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中古家電は誰が買っている?-安さだけではない価値とリファービッシュ品の可能性は?-

リユース(中古)市場は年々拡大傾向にあることをご存じだろうか。
環境省が2025年に発表した資料によると、2009年から順調に増加しており、2030年には4兆円にも達すると見込まれている。

図表1

リユース市場規模(国内の消費財における販売金額)の経年変化と予測

物価高やフリマアプリ等を通じた個人間取引(以下、CtoC)の一般化を背景に、中古品は生活者にとって身近な選択肢の一つとなっている。この流れは衣類や家具にとどまらず、家電のリユースにも広がっている。
本稿では、2026年4月27日〜5月3日に実施した調査結果をもとに、「なぜ今、中古家電が選ばれているのか」という購入背景を読み解いていく。併せて、近年広がりつつある「リファービッシュ品」にも触れ、家電購入の多様化について考察する。
<注釈>
リファービッシュ品(中古整備品):リファービッシュ品とは、初期不良品や展示品などの中古品を、メーカーや認定業者が再整備・再販売する再生品を指す。

1. 拡大する中古家電市場 ~カテゴリ・購入理由・チャネル~

まず初めに、「中古家電」と一概に言っても、利用状況はカテゴリによって大きく異なる点を抑えておきたい。
直近3年以内に購入された家電別の中古購入率を見ると、カメラやPCなどの「黒物家電」で高い一方、エアコンなどの「白物家電」では低い傾向がある。白物家電は生活必需品が多く、衛生面の懸念や故障リスクから慎重に選ばれるためだろう。白物家電で比較的中古率が高いのは、「オートクッカー」や「コーヒーマシン」である。これらは生活必需品というよりも嗜好性が高いカテゴリであるため、中古品でも受け入れられやすいと考えられる。  
中古家電が選ばれている理由や購入場所などの詳細は後述する。

図表2

直近3年以内に購入した家電における中古購入率

ではなぜ中古家電が選ばれているのだろうか?
ここから先は、代表的な家電として、白物家電の「洗濯機」「加湿器・空気清浄機」、黒物家電の「ヘッドホン・イヤホン」「コンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式カメラ、交換レンズ」「スマートフォン」の5カテゴリに絞って深掘りしていく。

結果を見ると全カテゴリで「価格」が中古選択の上位理由に挙げられていることが分かるが、下位理由まで目を向けるとカテゴリごとの特徴が見える。

図表3

中古家電選択理由

洗濯機は、「新品を買う予算がない」「長期間利用するか分からない」が上位である。価格だけでなく、短期間の利用などを想定した合理的な選択肢としても選ばれている。
加湿器・空気清浄機は、「新品同様の商品を安く購入できた」「予算内で上位モデルを選べた」が上位であった。使用するシーズンが限られる家電であることから、状態の良い品が流通しやすいことが推測される。また、「クリーニングや保証」も比較的上位であることから、衛生商品ゆえに衛生面での安心感が購入に繋がっていることも読み取れる。
ヘッドホン・イヤホンは、「フリマサイト等で偶然見つけた」が上位だ。音質の使い分けやサブ用途など、買い増しが成立しやすい嗜好性の高いカテゴリであるため、偶発的な購入も生じやすいことが考えられる。また、紛失リスク等を考慮した「気兼ねなく使えること」も他のカテゴリよりも重視されている。
カメラカテゴリ(コンパクトデジタルカメラ・レンズ交換式カメラ・交換式レンズ)は、「中古でしか購入できない商品」が3割を占める。若年を中心とした「オールドコンデジ」のブームもあり、あえて現行製品ではなく生産終了品を選択する動きがあるのも、理由の一つだろう。予算内で上位モデルを狙うアップグレード需要も見受けられる。
対してスマートフォンは「新品より安い」という価格要因への依存度が極めて高く、他カテゴリと比べて価格以外のベネフィットが弱い。

続いて、購入チャネルを見てみよう。
購入場所は、中古品としての「売りやすさ(≒流通しやすさ)」が市場に反映されているように見受けられる。

図表4

中古家電購入チャネル

搬出入や設置面でのハードルが高い洗濯機は、リユース専門店や家電量販店での購入が中心となっているが、他カテゴリでは、フリマアプリによるCtoCが主流になっている。
ヘッドホン・イヤホンにおいては、フリマアプリでの購入が3割を占めており、手軽に安く購入できるチャネルとして支持を得ていることが伺える。
一方カメラカテゴリは、オークション、専門店、フリマアプリ等に購入先が分散している。
センサーやレンズの状態判断が難しいため、当事者に一定の知識が求められる「CtoC」と、検品や保証で知識面の不安を補う「専門店」といったように、購入者が求める安心感や価格、保証などの優先順位に応じて購入チャネルが使い分けられていると考えられる。

2. 中古家電を買っているのはどんな人?

