arrow-leftarrow-rightarrow-smallarrow-topblankclosedownloadeventfbfilehamberger-lineicon_crownicon_lighticon_noteindex-title-newindex-title-rankingmailmessagepickupreport-bannerreportsearchtimetw

生活者に響くメッセージの条件~暮らしの文脈から、選ばれる語り口を考える~

これまで多くの商品開発や広告コミュニケーションでは、商品のカテゴリを起点にして「どんな成分、機能を追加するか」「競合よりどこを強くするか」が考えられてきた。しかし、生活者はカテゴリごとに生活しているわけではない。朝起きて、仕事へ行き、家事をし、家族と過ごし、眠る。その連続した生活の文脈の中にこそ、商品との接点が存在する。

市場の成熟やコモディティ化が進む一方で、現在は口コミやSNSで生活者の共感を得ることで、より幅広い層へと商品の価値を届けることも可能である。この届け方として今回は、成分や機能を前面に押し出す「機能訴求」と、生活者の暮らしに寄り添う「生活文脈訴求」のアプローチについて、身近な未充足ニーズの一つである「身体的疲労」に着目。生活者に選ばれるためのポイントを検証する。

1. 多くの生活者が抱える「身体的疲労」という潜在市場

まず、生活者の身体的疲労の実態を、「生活シーン」から捉える。最も身体的な負担や疲れが大きい生活シーンを聞いたところ、「立ち仕事(31.2%)」「座り仕事(21.7%)」「家事・育児(15.4%)」であった(図表1)。

図表1

さらに、疲れや痛みの度合いを0~10の11段階で聴取し、7~10を「深刻な疲れ」として分析したところ、疲労の度合いも深刻であることが分かった。各シーンを選んだ人のうち、深刻な疲れに該当した割合は、立ち仕事51.3%、座り仕事40.3%、家事・育児48.3%で、いずれも4割を超えた。

図表2

「立ち仕事」や「家事育児」のほうが深刻度は高いが、意外に「座り仕事」も深刻であることが判明した。そこで、以降はビジネスパーソンにとってより身近で身体的負担が見過ごされやすい「座り仕事」に着目する。前述の通り、座り仕事を最も負担が大きいシーンとして挙げた人のうち、40.3%が深刻な疲れを感じている。
この座り仕事で深刻な疲れを感じている人のうち、「特に生活への影響はない」と答えた人は7.9%にとどまる。一方、「翌日まで疲れやだるさが残る(53.9%)」「やる気が出なくなる(42.0%)」「仕事の効率が落ちる(39.2%)」など、生活の質(QOL)や生産性への影響が広くみられた。

図表3

では、これほど生活に大きな影響が出ている疲労ならば、対処・解消されているのか。現在、座り仕事による身体的な負担や疲れについて“対処している”と答えた人に「今の対処で身体の負担や疲れを軽減できているかどうか」を問うたところ、「対処しているが、軽減できていない(対処×未充足)」層が一定数存在した。「対処していない(未対処)」層と合わせて、約7割の人が疲労を解消できていない。同様に、立ち仕事においては約7割、家事・育児においては7割半ばの人が疲労を解消できておらず、深刻な状況が伺える。

図表4

対処していても疲れを解消できていない人、対処していない人は市場のホワイトスペースであり、大きな潜在需要としてみえてくる。上記の、対処未充足層+未対処層は “巨大な未充足ニーズ(=市場)”といえる。

2. 「困っているのに放置する」心理的なハードル

なぜ、これほど疲れているにもかかわらず、過半数の人が対処しないのか。

座り仕事の疲労に対処していない理由の上位3つは、「手間や時間がかかるから(35.1%)」「面倒で継続できないから(32.6%)」「対処法が分からない(31.5%)」。さらに「どうせ疲れはとれないから(30.6%)」といった無力感を伴う声や「費用がかかる(24.0%)」といった声も目立った。年代別に見ると、20~30代はタイパ重視や知識不足、40~50代は面倒さや無力感が対処へのハードルになっている。

