

最終更新日:2026年7月1日
アンケート調査は生活者の声を聞く手段です。この声をマーケティング活動に活かす「マーケティングリサーチ」は、多くの企業で行われています。特に、インターネット調査(ネットリサーチ)は手軽にできる手段として広く浸透しています。
このシリーズでは、アンケート調査の基本プロセスや効果的に調査を行うためのコツについて解説していきます。
第1回となるこの記事では、アンケート調査の主な目的や役割、そして調査のコツとして「企画前にチェックすべきポイント」を解説します。
【関連記事】
第2回の「課題設定~仮説構築~調査手法の選び方編」の記事へはコチラから
第3回の「対象者条件設定~アンケートの作り方編」の記事へはコチラから
第4回の「アンケート結果のまとめ方・集計の基本とコツ」の記事へはコチラから
第5回の「結果のグラフ表現とアンケート調査の活用事例」の記事へはコチラから
マーケティング活動の代表的なプロセスと照らし合わせると、アンケート調査の目的が見えてきます。
図表1

アンケート調査は、マーケティングにおけるあらゆるプロセスで活用されます。
調査によって得られた結果は、商品コンセプトの候補の中から最適なものを選んだり、次の広告キャンペーンの方向性を修正したりと、企業の意思決定を強力にサポートします。
このように、あらゆるプロセスで、意思決定をより良いものにすることが、アンケート調査の主な目的です。
アンケート調査の役割は図表2のように大きく2つにわけられます。
図表2

一つ目の役割は、市場の「今」を把握したり、施策の成果を確認することです。
もう一つは問題解決のための「仮説検証」です。
商品やサービスを販売・提供し、多様な施策を実行していると、さまざまな問題にぶつかります。その際に、「その問題がなぜ起こっているのか」を推測し(=仮説を立てる)、「それが本当なのか」を調べる(=検証する)ことが、非常に重要です。
具体例:順調だったサービスの売上が鈍化してきた場合
このように「なぜ」を推測して、それが「本当なのか」をアンケート調査で確認できれば問題の原因が特定しやすくなります。その結果、問題解決に向けた具体的なアクションを検討しやすくなります。
アンケート調査を実施することで、企業側だけでは把握しきれない市場のリアルな動向やニーズを正確に掴みやすくなります。主観的な予測ではなく、客観的な数値データを集めることで、社内の意見をまとめやすくなる点も大きな魅力です。
具体的にどのようなメリットがあるのか、以下の表に整理しました。
| メリット | 具体的な効果 |
| 顧客の本音・ニーズを把握できる | ・顧客が「なぜ購入した/しなかったのか」を理解できます ・潜在ニーズや不満点を発見できます ・商品やサービスの改善・開発の方向性が明確になります |
| データに基づく意思決定ができる | ・感覚や経験に頼らない判断が可能になります ・施策の妥当性を数値で説明できます ・社内の合意形成や意思決定のスピードが向上します |
| 施策・開発のリスクを低減できる | ・市場投入前にニーズの検証ができます ・成功確率の低い施策を事前に回避できます ・投資対効果の高い施策に集中できます |
アンケート調査を行うと、お客様が商品やサービスについてどう感じているか、なぜ選んだのかを直接知ることができます。例えば、新サービスの利用者に聞くことで「使いやすさが決め手になっている」といった傾向が分かり、改善やアピールの方向性を考えるヒントになります。
アンケート結果は数値としてまとめられるため、感覚だけでなく、根拠を持って判断できるようになります。例えば複数の広告案を比較することで、「どれが一番評価されたか」を数字で確認でき、納得感を持って施策を決めることができます。
アンケート調査によって、商品や企画を実施する前にお客様の反応を確かめることができます。例えば新商品のアイデアを事前に確認し、評価が低ければ内容を見直すことで、大きな失敗や無駄な投資を防ぐことにつながります。
多くのメリットがある反面、アンケート調査には事前の準備段階で注意すべき注意点も存在します。思いつきで安易に実施してしまうと、期待していた結果が得られず、コストの無駄になってしまうおそれがあります。
実施前に知っておくべき主な注意点を、以下の表にまとめました。
| 注意点の項目 | 発生しうる課題の内容 |
| アンケート調査では適切な設問を設計するための専門知識が求められる | 偏った回答を誘導しないための、専門的な質問作成スキルが必要です。 |
| アンケート調査では回答データの集計や分析に膨大な手間がかかる | 大量の回答データを整理し、傾向分析やレポート作成を行うのに時間がかかります。 |
回答者を無意識のうちに特定の答えへ誘導してしまうような、偏った質問文を作成してしまうリスクがあります。また、専門用語を多用してしまい、回答者が質問の意図を正しく理解できないケースも少なくありません。正確なデータを取得するためには、誰が読んでも分かりやすく、中立的な設問を設計する専門的なノウハウが求められます。
【関連記事】スマホで回答しやすい質問文の作り方~ネットリサーチ品質向上のポイント①
何百件、何千件にのぼる回答データを集めたとしても、そのままでは意味のある情報として活用できません。矛盾している回答や無効なデータを除外する作業を行い、さらに統計手法を用いて傾向を分析する必要があります。集計作業からレポートの作成までには、担当者に多くの時間と労力がかかります。
【関連記事】ネットリサーチ回答品質改善ガイド~正しい生活者理解のために~
アンケート調査を効果的に実施するにはさまざまなコツがあります。まずは、具体的に調査の内容を考える前にすべきことを4つ紹介します。
図表3

