アンケート調査の方法とコツ③ 対象者条件設定~調査票作成編

いまやマーケティング活動の意思決定に欠かせないアンケート調査の基本の調査プロセスや実施のコツについて、シリーズで解説します。

第3回のこの記事では、アンケート調査の対象者の条件や回収数の決め方、調査票の作り方について解説します。

第1回の「アンケート調査の方法とコツ① アンケート調査の主な役割と企画前のチェックポイント」の記事へはコチラから
第2回の「アンケート調査の方法とコツ② 課題設定~仮説構築~調査手法の選び方編」の記事へはコチラから


【目次】

アンケート調査プロセス解説③ 対象とする調査回答者の条件設定

第2回の記事で解説したように、課題を整理し仮設を設定して、どの手法調査を実施することが決まったら、次はどのような人に調査を行うか、対象者の条件を具体的にしていきます。

【図表1】

調査手法決定の次のステップ

「あるホテルチェーンでお客様が減ってきたので、その原因を調べたい」という課題があった場合に、仮説構築を行って対象者の条件を決める流れを考えてみましょう。

第2回の記事で、仮説を立てるときにはマーケティングの実務上よく用いられるフレームワークを活用することをおすすめしました。このケースでは”3C”を利用して仮説を立ててみます。

1つ目の仮説は、「顧客」の視点から「顧客の満足を満たしていないのではないか」というもの。この仮説を明らかにするために、ホテル選びの重視点とこのホテルチェーンの評価を比較してギャップを確認することで、満足点、不満点を確認することにします。このホテルチェーンを評価してもらうには、ホテルを利用した人に聞いてみる必要がありますので、1つ目の仮説を検証するための調査の対象者は「このホテルチェーンを利用したことがある人」です。

2つ目の仮説は次に、「ホテルチェーンの魅力を伝えきれていないのではないか」という「自社」の視点で立てたもの。確認するためには、「自社のホテルチェーンを知っているのに来てくれたことがない人」がどのようなイメージを持っているのか把握し、来てくれたお客様が持っているイメージと比較すれば確認出来そうです。そこで、新たな対象者として「このホテルチェーンを知っているのに利用経験がない」という条件が設定されます。

同様に、「競合」の視点で導いた仮説についても、たとえば「競合他社の利用者」といった条件が設定されます。

このように仮説を立てて「必要な情報は何か」を考えることで、「どのような対象者条件を設定するか」も明確になります。

【図表2】

対象者条件の設定フロー

アンケート調査プロセス解説④ サンプルサイズの決定

対象者条件決定後、その条件に当てはまる人をどのくらい集めたらよいのでしょうか。定量調査と定性調査では調査回答者の人数(サンプルサイズ)を決める基準が異なります。

定量調査は文字通り「量」を重んじる手法です。数が多いほど、本来調べたい対象全ての人(母集団と言います)の傾向をよく反映する調査になります。また、アンケート結果を統計的に処理する手法なのでデータには「バラツキ」が生じますが、数が多いほど「バラツキ」が小さくなり、調査結果の精度が上がるというメリットもあります。したがって、設定した条件の数ごとに「任意の数」として予算や調査モニターの出現数に対して可能な限り多く数を割り当てるのが理想です。

とはいえ、調査にかかる予算やモニターの出現数といった制約の中、最低限取りたい数としては50人と設定することが多くなっています。先ほどのホテルの例であれば「ホテルの利用経験者50人」、男女20代を比較するなら「20代男女それぞれ50人」といった具合です。

ただし、設定した条件の最低数を50人にすると、さらに細かい視点で分析することが出来なくなるので注意が必要です。各条件をさらに細かく分析をする可能性がある場合は、条件ごとの最低数は100人としておくとよいでしょう。

定性調査はグループインタビューが適したテーマなのか、デプスインタビューが適したテーマなのかによって大きく分かれます。グループインタビューは同じ条件の人を5~6人集めて1つのグループとし、設定した条件の数だけグループを設定します。「5~6人」はお互いに刺激しあうことでインタビューの質が高まるといわれている人数です。重要な条件のグループは2グループ実施することもあります。デプスインタビューは、1つの条件について最低2人は設定したいところです。定性調査は「量」ではなく「質」を重んじる手法なので、定量調査と比較すると考え方はシンプルです。

アンケート調査プロセス解説⑤ 調査票の作成

次に、アンケート調査で具体的に聞きたいことを、調査票にします。

まずは前述の図表2のように対象者条件を決める流れの中で抽出した「知りたいこと」に加えて、他にどのようなことを知りたいかを「調査項目」として整理します。

新しい商品のコンセプトの評価調査を例にすると、「知りたいこと」は「コンセプトの評価」ですが、それだけでは調査結果を有効に活用できる可能性は低いでしょう。図表3のように、商品を使う背景にある価値観が見えるような関連情報を一緒に聴取することで、調査結果をより役に立つ情報にすることが出来ます。

【図表3】

調査項目の例(一般的なコンセプト評価)

「調査項目」を洗い出したら、どの様な順番で質問していくかを検討します。ここではマーケティングの視点で並べるのではなく、答える対象者の視点に立って、対象者が答えやすいように考えることが重要です。いくつかの要素がありますが、時間の流れでは「過去⇒現在⇒未来」の順がよいでしょう。この他には、事実を聞いてから意識を聞く、カテゴリーについての質問の後に、ブランドなどの具体的な質問をする、といったことがあげられます。

ここで1つ注意しなければならない点があります。「先に質問した時に提示した情報は、後ろの質問に対する刺激になる」ということです。これを順序バイアスと言います。例えば、具体的なブランド名を提示してイメージを答えてもらう質問をした後に、「知っているブランド名を自由に入力してもらう」という質問をすると、先の設問で見たブランド名を思い出してしまい、本来知りたかった回答が得られないということになりかねません。

このように調査項目を整理して順番を考え、調査票の骨格を作ってから、具体的な質問分を作成して調査票を完成させていきます。

具体的な質問の文章を考えて選択肢を作成していくプロセスにも、注意すべき点があります。現在の定量調査はネットリサーチが主流ですが、回答する対象者の多くはPCではなくスマートフォンで回答していて、その割合は年々増加傾向にあります。

スマートフォンの小さい画面で回答しているということを念頭に置いて、文章はわかりやすくコンパクトに、設問の数もむやみに多くせずに、必要なことに絞り込んで調査票を作成し、調査回答者の負担を軽くすることが、良い調査結果を入手するコツです。

インテージが自主企画で実施した調査では、選択肢の数は20個以下、設問の数は10分以下で答えられる20問以下が望ましいとの結果が得られています。

【図表4】

「インターネット調査での回答時間」についての調査結果

このように、調査票作成においては 「結果の活用しやすさ」「回答者の回答しやすさ」を意識することが重要です。

「アンケート調査の方法とコツ」第3回は誰に何を聞くかを設計し、実際に調査票を作成する上でのコツを紹介しました。

第4回では、調査結果集計のコツを紹介予定です。

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