疲労に対して無関心なのではなく「手間や時間をかけてまで対処できない」「面倒だ」「何をすればよいかわからない」「やっても変わらないのではないか」という、諦めに近い実態が伺われる。

図表5

3. 「生活文脈訴求型」vs「機能訴求型」メッセージの比較

では、多くの生活者の「自分向けではない」「どうせ効かない」という態度を変えるにはどうしたらよいか。生活者を振り向かせる手法を検証するため、2パターンのメッセージ評価テストを行った。
「生活文脈訴求型」と「機能訴求型」の2パターンのメッセージ文を提示し、4つの指標(興味関心、新規性、信頼性、購入意向)を聴取した。

【想定した商品の成分・機能】
商品カテゴリ:機能性ドリンク
成分:L-テアニンやGABA、カフェインおよびビタミンB群を配合
効能:ストレス低減や睡眠の質向上、脳の覚醒および集中力向上に優れた効果が期待できる

結果は「興味がある(非常に+やや)」と回答した人は、生活文脈訴求型が46.5%、機能訴求型が11.8%と、大きな差が確認された(特に女性は51.2%が生活文脈訴求型を支持)。また、「購入したいと思う(非常に+やや)」と回答した人も、生活文脈訴求型が39.9%、機能訴求型が8.7%と上回った。機能価値を「日々の集中力を向上 メンタルケア」といった日常の文脈に翻訳するだけで、興味関心や購入意向は約4倍に跳ね上がる。

図表6

同様に、「興味がある」の割合は、立ち仕事向けの商品でも生活文脈訴求型が52.3%、機能訴求型が11.7%と40.6ポイント、家事・育児向けでは生活文脈訴求型が38.3%、機能訴求型が9.2%と29.1ポイント上回った。シーンが異なっても、生活者が実感できるキャッチコピーに置き換えるだけで、これまで関心を持たなかった人に興味を持ってもらえる可能性がある。

次に、現在の対処状況別の分析結果を見ていく。当初、未対処層ほど、既存の商品・サービスとの接点が少ないため、機能説明だけでは自分向けの商品と感じにくいのではないか、そのため、生活文脈訴求への反応がより高いのではないかという仮説を想定していた。

結果は、すべての層で生活文脈型が機能訴求型を上回った。なかでも、「非常に興味がある」とTOP1でみると、最も生活文脈訴求を支持したのは「対処×未充足」層では、TOTALよりも7.6ポイント高い14.9%の人が「非常に興味がある」と回答した。このことは、何らかの疲労ケア商材を買って対処している人々も、本音では「自分の暮らしの文脈に寄り添ってほしい」と求めており、生活に寄り添うメッセージが既存ユーザーの離脱防止につながる可能性を示唆している。

また、「対処×充足」層でも生活文脈訴求型への興味(非常に+やや)は48.9%、「未対処」層では43.9%であった。生活者の状況に即した語り口は、新規顧客との接点づくりだけでなく、既存ユーザーの継続利用を後押しする可能性もある。

図表7

ターゲットにあった生活文脈を届けることで、自分の生活に添うものとしてリピートして長く使ってもらえる、また、新商品を出すときにも生活文脈のほうが広くとれる可能性がありそうだ。

4. まとめ:生活文脈への価値の再定義で、新しい市場を創ろう

今回の結果から見えてきたのは、「機能訴求か、生活文脈訴求か」という単純な二者択一ではない。技術や機能、成分は、商品の価値を支える重要な要素であり、生活文脈訴求で関心を得た後、その価値を納得してもらうために欠かせない。
これからは、「何が入っているか」だけでなく「何が実現できるか」、「何に効くか」だけでなく「誰の、どのような暮らしをよくするか」へ、価値の伝え方を広げることが重要である。生活ベネフィットを商品へ導く「入口」、機能や成分をそのベネフィットを信じてもらうための「根拠」として組み合わせることで訴求力を高められる。