まずは、必要な情報は何かをしっかりと整理しましょう。頭の中だけで考えるのではなく、メモ程度の簡単なもので良いので文字に起こすことが大切です。文字にすることで自分自身の思考が整理されるだけでなく、チームの他のメンバーにもスムーズに目的を共有しやすくなります。
欲しい情報を手に入れたとして、それが企業のマーケティングの意思決定に役立つかを事前に考えましょう。具体的なマーケティングアクションにつながらないアンケート結果は、コストと時間の無駄になってしまいます。また、「ユーザーに質問することで、問題解決に足る回答が本当に得られるのか」という視点を持つことも重要です。
例:カジュアルイタリアンレストランの場合
ランチ需要を取り込むヒントを探るために、「今日サンドイッチを食べた人」にその理由を聞けば、選んだ理由は返ってくるでしょう。しかし、「なぜパスタを選ばなかったのか」まで明確に答えられる人は多くありません。「近くにパスタのお店がなかった」「昨日もパスタだった」といった回答が得られても、効果的なマーケティングアクションには活かしづらいのが現実です。
新たに時間やコストをかけて調査を行う前に、すでにあるデータで解決できないかを確認しましょう。過去に社内で実施した調査データや、自社に蓄積されているビジネスデータで十分要件を満たせる場合があります。また、官公庁が公開している統計データなどを活用することで、欲しい情報が手に入ることも少なくありません。
人間は、無意識にとっている行動の理由を聞かれた際、すぐに答えられるケースとそうでないケースがあります。答えられないケースでは、どのようなアンケートを実施しても本当の理由を把握しにくいことがあります。前述の「パスタ」の例のように、人は「何かをした理由」は言語化できても、「何かしなかった理由」は答えにくい傾向があるからです。
ただし、そのようなケースへのアプローチとして、インターネットアンケートで直接的に質問するのではなく、インタビュー調査やさまざまなデータの複合的な分析によって導き出す方法もあります。調査会社に相談すると適切な手段が見つかるかもしれません。これら1~4のチェックポイントは、課題解決に向けた第一歩です。具体的に調査の内容を考える前に、ぜひ整理してみてください。
【関連記事】はじめてのアンケート調査 成功のコツは“準備”にあり!
「アンケート調査の方法とコツ」第1回はアンケート調査の主な目的や役割、そして調査のコツとして「企画前にチェックすべきポイント」を解説しました。
記事の要点をまとめます。
第2回ではアンケート調査を成功させるうえで重要な「仮説の構築」と「調査手法の選び方」を紹介します。
【関連記事】第2回の「課題設定~仮説構築~調査手法の選び方編」の記事へはコチラから
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