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プレスリリース新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う外出自粛による家庭のエネルギー消費への影響分析
第一報:在宅勤務とエネルギー消費の関係および在宅勤務実施世帯の特徴
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下:インテージ)と株式会社住環境計画研究所(代表取締役会長:中上英俊、東京都千代田区紀尾井町3-29 紀尾井町アークビル3階)は共同で、COVID-19の感染拡大に伴う外出自粛が家庭のエネルギー消費やライフスタイルに与えた影響を検討するための調査を2020年6月26~29日に実施しました。
この度、第一報として就業者のいる世帯に関する集計を実施し、在宅勤務のエネルギー消費への影響と在宅勤務実施世帯の特徴について取りまとめましたので、ご報告いたします。
[ポイント]
- 在宅勤務とエネルギー消費量の関係: 集合住宅に住む単身世帯では、在宅勤務実施がエネルギー消費量に与える影響が大きい
- 在宅勤務実施世帯の省エネ意識: 在宅勤務日数の増えた世帯では、省エネ意識が高まった世帯と少々緩んだ世帯がそれぞれ若干増加している
- 在宅勤務実施世帯における負担感・満足度: 在宅勤務日数が増えると、仕事の負担を感じる割合が若干増加している。一方で生活全般については、不満を感じる割合も、満足を感じる割合も若干増加している
- 在宅勤務と自宅での調理食数: 在宅勤務日数の増えた世帯において、平日昼の調理食数が顕著に増加している
- 在宅勤務と光熱費の意識: 在宅勤務日数が増えると、光熱費が増えたと感じる割合が高くなり、今夏の光熱費を心配する割合も高くなっている
<分析の切り口について>
本報告では、1月時点と比べた4月下旬時点の在宅勤務日数の変化を、以下の区分で分類して分析しています。
・0→5日以上増: 0日/週から5日/週以上(「在宅勤務なし」から「完全在宅勤務」への移行)となった人の世帯
・1~4日増: 1~4日/週増えた人の世帯
・日数変化なし: 変化のない人の世帯
在宅勤務とエネルギー消費量の関係: 集合住宅に住む単身世帯では、在宅勤務実施がエネルギー消費量に与える影響が大きい
家庭内エネルギー消費量(電気・ガスの合計)の2020年2月~4月の推移をみると、集合住宅に住む単身世帯において(図1中央)、在宅勤務の日数変化によるエネルギー消費量への影響が大きい。「日数変化なし」では4月時点のエネルギー消費量は2月比で13%減となっているが、在宅勤務日数が増加した人の世帯(「0→5日以上増」および「1~4日増」)では減少が小さくなっている。集合住宅に住む二人以上世帯では(図1右)、単身世帯(図1中央)と比べると在宅勤務日数の変化による影響は小さい。戸建住宅に住む世帯の場合は(図1左)、在宅勤務日数の変化による影響は確認できなかった。
図1. 家庭内エネルギー消費量(電気・ガス合計)2020年2~4月の推移(2月値=100とした指数値)
(左:戸建住宅・二人以上世帯/中央:集合住宅・単身世帯/右:集合住宅・二人以上世帯)
ベース:戸建住宅に住む世帯および集合住宅に住む単身世帯のうち、1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯を除いた世帯
※集合住宅に住む単身世帯の「0→5日以上増」が29サンプルと少ないことに留意
在宅勤務日数が増加した人の世帯は、「若中年の夫婦+子世帯」(図2)「普段の通勤に長時間を要する世帯」(図3)「普段公共交通機関で通勤している世帯」(図3)においてその割合が高くなっている。なお、「若中年」とは全員が65歳未満の世帯を指す。
図2. 世帯類型
住宅建て方別×4月中旬における1月中旬からの在宅勤務日数の変化別
ベース:戸建住宅および集合住宅に住む世帯のうち、1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯を除いた世帯
図3. 普段の通勤時間および通勤手段
住宅建て方別×4月中旬における1月中旬からの在宅勤務日数の変化
(左:普段の通勤時間/右:普段の通勤手段)
ベース:戸建住宅および集合住宅に住む世帯のうち、1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯と、通勤時間や通勤手段についての無回答を除いた世帯
在宅勤務実施世帯の省エネ意識: 在宅勤務日数の増えた世帯では、省エネ意識が高まった世帯と少々緩んだ世帯がそれぞれ若干増加している
在宅勤務日数が増加した人の世帯において、1月以前と比べて4月中旬時点では、省エネに「比較的気を遣っていた」割合が低下し、省エネ意識がより高まった世帯と少々緩んだ世帯がそれぞれ若干ながら増加している。この傾向は6月時点でも同様となっている。一方、「変化なし」では、省エネ意識に大きな変化は見られない。(図4)
図4. 省エネ意識
4月中旬における1月中旬からの在宅勤務日数の変化別
ベース:1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯を除いた世帯
在宅勤務実施世帯における負担感・満足度: 在宅勤務日数が増えると、仕事の負担を感じる割合が若干増加している。一方で生活全般については、不満を感じる割合も、満足を感じる割合も若干増加している
在宅勤務日数が増えるにつれて、環境変化に伴う仕事の負担を感じる割合が高くなっている。「0→5日以上増」では、1月以前よりも負担を感じている割合は4割弱となっている。1月以前よりも仕事の負担が減っていると感じている人の割合は、在宅勤務日数の変化に関わらず2割弱となっているが、「1~4日増」では、それ以外の世帯と比べて、負担が減っていると感じている割合が若干高くなっている。(図5左)
生活全般の満足度については、在宅勤務日数の増加に伴い、不満を感じる割合も、満足を感じる割合もそれぞれ若干ながら増加している。不満を感じている割合は、「0→5日以上増」では42%となっており、「日数変化なし」の38%と比べて4ポイント高くなっている。一方で満足を感じている割合は、前者で17%となっており、後者(11%)と比べて6ポイント高くなっている。(図5右)
図5. 環境変化に伴う仕事の負担感および生活全般の満足度※
4月中旬における1月中旬からの在宅勤務日数の変化別
(左:環境変化に伴う仕事の負担感/右:生活全般の満足度)
