SDGs広く認知が進み、内容理解の深化と取り組み実践へ

SDGsに取り組む企業への応援意向は認知者の半数を超える

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株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、2020年から継続的に実施しているSDGsに関する調査(全国15~69歳が対象)の分析結果を公開します。

[ポイント] 

  • SDGsの認知率は8割超で、昨年と同水準。より深い内容の理解が進む局面へ
  • 「優先的に取り組むべきゴール」は世相を反映し、「平和と公正をすべての人に」が1位に
  • インテージサステナブルセグメントによると「サステナブル行動を進んで行う層(Super+High)」は約3割と大きな変化はみられなかった。一方で2年連続でLow層がわずかに増加している
  • 生活者の約1割が「よりよい社会や環境の実現を意識した商品・サービス選択」を行う一方、約6割は「自分へのメリットでの商品選択」を行っている。残りの3割は「社会と自分へのメリットの両立」
  • SDGsに取り組む企業を応援したい人は認知者*のうち51.1%。対応商品の購買を通じてよりよい社会や環境の実現を期待

 *認知者:SDGs用語を、「内容を知っている」「内容をある程度知っている」「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」計

①SDGs認知は2022年に約8割に達した。以後、微増傾向が続く

インテージでは、2020年から継続的にSDGsに関する自主調査を実施し、認知率や生活者が「優先的に取り組むべき」と考えるゴールについて、時系列で分析しています。
SDGsの認知率*は2022年まで毎年大幅上昇していたものの、2023年1月には83.7%、最新(2023年12月末)には84.6%と微増で推移しています(図表1)。しかしながら、「内容を知っている」「内容をある程度知っている」という人は56.6%と前回(53.8%)よりやや増加しており、SDGsに対する認知浸透は一定上限に達しつつ、現在は理解の深化に向かう局面にあると言えそうです。

 *認知者:SDGs用語を、「内容を知っている」「内容をある程度知っている」「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」計

図表1

②コロナ禍を経て、戦争や紛争といった新しい社会課題に直面。「平和と公正をすべての人に」がトップに

次に、「SDGsで優先的に取り組むべきゴール」がこの3年間でどのように変化したのかを見てみます。図表2は、優先的に取り組むべきだと思う順に選択された3つのゴールを足し上げた結果です(図表2)。
トップには「平和と公正をすべての人に」が挙げられており、以下、「すべての人に健康と福祉を」「気候変動に具体的な対策を」「貧困をなくそう」「人や国の不平等をなくそう」と続いています。上位5つの項目は順位の変動はありつつも2021年から顔ぶれ自体には変化は見られません。
一方で順位の移り変わりには社会の持つ空気感や生活者の心理が反映され、コロナ禍においては感染不安を反映して「すべての人に健康と福祉を」が高まりました。また、コロナインパクトによる景気の冷え込みといった経済不安・家計不安に呼応して、以前は上位10位圏外だった「働きがいも 経済成長も」が前回大きくスコアを伸ばして、7位にランクインしました。
そして、ウクライナ情勢や中東におけるイスラエル・ガザの衝突を目の当たりにしたことも影響してか、最新の結果では「平和と公正をすべての人に」がトップとなりました。過去の動きを振り返ると、3位→2位→1位とこの項目は年々順位を上げてきており、戦争や紛争といった社会不安の影が生活者を色濃く覆いつくしている様子が浮かんできます。

図表2

③最大の関心事は地球よりお財布。「物価上昇」がなによりの課題
「心の健康・孤独」や「超高齢化・介護」といった‘Well-being(幸福)’につながる課題感も根強い

図表3は、30の社会課題・テーマの中から“関心のあるもの(いくつでも)”“最も関心のあるもの(ひとつだけ)”を選んでもらった結果です。
“関心のあるもの”“最も関心のあるもの”ともに1位は「物価上昇、生活費高騰」でした。“最も関心のあるもの”としては2位以下に10.5ポイントという大きな差をつけています。気づけば私たちの身の回りにあるさまざまなモノやサービスが値上がりしています。政府や企業も「賃上げ・所得増」には意欲的に取り組んでおり、春闘では大手企業を中心にベアアップも多く見られました。その動きは2024年春闘にも継続しそうです。しかしながら、「実質賃金」ということになると目論見通りに「増えた」とはいかないようです。消費者物価指数を上回る、実感の伴う所得増がないかぎり、「物価上昇、生活費高騰」のスコアが落ち着きをみせることはなさそうです。
その他の項目に目を向けると、「心の健康・孤独」といった「Well-being」につながるテーマも大きな課題感となっているようです。また、「超高齢化・介護・世代間格差」「子育て・少子化」といった日本が直面する社会課題への関心も高いようです。SDGsといった大きな社会課題に対して認識を深め、日々の取り組みとして定着するためにも、精神的・経済的な安心・安全が担保されることがより大きな社会課題への取り組みにつながるのではないでしょうか。

図表3

④サステナブル行動をする人の割合に大きな変化はないが、Low層が増加

サステナブル度の高いSuper層+High層(以下、「サステナブルアクティブ層」と表記)の割合は、2020年から2021年にかけて増加しましたが、直近の2023年12月調査では、2022年と比較すると0.8ポイントマイナス(31.9%→31.1%)となり、大きな変化はありません。
サステナブル度が低いLow層は2年連続で増加しています。2022年12月調査と比較すると1.9ポイント(14.3%→16.2%)増加。2021年12月調査と、2022年12月調査を比較すると、0.8ポイント(13.5%→14.3%)の増加がみられました。昨今の消費財の価格上昇傾向から、生活防衛意識が高まり、Low層が増加したのではないかと考えます。しかし全体の傾向を見ると、「サステナブルアクティブ層」の割合が約3割あり、サステナブルな行動をする生活者が一定のボリュームで存在、かつ定着していることが分かります(図表4)。

