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2022/02/24調査レポート

SDGs認知者、「取り組む企業応援したい」は53%

企業に求められる生活者理解 -SDGs意識・サステナブル行動の世代差が浮き彫りに

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、2020年から継続的に実施しているSDGsに関する調査の分析結果を公開します。
2022年2月9日のニュースリリース「SDGs認知率は8割、2年間で約3倍に」に続く今回は、生活者の日々の行動・商品購買へのSDGsの影響を分析し、企業に求められる対応のヒントを探りました。

[ポイント]

  • この1年でサステナブルな行動を「先導する」層+「積極的にする」層は4ポイント増加
  • 生活者のサステナブルな行動には、世代間の差がある
  • 「SDGsに取組む企業を応援したい」はSDGs認知者の53%、「SDGs関連商品・サービスを購入・利用したい」は45%。SDGs意識にも世代差あり。

この1年でサステナブルな行動を「先導する」層+「積極的にする」層は4ポイント増加

インテージでは、サステナブルな行動に対する質問(10問)を用いて、回答者をサステナブル行動の関与度により4層(Super、High、Moderate、Low)に分けています(以下、この区分を「サステナブルセグメント」と表記)。
直近の2021年12月調査の結果を2020年12月調査と比較すると、Super層(サステナブルな行動を先導して行う人)が0.7ポイント増加(4.6%→5.3%)High層(サステナブルな行動を積極的にする人)が3.4ポイント増加(25.1%→28.5%)しています。

図表1

20220224_01_fig.png


世代別で見てみたところ、年配層と若年層での増加幅が大きく、60代男性のHigh層が6.3ポイント、60代女性のHigh層が5.2ポイント増加、20代男性のHigh層が3.8ポイント、20代女性のHigh層も3.8ポイント増加していました。
SDGsの認知率が約8割に達し、内容理解や共感は今後も進むことが想定されることから、サステナブルな行動を進んで行うSuper層、High層の更なる増加が見込まれます。

生活者のサステナブルな行動には、世代間の差がある

前述の「サステナブルセグメント」の区分けに用いた質問項目の回答結果から、世代間に行動の差があることが見えてきました。
図表2は、この10項目を全体での回答率の高い順にソートした上で、各サステナブル行動を行っている人の割合を世代別にグラフ化したものです。全体では、食に関する項目の実施率が高いことが見て取れます。
世代別の回答結果には2つのパターンがあることがわかります。

◆年配層が高く、若年層が低い行動(10代・20代に比べ、50代・60代が高い)
「使い捨ての割り箸やプラスチックスプーン、フォークなど、不要なものは断る」「食材は地元産のものを消費する」「食品添加物や合成保存料を使用していない食品を選ぶ」の選択率が男女ともこの傾向
◆U字型の傾向の行動(10代・20代、50代・60代に比べ、30代・40代が低い)
「リサイクル素材を使って作られた商品を選ぶ」「エコマークがついた商品を選ぶ」「化学物質の入っていない、水を汚さない成分の洗剤を選ぶ」の選択率が男性で、「肌、髪のケア用品、化粧品はオーガニック製品を選ぶ」「社会的格差の解消を助ける、フェアトレード商品を選ぶ」の選択率が女性において、この傾向

図表2

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日々の食の中でのサステナブル行動は、在宅率や自炊率が他の世代より高いと思われる年配層の特に女性で意識されていることがわかります。また、「食材は地元産のものを選ぶ」「添加物や保存料を使わない食品を選ぶ」といった行動は、自身の健康にも影響するため、年齢とともに健康意識が高まるにつれて増えていくと考えられます。
一方、U字型の傾向にある行動の背景として、若年層では、学校教育の影響もあり「自分の行動でよりよい社会や環境に変えていく」という思いが他の世代より強いこと、年配層においては、他の世代に比べ時間的・金銭的余裕があることが背景にありそうです。

「SDGsに取組む企業を応援したい」はSDGs認知者の53%、「SDGs関連商品・サービスを購入・利用したい」は45%。SDGs意識にも世代差あり。

図表3はSDGs認知者に対してSDGsへの関与度や、取り組む企業・関連商品についての意識を聴取した結果です。
いずれの項目も5割前後が「そう思う」あるいは「まあそう思う」と回答しており、SDGs認知者の約2人に1人が、企業の社会貢献活動にも注目し「取り組む企業を応援したい」「SDGs関連商品・サービスを購入・利用したい」と感じていることがわかりました。SDGsが生活者と企業との関係性構築や、マーケティング活動と切り離せない要素となってきていることがうかがえます。

図表3

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また、世代別に見るとこちらも女性ではU字型傾向が見られ、若年層と年配層で共に高く、男性では40代が他の世代より低い“V型傾向”が強い結果となりました(図表4)。

図表4

20220224_04_fig.png

40代男性がV字型に落ち込んでいる背景として、「時間のゆとり」「心のゆとり」「お金のゆとり」がキーワードにあるようです。この調査の中で、これらについて聴取したところ、40代男性は「とてもゆとりがある」あるいは「まあゆとりがある」と答えた人の割合は、全体の回答割合に比べ少ない結果でした(それぞれ-9.7ポイント、-7.8ポイント、-4.6ポイント)。

今回の分析から、SDGsに関する行動や考え方には、各世代のライフスタイルや時間的・精神的・金銭的な余裕、学校教育などの影響が大きく影響していることが浮き彫りになりました。
メディアで取り上げられる機会が増え、SDGsが生活者の関心事となってきている今、企業としては、投資家向け中心だったESG活動を、商品やサービスを介し生活者へ向けてSDGsの取り組みを発信し貢献するステージへと変革する時期を迎えているのではないでしょうか。
またSDGs関連の商品・サービス戦略の立案に当たっては、生活者をひと括りにせず、世代別のマーケティング戦略が必要といえそうです。

インテージは、「サステナブル・ブランド国際会議」(2022年2月24日・25日開催)に協賛しています。
同会議には、弊社の生活者研究センター・センター長の田中宏昌が登壇予定です。

インテージはサステナビリティについてさまざまな自主調査を実施し、分析結果をオウンド・メディア知るギャラリーで公開しています。


調査概要
<2021年12月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より母集団構成比にあわせて抽出しアンケート配信および回収
標本サイズ:n=10,003
調査実施時期:2021年12月14日~12月16日

<2020年12月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69歳の男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より母集団構成比にあわせて抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2020年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=10,572
調査実施時期:2020年12月4日~12月7日


株式会社インテージ

株式会社インテージは1960年に創業。世界11の国と地域に拠点を持ちマーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1*のインテージグループを牽引し、国内外の企業・団体のマーケティング活動をトータルサポートしています。
「生活者理解の深化」と「データ活用の高度化」により顧客ビジネスの未来創造を支え、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」という事業ビジョンの実現を目指しています。
*「ESOMAR Global Market Research 2021」ESOMAR's Global Top-50 Insights Companiesに基づく(グループ連結売上高ベース)

報道機関からのお問い合わせ先

株式会社インテージ

広報担当
西澤
TEL
03-5294-6000