値上げは高止まり傾向も、一部生活者に節約疲れの動き

主食は店頭価格がやや落ち着くも、マヨネーズなど調味料で値上げ強まる
特売品、クーポンなどを利用する人は半年前に比べ横ばい、微減

Share

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)をもとに、食品・日用雑貨など主な消費財を対象として店頭販売価格の値上げについて調査しました。

[ポイント]

  • 食用油は高止まり。マヨネーズ、チーズ、砂糖などの価格が上昇傾向
  • 特売品、クーポンなどで生活防衛を行う人の割合が横ばいから微減。一部生活者に節約疲れも
  • ドラッグストアでの食品販売金額が大幅増。スーパーマーケットの伸び率を大きく上回る
  • 日用雑貨も、洗濯用洗剤が3年前に比べて20%以上高くなるなど新たな動きが
図表1

データ:SRI+ 集計期間:2022年6月-2023年6月、指標:平均価格・2020年比較
※2020年比110%以上を赤字で表示

調味料は値上げ続くも主食は高止まり傾向。ただ7月の価格変更で更なる上昇も

一昨年から続く値上げの流れ。今年7月にも多くの食品が値上げすることが報道されるなど、まだまだ目が離せない状況が続いています。それでは足元での値上げの状況がどうなっているのか、6月までのデータを見てみましょう(図表1)。値上げの代表的な商品と言われた食用油はキャノーラ油、サラダ油ともに高止まりとなっています。ただ他の調味料では値上げが続くものが出ていて、マヨネーズは大幅値上げが起きる前の2020年と比べて約1.5倍。チーズ、砂糖、醤油、ケチャップ、ソースなども1.2倍を超えてきました。一方で主食は食パン、小麦粉、そば、うどんなどは高止まりながら落ち着いた動きを見せる中、袋ラーメン、カップラーメンなどが大手メーカーの値上げなどもあり上昇傾向にあります。魚肉ソーセージやサバ缶などの魚を使った加工食品でも値上げが見える中、大きな値上げが見えたのは100%ジュース。6月には134%にまで上昇していました。

一部で節約疲れの動きも? 値上げに個人の努力で対応する難しさが

値上げが止まらない中、生活者はどのような方法で対応しているのでしょうか?(図表2)。ここで出てきたのが、1つの変化でした。昨年6月と同12月を比べると特売品やクーポン、タイムセールを利用など、食費節約の工夫をするという人の割合が軒並み増えていました。ただ今年6月のデータを見ると半年前から横ばい、または数字を落としている項目が増えてきました。プライベートブランドの購入やまとめ買いなど、伸びている項目もありますが、「外食の利用回数を減らす」が減少するなど生活者に節約疲れが起きている可能性があります。ただ、それでもポイントカード利用は41%、クーポン利用35%、特売品購入が32%など多くの人が節約行動に出ていることは変わっていません。

図表2

データ:With コロナ マンスリー調査(全国15-79歳) サンプルサイズ:n=3,001
※調査項目のうち、回答率が高かったものを抜粋

食品を買う場所を変えて節約? 存在感を増すドラッグストア

個人の意識・行動では昨年12月に比べて、節約志向がやや弱まる結果となりました。その一方で生活者がものを買う業態の変化は目立ってきました。食品を買う場所と言えば、まずスーパーマーケットを頭に浮かべる人が多いのではないかと思いますが、そこに割って入ってきているのがドラッグストアです。大手や大型店舗が多く、食品以外の商品で高い利益が得られるため、価格面での強みが発揮しやすい業態とも言えます。2019年の月平均と比べ、両業態ともコロナ禍の巣ごもり需要などもあり100%を超える月が多く見られますが、値上げが本格化してきた2022年以降は、食品の販売金額でもドラッグストアの伸び率がスーパーマーケットを大きく上回っていることが見て取れます(図表3)。今年6月はスーパーマーケットが104%に対し、ドラッグストアは132%となっていました。

図表3

データ:SRI+ 集計期間:2020年1月-2023年6月、指標:販売金額・2019年比

日用雑貨も包装品、紙製品など中心にじわりと値上げ。洗剤などへの広がりも

最後に、日用雑貨についても見てみましょう(図表4)。食品ほどの大きな動きは起きていませんが、昨夏頃から値上げが始まり、アルミホイルやラッピングフィルムは大きく価格をあげました。今年に入りティッシュペーパーやトイレットペーパーなど紙製品も値上がりが顕著になってきましたが、同じく値上げフェーズに入ったのが洗濯用洗剤。ついに6月には2020年比で122%に到達しました。まだ落ち着いた値動きの台所用洗剤などにも値上げが波及するか注目されます。

図表4

データ:SRI+ 集計期間:2022年6月-2023年6月、指標:平均価格・2020年比較
※2020年比110%以上を赤字で表示

インテージでは、今後も生活に直結する店頭価格の動きなどについて随時公開していく予定です。


使用したデータ/関連プラットフォーム
SRI+®(全国小売店パネル調査)
国内小売店パネルNo.1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。

※ SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません

※1 2023年7月現在


【With コロナ マンスリー調査】

調査地域:日本全国
対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:「マイティモニター」より母集団構成比にあわせて抽出しアンケート配信
<2022年6月調査>
標本サイズ:n=3,111、調査期間:2022年6月3日(金)~6月5日(日)
<2022年12月調査>
標本サイズ:n=3,082、調査期間:2022年12月2日(金)~12月4日(日)
<2023年6月調査>
標本サイズ:n=3,001、調査期間:2023年6月16日(金)~6月18日(日)


株式会社インテージ

株式会社インテージは1960年に創業。インテージグループとしてアジアNo.1*であるマーケティングリサーチ/インサイト事業に加えてマーケティングソリューション事業を展開し、9か国の海外拠点とともに国内外の企業・団体のマーケティング活動を総合的に支援しています。事業ビジョンとして“Create Consumer-centric Values”を掲げ、深い生活者理解とデータ活用の高度化による顧客企業支援を通じ、生活者の幸せの実現を目指しています。
*「ESOMAR’s Global Top-50 Insights Companies 2024」に基づく(グループ連結売上高ベース)

株式会社インテージ

報道機関からのお問い合わせ

  • 株式会社インテージ :

  • 広報担当 : 下河原(しもがわら)/木地(きじ)

  • TEL : 03-5294-6000

Share