実務では、本人も気づいていない不満やあきらめを射抜く言葉、インサイトを発見し、その人の具体的なシーンや気分を言葉にすることが出発点になる。商品の機能を、生活者が「こう暮らしたい」と思う未来へ翻訳する。そこには、新しい顧客、未充足ニーズ、市場が存在しているのではないか。


<ダウンロードレポートのご案内>
本記事に関連した無料レポートをご用意しました。ぜひダウンロードしてご活用ください 。

<ダウンロードレポート目次>
以下を盛り込んでおりますので、ぜひ資料ダウンロードしてご覧ください。
・身体的疲労の深刻度
・身体的疲労による生活への影響(性年代別)
・身体的疲労への対処状況、対処理由、対処しない理由(性年代別)
・「生活文脈訴求型」vs「機能訴求型」メッセージ評価(4指標・性年代別)
・身体的疲労に関する情報源、購入グッズ・サービスの購入経験率・購入意向率
・ブランド・商品の認知率、デジタル機器・アプリの利用率
など
また、個別の集計、ご説明については弊社営業担当や問合せ窓口までご連絡ください。


<調査設計>
調査地域              :日本全国
対象者条件          :20~69歳男女個人
調査実施時期      :2026年8月21日(金)~2026年8月24日(月)
標本抽出方法      :マイティモニターより適格者を抽出

<本調査>
標本サイズ:n=3,197
※本調査条件…現在、最も身体的な負担や疲れが大きいものとして、「立ち仕事(接客、立ち作業、歩行・移動など)」「座り仕事(PC操作、デスクワーク、運転など)」「家事・育児(掃除、料理、買い物、抱っこや子どもの世話など)」のいずれかを選択。
かつ、身体的な負担や疲れの度合いとして、「0:まったく疲れや痛みを感じなかった」~「10:想像できる中で最も大きい疲れや痛みだった」のうち、重篤と判断される「7」~「10」のいずれかを選択。
ウェイトバック集計:有り

※2020年度国勢調査をベースに弊社で2026年度版に調整したエリア・性年代別の人口構成に準じて、SCR調査の配信・回収を行った。その結果をもとに、性年代別に深刻度7~10の身体的疲労を感じるシーンの出現率を算出し、本調査の集計時にウェイトバックを実施。

著者プロフィール

高崎 綾子(たかさき あやこ) 株式会社インテージ マーケティングパートナー第2本部 営業推進部 未来共創センタープロフィール画像
高崎 綾子(たかさき あやこ) 株式会社インテージ マーケティングパートナー第2本部 営業推進部 未来共創センター
米国大学院修了後、現地でマーケティングに従事したのち、2013年(株)インテージ入社。消費財、耐久財、サービスなど多方面にわたり、SNSをはじめとする非構造化データのリサーチへの活用に取り組んできた。
業界・企業・生活者それぞれの視点をつなぎ、価値の広がりを生み出すことを大切に日々、プロダクト開発や共創の実現に向けた取り組みを行っている。

米国大学院修了後、現地でマーケティングに従事したのち、2013年(株)インテージ入社。消費財、耐久財、サービスなど多方面にわたり、SNSをはじめとする非構造化データのリサーチへの活用に取り組んできた。
業界・企業・生活者それぞれの視点をつなぎ、価値の広がりを生み出すことを大切に日々、プロダクト開発や共創の実現に向けた取り組みを行っている。

転載・引用について

◆本レポートの著作権は、株式会社インテージが保有します。
 下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記ください 。
「出典:インテージ「知るギャラリー」●年●月●日公開記事」

◆禁止事項:
・内容の一部または全部の改変
・内容の一部または全部の販売・出版
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的としたパネルデータ(*)の転載・引用
(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)

◆その他注意点:
・本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません
・この利用ルールは、著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません

◆転載・引用についてのお問い合わせはこちら