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アンケート調査の方法とコツ③アンケートの作り方と避けるべき設問の注意点を解説

最終更新日:2026年7月8日

マーケティング活動の意思決定に広く活用されているアンケート調査について、基本の調査プロセスや実施のコツについて、シリーズで解説します。

第3回のこの記事では、アンケート調査の対象者の条件やサンプルサイズの決め方といったアンケート設計と、調査票の具体的な作り方を取り上げます。
【関連記事】
第1回の「アンケート調査の主な目的と役割・企画前のチェックポイント」の記事へはコチラから
第2回の「課題設定~仮説構築~調査手法の選び方編」の記事へはコチラから
第4回の「アンケート結果のまとめ方・集計の基本とコツ」の記事へはコチラから
第5回の「結果のグラフ表現とアンケート調査の活用事例」の記事へはコチラから

アンケートの作り方の基本手順

第2回の記事で解説したように、課題を整理し仮説を設定して、実施する調査手法が決まったら、次は具体的なアンケートの作成に進みます。ここでは、対象者の条件設定からテスト配信までの基本手順を順番に解説します。

アンケート調査の対象とする調査回答者の条件設定

アンケート調査を成功させるためには、誰に向けて調査を行うのかというターゲットの明確化が重要です。目的に合致したデータを収集できなければ、調査から十分な成果を得にくくなります。質の高い結果を得るためにも、まずはアンケートに回答してもらう人物像を具体的に絞り込みます。

図表1

調査手法決定の次のステップ

「あるホテルチェーンでお客様が減ってきたので、その原因を調べたい」という課題があった場合に、仮説構築を行って対象者の条件を決める流れを考えてみましょう。

第2回の記事で、仮説を立てるときにはマーケティングの実務上よく用いられるフレームワークを活用することをおすすめしました。このケースでは“3C”を利用して仮説を立ててみます。

  • 顧客視点の仮説:「サービスがお客様の満足を満たせていないのではないか?」

検証方法:実際にホテルを利用した人に、ホテル選びで重視することと、実際の評価を聞き、不満点(ギャップ)を洗い出す。

  • 自社視点の仮説:「ホテルの魅力が十分に伝わっていないのではないか?」

検証方法:ホテルを知っているが利用したことがない人と、利用したことがある人のイメージを比較し、魅力が伝わっているかを確認する。

  • 競合視点の仮説:(※他社に流れているのではないか等)

検証方法:競合他社の利用者などを対象に調査し、自社と比較する。 このように仮説を立てて「必要な情報は何か」を考えることで、「どのような対象者条件を設定するか」も明確になります。

図表2

対象者条件の設定フロー

「客数が減った」という漠然とした課題に直面した際は、まずフレームワークを用いて論理的な仮説を立て、そこから「検証に必要な情報と対象者」を導き出すことが、問題解決への有効なアプローチとなります。

統計精度を左右するサンプルサイズの決定

対象者条件決定後、次にその条件に当てはまる人をどの程度集めるかを決めます。定量調査と定性調査では、サンプルサイズ(調査回答者の人数)を決める基準が異なります。

調査手法重視するものサンプルサイズの目安(1条件あたり)
定量調査「量」(統計的な正確さ)最低50人(詳細な分析をする場合は100人)
定性調査「質」(意見の深さや広がり)グループ:4〜6人 デプス(1対1):最低3人  
  • 定量調査(アンケートなど)

定量調査は、データを統計的に処理し、全体の傾向を正確に把握するための調査です。回答数が多いほどデータのバラツキが小さくなり、調査結果の精度が向上します。そのため、予算やモニター数の許す限り多くの人数を集めるのが理想的です。
具体的な人数の目安としては、予算等の制約がある中でも1つの条件につき最低50人(例:20代男性で50人、20代女性で50人など)を設定することが一般的です。ただし、最低人数の50人では回答をさらに細かな視点で分析することが難しくなるため、各条件をさらに細かく分析する可能性がある場合は、条件ごとの最低数を100人としておくことが推奨されます。

  • 定性調査(インタビューなど)

定性調査は、対象者の生の声を詳細に掘り下げ、「量」ではなく「質」を重視する調査です。そのため、定量調査と比べて必要人数の考え方はシンプルです。
グループインタビューを実施する場合、参加者同士が刺激し合うことでインタビューの質が高まるとされる「4〜6人」を集めて1つのグループとするのが一般的です。そして、設定した条件の数だけグループを作り、重要な条件の場合は2グループ実施することもあります。一方、1対1で深く話を聞くデプスインタビューの場合は、1つの条件について最低3人は対象者を設定することが望ましいとされています。

【関連記事】よくわかる「定性調査」①定量調査との違い、特徴や活用方法を解説!