ベース: 1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯を除いた世帯
※点数が高いほど負担感が小さい/満足度が高い。「5点」は1月以前と同程度
在宅勤務と自宅での調理食数: 在宅勤務日数の増えた世帯において、平日昼の調理食数が顕著に増加している
在宅勤務日数が増加した世帯では平日昼の調理食数の増加が顕著である。特に、「0→5日以上増」では、世帯員1人当たりの平日昼の調理食数が、1月比で0.5人分以上増加した割合が、4月中旬時点では半数以上となっている。6月下旬時点では低下するが、引き続き3割の世帯では1月比で0.5人分/人以上増加したままとなっている。(図6)
図6. 平日昼の世帯員1人当たり調理食数の1月以前からの変化
住宅建て方別×4月中旬における1月中旬からの在宅勤務日数の変化別
ベース:戸建住宅及び集合住宅に住む世帯のうち、1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯を除いた世帯
在宅勤務と光熱費の意識: 在宅勤務日数が増えると、光熱費が増えたと感じる割合が高くなり、今夏の光熱費を心配する割合も高くなっている
在宅勤務日数が増えるにつれて、光熱費が増えたと感じている割合が高くなっており、今夏の光熱費の増加を心配している割合についても若干ながら高くなっている。特に「0→5日以上増」では、光熱費が増えたと感じている割合は7割弱と高い水準となっている。(図7)
図7. 光熱費の感じ方および今夏の光熱費の心配の度合い
4月中旬における1月中旬からの在宅勤務日数の変化別 (左:光熱費の感じ方/右:今夏の光熱費の心配の度合い)
ベース: 1月中旬から4月中旬に在宅勤務日数が減った世帯を除いた世帯
調査概要
調査方法 | インテージSCIモニターを対象としたエネルギーパネル付帯調査 ※㈱インテージでは、全国の15~79歳の男女52,500人の消費者から、継続的に日々の買い物情報を収集しており(SCI)、全国52,500人に2019年5月以降、毎月の電気およびガス(都市ガス・LPガス)の使用量・料金を定期的に調査している(エネルギーパネル)。 |
調査対象 | エネルギーパネルの登録者の中で、以下の条件に該当するサンプルを調査対象とした。 1)以下の地域に居住する世帯 関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県) 中部地方(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県) 近畿地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県) 2)居住専用の住宅に居住している世帯 3)2020年1月以降、転居、増減築、建て替え等をしていない世帯 4)2020年1月~4月の電気、都市ガス、LPガス消費量の使用量および支払金額の回答が得られている世帯 |
集計対象 | 本報告における集計では、上記調査対象から回収されたデータの中から、以下のサンプルを除外した。 1) 審査によりエネルギーデータに異常値が含まれている可能性が高い世帯 2) 自営業の世帯(在宅勤務を定義できないため) 3) 家庭内で灯油を使用している世帯(エネルギーパネルでは灯油の消費量が把握できないため) 4) 就業者のいない世帯 |
サンプルサイズ | n=2,652(集計対象) |
調査期間 | 2020年6月26日~29日 |
株式会社インテージ
株式会社インテージは1960年に創業。インテージグループとしてアジアNo.1*であるマーケティングリサーチ/インサイト事業に加えてマーケティングソリューション事業を展開し、9か国の海外拠点とともに国内外の企業・団体のマーケティング活動を総合的に支援しています。事業ビジョンとして“Create Consumer-centric Values”を掲げ、深い生活者理解とデータ活用の高度化による顧客企業支援を通じ、生活者の幸せの実現を目指しています。
*「ESOMAR’s Global Top-50 Insights Companies 2024」に基づく(グループ連結売上高ベース)
株式会社住環境計画研究所
株式会社住環境計画研究所(東京都千代田区、代表取締役会長:中上 英俊)は、1973年の創業以来、47年にわたり「住」を核としたシンクタンクとして活動を続けています。近年は特にエネルギー問題、地球環境問題を念頭に置き、環境負荷の小さい住環境とライフスタイルの実現に向けた研究に注力しています。特に、家庭のエネルギー使用状況の調査・研究については豊富な実績・ノウハウを持っています。現場の「暮らし」と「環境」を見据え、最適なソリューションを提案してまいります。
株式会社住環境計画研究所本件に関するお問い合わせ先
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株式会社インテージ :
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カスタマー・ビジネス・ドライブ本部 :
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担当 : 甲斐・秋谷
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TEL : 03-5294-8338
報道機関からのお問い合わせ先
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株式会社インテージ :
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広報担当 : 下河原(しもがわら)/西澤(にしざわ)
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TEL : 03-5294-6000
株式会社住環境計画研究所へのお問い合わせ
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担当 : 岡本・岩本
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TEL : 03-3234-1177
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