活者リサーチ、
コンサルティングに従事。
・2017年「未来共創センター」を設立。
企業との共創による新価値の創出を軸に、共同研究(POC)、
生活者研究を多数実行中。
・現在はWell-being領域に興味関心を持ち
(社)データビリティコンソーシアムに参画
「Well-being部会」を立ち上げ、異業種との共創活動に取組み中。

株式会社インテージ マーケティングパートナー第2本部 営業推進部 
未来共創センター長
・大学卒業後家電メーカーへ就職、ワープロ、FAX、携帯電話、通信映像端末、
太陽光発電の商品企画を担当。
・2013年株式会社インテージに入社し、国内外の生活者リサーチ、
コンサルティングに従事。
・2017年「未来共創センター」を設立。
企業との共創による新価値の創出を軸に、共同研究(POC)、
生活者研究を多数実行中。
・現在はWell-being領域に興味関心を持ち
(社)データビリティコンソーシアムに参画
「Well-being部会」を立ち上げ、異業種との共創活動に取組み中。

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