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2023/02/09調査レポート

SDGs 優先的に取り組むべきゴール「働きがいも 経済成長も」が急上昇

物価高が影響か。「平和と公正」も順位上げる

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、2020年から継続的に実施しているSDGsに関する調査(全国15~69歳、2,513人)の分析結果を公開します。

[ポイント]

  • SDGsの認知率は8割超で、昨年と同水準。認知としてはほぼ上限に達したのではないか。

  • 「優先的に取り組むべきゴール」は世相を反映。「平和と公正をすべての人に」が2位となった一方で、2022年は首位だった「貧困をなくそう」が4位に下がった。

  • 2021・2022年は上位10位圏外だった「働きがいも 経済成長も」が7位に。物価上昇・生活費高騰に直面する中、賃金が上がらないと生活は苦しいままという背景があると考えられる。

インテージでは、2020年から継続的にSDGsに関する自主調査を実施し、認知率や生活者が「優先的に取り組むべき」と考えるゴールについて、時系列で分析しています。
SDGsの認知率*は2022年まで毎年大幅上昇していたものの、2023年には83.7%と微増でした(図表1)。「内容を知っている」「内容をある程度知っている」人も2022年と同水準の53.8%に留まり、「SDGsの認知」としては、言葉の認知・内容の認知ともに、これ以上は大きく上昇しない水準に達したと言えそうです。
 *認知率:SDGsについて「内容を知っている」「内容をある程度知っている」「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」計

図表1

SDGs認知率(2020-2023)イメージ図

次に、「SDGsで優先的に取り組むべきゴール」がこの3年間でどのように変化したのかを見てみます。図表2は、優先的に取り組むべきだと思う順に選択された3つのゴールを足し上げた結果です。2021年から継続して、「すべての人に健康と福祉を」「平和と公正をすべての人に」「気候変動に具体的な対策を」「貧困をなくそう」「人や国の不平等をなくそう」が上位5位に入っていて、上位となるゴールの顔ぶれ自体には変化は見られません。
ただし、順位の入れ替わりには、世相の影響が見られます。2022年首位だった「貧困をなくそう」は、2023年には4位に下がっています。長引くコロナ禍で経済活動の縮小に直面していた昨年に対して、2023年には感染対策と経済活動の両立が進み、「貧困問題」が相対的に意識されにくい状況となったのかもしれません。
また、2023年には「平和と公正をすべての人に」が、「すべての人に健康と福祉を」に続いて2位となりました。「平和と公正をすべての人に」はコロナ禍真っただ中だった2021年2月には1位でした。このときには、「現在世界が直面しているこのコロナ問題に対しては、自国の利益だけ考えて利己的な行動を取っていては解決できず、公正性が求められること」を反映しているのではないかと考察していました。一方、2023年に順位を上げたのは、「平和」を求める思いの表れと考えられます。昨年2月に始まったウクライナへの軍事侵攻は未だ続いていて、現地の被害状況や避難民の様子、経済やエネルギー面も含めたさまざまな戦争の影響が連日報道されています。戦争が終結し、平和が取り戻されることへの願いが反映された結果と言えるのではないでしょうか。
もう1点、2023年に注目したいのは「働きがいも 経済成長も」の伸びです。2021年・2022年は上位10位圏外だったのが、2023年には7位となりました。

図表2

SDGsで優先的に取り組むべきだと思う順に上位3つ計(2021-2023)イメージ図

「働きがいも 経済成長も」への関心が高まった背景には何があるのでしょうか。生活者が関心を持つ社会課題・テーマと関連付けて見てみると、昨今の物価上昇・生活費高騰の影響が見てとれます。
図表3は、30の社会課題・テーマの中から「関心のあるもの(いくつでも)」「最も関心のあるもの(1つ)」を選んでもらった結果となります。「関心のあるもの」「最も関心のあるもの」ともに1位は「物価上昇、生活費高騰」でした。「最も関心のあるもの」としては2位以下に8ポイント以上差をつけています。物価高が生活を直撃する中、日本では20年以上にわたって賃金が伸び悩んでいる状況です。一部企業では賃上げの動きが見られるものの、経済がよくならないと生活も楽にならないという思いが、「働きがいも 経済成長も」への関心の高まりにつながっているのではないでしょうか。

図表3

関心のある課題・テーマのイメージ図

ここ数年で、SDGsは広く認知されるようになりました。次の段階としては、どう行動に結びつけられるかが関心事となっていきそうです。インテージで実施したさまざまなサステナビリティに関する自主調査の結果から、「行動」に進む上では、時間やお金、心のゆとりや、自分へのメリットが感じられることが重要であることが示唆されています。サステナブル行動の推進においても、地球・環境や社会への良い影響だけでなく、生活者自身にどう良いのかも含めて考えていく必要がありそうです。

本プレスリリースに掲載していないデータも「2023年 日本人のSDGs意識 「優先順位」に見られた新たな動きとは?」(https://gallery.intage.co.jp/sdgs2023/)に掲載していますので、ぜひご覧ください。
また、2023年2月13日には、生活者の日々の行動・商品購買へのSDGsの影響を分析し、企業に求められる対応のヒントを探った内容を公開予定です。どうぞご期待ください。

インテージは、「サステナブル・ブランド国際会議」(2023年2月14日・15日開催)に協賛しています。同会議には、弊社の生活者研究センター・センター長の田中宏昌が「C2-2. ウェルビーイングが欠かせないDEI&“B”」に登壇予定です。


使用したデータ
インテージのネットリサーチによる自主調査データ
<共通>
調査地域:日本全国
対象者条件:15~69歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2020年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した当該年度の構成比にあわせてウェイトバック

<2023年1月調査>
標本サイズ:n=2,513 ※ウエイトバック集計あり
調査実施時期:2023年1月18日(水)~1月20日(金)

<2022年1月調査>
標本サイズ:n=2,556 ※ウエイトバック集計あり
調査実施時期:2022年1月25日(火)~1月27日(木)

<2021年2月調査
標本サイズ:n=2,544 ※ウエイトバック集計あり
調査実施時期:2021年2月5日(金)~2月8日(月)

<2020年1月調査
標本サイズ:n=3,206 ※ウエイトバック集計あり
調査実施時期:2020年1月20日(月)~1月22日(水)


株式会社インテージ

株式会社インテージは1960年に創業。世界9の国と地域に拠点を持ちマーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1*のインテージグループを牽引し、国内外の企業・団体のマーケティング活動をトータルサポートしています。
「生活者理解の深化」と「データ活用の高度化」により顧客ビジネスの未来創造を支え、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」という事業ビジョンの実現を目指しています。
*「ESOMAR's Global Top-50 Insights Companies 2022」に基づく(グループ連結売上高ベース)

報道機関からのお問い合わせ先

株式会社インテージ

広報担当
依田
TEL
03-5294-6000