購入されている家電のカテゴリや購入場所が分かったところで、購入者の特徴についてもみていこう。
各カテゴリ別に、新品購入者と中古購入者の年齢を比較すると、中古購入者の方が新品購入者より2~7歳平均年齢が低いことが分かった。

図表5

中古家電購入者の年代比

洗濯機、加湿器・空気清浄機、ヘッドホン・イヤホン、スマートフォンの4カテゴリでは、18-49歳までが、カメラカテゴリでは18-39歳までは、中古の方が購入者に占める割合が高い。
可処分所得が相対的に低いと考えられる若年層を中心に、価格を重視する傾向にあることが伺える。
この背景には、近年の物価高に伴うコスパ志向の高まりに加え、フリマアプリ等の浸透によって中古品に対する心理的ハードルが低下していることが考えられる。若年層やミドル層を中心に、新品にこだわらず状態の良い中古品を選ぶことが「合理的で賢い選択」として定着しつつあると言えるだろう。

3. 「リファービッシュ品」の可能性

対称的に、中古品を購入しない人の理由も確認しておきたい。
中古家電を購入していない層は、中古品を単なる「節約の手段」と捉える傾向が強く、価格以外の価値がまだ十分に認知されていない。購入を忌避する理由を見ると、「故障や低寿命の懸念」「他人が使ったものへの抵抗感」が上位理由として挙がっている。品質面や衛生面への根強い懸念が中古の選択を阻害する主な要因となっている。

図表6

購入忌避理由(MASA)(5カテ購入&中古忌避者)抜粋

これらの不安を軽減しつつ、中古ならではの価格メリットも享受できる選択肢として、リファービッシュ品(中古整備品)があることをご存知だろうか。近年ではメーカーや小売事業者による取り扱いも拡大していることから、生活者の選択肢はより多様化しつつある。

ただし認知度はまだ十分とはいえない。中古家電を購入していない層のうち、忌避者(「中古で家電を購入したいと思わない」と回答)に絞ってみると、リファービッシュ品を「意味も含めて知っていた」と回答した人は1割半にとどまった。一方、中古家電購入者ではカテゴリによって3〜5割程度の認知が見られた。

図表7

【リファービッシュ】中古忌避vs中古購入者 認知度

同様に購入経験や購入意向を確認すると、中古家電購入者の約2割がリファービッシュ品を購入した経験があり、約4割程度が購入意向を示していることが分かった。購入経験者と購入意向者を合わせれば、中古家電購入者の半数以上がリファービッシュ品に好意的と捉えることもできる。忌避者でも約1割半が購入意向を示したことから、リファービッシュ品には新たな需要を取り込むポテンシャルがあるとも言えるだろう

図表8

【リファービッシュ】中古忌避vs中古購入者 購入経験・意向

最後に、リファービッシュ品の購入未経験者に聞いた「リファービッシュ品への印象」も確認しておきたい。 肯定的な理由としては「価格の安さ」が主だが、整備や保証といった品質担保に対する評価も一定数見られた。リファービッシュ品は、「価格」と「安心感」の両面から認識が形成されていることがうかがえる。一方で、「故障しやすいのではないか」「基準や違いがよく分からない」といった声もあり、品質面での不安が心理的ハードルとして残っている。認知が低いがゆえに、リファービッシュ品についての情報や口コミなど不足していることも背景にあるだろう。 こうした懸念が払拭されれば、今後リファービッシュ品はさらに広がる可能性が考えられる。

図表9

【リファービッシュ】中古忌避vs中古購入者 印象比較

4. おわりに

中古家電の価値は「価格」だけではない。一時利用やサブ機としての実用性の高さ、生産終了品との出会いなどの側面も、中古家電ならではの価値として認識されている。
現在の中古購入率は1割未満にとどまり、新品市場を大きく侵食する可能性は低いものの、価格志向層を中心に一定の需要は継続するのではないだろうか。

こうした中古市場の広がりは、メーカーにとって脅威となりうる一方、新たな顧客接点を創出する機会として捉えることもできる。
本編では割愛したが、中古を選択肢に入れることで、新品では予算外だったブランドが候補に入るケースも実際に確認された。その結果、中古品での使用体験を通じてブランド価値を実感させることに繋がる可能性も考えられる。つまり、中古家電は単なる低価格需要の受け皿にとどまらず、中長期的な顧客接点の入り口として機能し得る存在と位置づけることもできる。

新品・中古・リファービッシュといった選択肢が並立する中で、今後はこれらを分断して捉えるのではなく、生活者の利用シーンや価値認識に応じた接点の捉え方をすることが求められる。本稿が、その一助となれば幸いである。


<調査概要>
調査手法:Webアンケート調査
調査地域:日本全国
対象者条件:18-69歳男女
標本抽出方法:弊社モニターより抽出し、アンケート配信
標本サイズ:9,902s
調査実施期間:2026年4月27日〜5月3日

著者プロフィール

大塚 早紀プロフィール画像
大塚 早紀
株式会社インテージ
マーケティングパートナー本部 第2ユニット 2部
2022年 インテージに新卒入社
入社後は電機・自動車業界におけるマーケティングリサーチを担当。
定量/定性などの手法を問わず、国内外の様々なカスタムリサーチを行っている。

株式会社インテージ
マーケティングパートナー本部 第2ユニット 2部
2022年 インテージに新卒入社
入社後は電機・自動車業界におけるマーケティングリサーチを担当。
定量/定性などの手法を問わず、国内外の様々なカスタムリサーチを行っている。

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