調査項目の整理と調査票の作成

次に、アンケート調査で具体的に聞きたいことを、調査票にします。

まずは前述の図表2のように対象者条件を決める流れの中で抽出した「知りたいこと」に加えて、他にどのようなことを知りたいかを「調査項目」として整理します。
新しい商品のコンセプトの評価調査を例にすると、「知りたいこと」は「コンセプトの評価」です。しかし、それだけでは調査結果を有効に活用できる可能性は低くなります。図表3のように、商品を使う背景にある価値観が見えるような関連情報をあわせて聴取することで、調査結果をより役に立つ情報にできます。

図表3

調査項目の例(一般的なコンセプト評価)

「調査項目」を洗い出したら、どの様な順番で質問していくかを検討します。ここではマーケティングの視点で並べるのではなく、回答する対象者の視点に立って、対象者が答えやすい順序を考えることが重要です。

具体的には、時間の流れでは「過去→現在→未来」の順が答えやすく、事実を聞いてから意識を聞く、カテゴリーに関する質問の後にブランドなど具体的な質問をするといった工夫が有効です。このように調査項目を整理して順番を考え、調査票の骨格を作ってから、具体的な質問文を作成して調査票を完成させます。

【関連記事】事例で解説!インターネットリサーチの進め方~調査票作成編①
【関連記事】事例で解説!インターネットリサーチの進め方~調査票作成編②

 アンケートの質問数を必要最小限に絞る

回答者の集中力は長く続かないため、質問数はなるべく少なくすることがポイントです。聞きたいことが多すぎると、画面をスクロールする途中で面倒になり離脱の原因になります。 インテージが自主企画で実施した調査では、選択肢の数は20個以下、設問の数は10分以内で答えられる20問以下が望ましいとの結果が得られています。 本当にこの質問は今回の目的に直結しているのかを見直し、削れる項目は思い切って削除することが大切です。「念のため聞いておこう」という程度の質問は、回答率を下げるリスクのほうが大きくなります。

図表4

「インターネット調査での回答時間」についての調査結果

回答者の負担が少ない選択式を中心にする

自由記述の質問は詳しい意見を聞ける一方で、文章を考える手間がかかるため回答のハードルを上げる要因になります。 そのため、選択肢の中から選ぶだけの形式を中心に構成するとよいでしょう。どうしても詳細な意見が必要な項目にだけ自由記述を用い、「その他」の選択肢の補足として配置すると効果的です。
選択肢を作る際も、「非常に満足」「やや満足」「どちらともいえない」など、直感的に選べる段階評価を取り入れると回答スピードが上がります。スマートフォンから片手でタップできる設計を意識することが大切です。

【関連記事】スマホで回答しやすい質問文の作り方~ネットリサーチ品質向上のポイント①

アンケート作成時に避けるべき設問の注意点

質問の書き方一つで、得られるデータに偏りが生じることがあります。正確な分析を行うためには、回答者を混乱させたり、無意識に誘導したりする表現を避けることが求められます。
ここでは、設問を作成する際によくある失敗例とその対策を解説します。

避けるべき設問パターン失敗例改善例
一つの設問に複数の意味を含める(ダブルバーレル質問)デザインと価格に満足していますか設問を2つに分ける デザインに満足していますか/価格に満足していますか
専門用語や曖昧な表現を使うUI/UXの改善についてどう思いますか画面の使いやすさについてどう思いますか
特定の答えに誘導する質問をする大好評の新商品ですが、購入したいですか新商品の購入意向について教えてください

一つの設問に複数の意味を含めない(ダブルバーレル質問の回避)

一つの質問の中で、二つ以上の事柄について同時に尋ねることは避けてください。これを調査の用語でダブルバーレル質問と呼びます。
たとえば「デザインと価格に満足していますか」と聞かれた場合、デザインは好きだけれど価格には不満がある人は、どのように答えてよいか迷ってしまいます。結果として、「どちらともいえない」という曖昧な回答が増えてしまいます。「デザインについて」と「価格について」の二つの質問に分割することで、それぞれの正確な評価を把握できるようになります。

設問に専門用語や人によって解釈が分かれる表現を使わない

業界内では当たり前に使っている言葉でも、一般の回答者には伝わらないケースがよくあります。意味がわからない言葉が出てきた時点で、回答を諦めてしまう人も少なくありません。専門用語は誰もが理解できる平易な言葉に言い換えるか、短い解説を添える配慮が必要です。
また、「最近」や「よく」といった人によって基準が異なる曖昧な表現にも注意が要ります。「過去一ヶ月以内に」や「週に三回以上」のように具体的な数字で示すと、解釈のズレを防げます。

特定の答えに誘導するような質問文にしない

作成者が望む答えに誘導するような聞き方をすると、調査の信頼性が損なわれます。「多くのお客様が満足している新機能ですが、あなたはどう思いますか」といった前置きは、回答者の思考にバイアスをかけてしまいます。世間の評価や自社のアピールポイントを質問文に混ぜ込むのは適切ではありません。 事実だけをフラットに提示し、中立的な立場で意見を求める文章に整えることが、正確なデータを得るための基本となります。作成後に客観的な視点で見直し、誘導的な表現が含まれていないかを確認することが大切です。

まとめ

「アンケート調査の方法とコツ」第3回は誰に何を聞くかを設計し、実際に調査票を作成する上でのコツを解説しました。

この記事の要点をまとめます。

  • 調査の目的とターゲットを明確にしてから設問を組み立てる
  • 回答者の負担を減らすため質問数を絞り、選択式を中心にする
  • 複数の意味を含む質問や専門用語を避け、わかりやすい言葉を選ぶ
  • 本番前にテスト配信を行い、表示や動作の不備を確認する

アンケートの作成は、回答者の立場に立って答えやすさを追求することが成功への近道です。
第4回では、調査結果集計のコツをご紹介いたします。

【関連記事】第4回の「アンケート調査の方法とコツ④アンケート結果のまとめ方・集計の基本とコツ」の記事へはコチラから


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