図表4

⑤サステナブル度が高いのは男女ともに若年層と高齢層で高くなる「U字型」

「サステナブルアクティブ層」の割合は、男性は10代、20代、60代、女性は10代、40~60代で高く、一方で男性30~50代、女性は20~30代が低いU字型となっています。
最も「サステナブルアクティブ層」の割合が多いのは60代の女性で、「サステナブルアクティブ層」の割合が54.7%に達します(図表5)。

図表5

⑥商品やサービスを選ぶ視点は、自分のため?社会のため?

商品やサービスを選ぶ際に「よりよい社会や環境の実現」と「自分へのメリット」のどちらを重視するかを調べたところ、全てのカテゴリーにおいて概ね「よりよい社会や環境の実現」が約1割、「よりよい社会や環境の実現と自分へのメリットの両立」が約3割、「自分へのメリット」が約6割となりました。よりよい社会や環境の実現と生活者へのメリットの両方が望まれます。
カテゴリー別に見てみると、特に、“日用品(消耗品)”と“車”では「よりよい社会や環境の実現」または「よりよい社会や環境の実現と自分へのメリットの両立」の割合が高く、“日用品(消耗品)”では、商品選択時に「よりよい社会や環境の実現につながること」もしくは、「どちらかというと、よりよい社会や環境の実現につながること」と回答した人が12.6%、「よりよい社会の実現と自分のメリットの両立」という回答した人が25.7%でした。
また、“車”では、「よりよい社会や環境の実現につながること」もしくは、「どちらかというと、よりよい社会や環境の実現につながること」と回答した人が15.1%、「よりよい社会の実現と自分のメリットの両立」と回答した人が26.4%となりました。(図表6)。
この2カテゴリーでは、約4割の生活者が、商品選択において「よりよい社会や環境の実現」を意識していることがわかります。
“日用品(消耗品)”はマイクロプラスチックゴミ問題、“車”は地球温暖化問題など、近年注目されている社会課題によりイメージがつながりやすいカテゴリーで、より「生活者自身も社会課題の解決や環境への貢献をしたい」と考えている人が多いのではないかと推察されます。

図表6

⑦SDGsに取り組む企業を応援するのか?

図表7はSDGs用語認知者に対してSDGsへの関心や、取り組む企業・関連商品への意識を聴取した結果です。
約5割の人が、「SDGsに関心」があり、「自身も取り組みたい」、「取り組む企業を応援したい」と感じています。
また、4割の人は「SDGs関連の商品やサービスを購入・利用したい」と考えています(図表7)。
2022年12月調査と比較すると、微細な変化でありますが、全ての項目において増加しています。引き続き生活者はSDGsへの取り組みに積極的な企業の活動に共感し、そして応援し、その企業が産み出すSDGsに対応した商品を購入することにより、生活者自身も、社会や、環境への貢献をしたいと考えているのではないでしょうか。

図表7

本レポートにあるように、ここ数年でSDGsは広く認知されるようになりました。国内においては猛暑や震災などが気候変動や自然環境の保全といった関心を高めることにつながっています。また、世界に目を向けると世界各地で行われている戦争や紛争により平和を求める声の高まりにつながっています。
今後は、そうした理解や気づきをどのような行動に結びつけられるか、そして、継続して実践していけるか、が重要になっていきそうです。インテージで実施したさまざまなサステナビリティに関する自主調査の結果から、「実践」や「継続」のためには、時間やお金、心のゆとりや、自分へのメリットが感じられることが重要であることが示唆されています。
今回のレポートでも明らかになったように、物価高による生活困窮など自身の足元、暮らしの安心・安全がおぼつかないと、社会に向けての目も閉じがちになってしまいます。そうした側面も含めて、今後の動きを見守っていきたいと思います。

インテージは、「サステナブル・ブランド国際会議」(2024年2月21日・22日開催)に協賛しています。同会議には、弊社の生活者研究センター・センター長の田中宏昌が「データ分析に基づいたサステナブル・マーケティング -得か徳か?データから浮かび上がる本音と建て前[2月21日(Day 1)13:45-15:00]」に登壇予定です。関心のある方はぜひ、ご視聴をお願いいたします。

https://sb-tokyo.com/2024/


使用したデータ【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】

株式会社インテージ

株式会社インテージは1960年に創業。インテージグループとしてアジアNo.1*であるマーケティングリサーチ/インサイト事業に加えてマーケティングソリューション事業を展開し、9か国の海外拠点とともに国内外の企業・団体のマーケティング活動を総合的に支援しています。事業ビジョンとして“Create Consumer-centric Values”を掲げ、深い生活者理解とデータ活用の高度化による顧客企業支援を通じ、生活者の幸せの実現を目指しています。
*「ESOMAR’s Global Top-50 Insights Companies 2024」に基づく(グループ連結売上高ベース)

株式会社インテージ

報道機関からのお問い合わせ先

  • 株式会社インテージ :

  • 広報担当 : 田中(たなか)/濱(はま)/ 下河原(しもがわら)/森(もり)

  • TEL : 03-5294-6000

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