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2023/08/28調査レポート

関東大震災100年 地震・集中豪雨など不安8割も「対策せず」4割

家庭での防災対策費用は1人あたり2,051円
9月1日「防災の日」を前に5,000人に調査

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、関東大震災から100年を迎える今年の9月1日「防災の日」に際し、全国15歳~79歳男女(5,000人)を対象に防災意識に関する調査を実施しました。

[ポイント]

  • 不安を感じる(自然災害などの)「脅威」トップ3は、「地震」(85%)、「猛暑(高気温)」(82%)、「集中豪雨・大雨・暴風」(79%)

  • 家庭での防災対策については、全体の4割強が「対策をしていない」と回答。非対策世帯は単身で顕著

  • 過去1年の家庭での対策費用平均は1人あたり2,051円。備えとしては「水」がトップ、食品類、ペーパー類、乾電池が続く

  • 自治体の防災対策で今後強化を希望するものとしては、「(水・食品などの)備蓄倉庫の設置」(51%)が最も多かった

自然災害をはじめとした様々な脅威について、どの程度不安を感じるかを質問しました。すると「地震」と回答した人が最も多く、「とても不安」「不安」「やや不安」を合わせて全体の85%という結果に。次いで「猛暑(高気温)」(82%)、「集中豪雨・大雨・暴風」(79%)も高くなりました。また、「感染症や伝染病の爆発」(73%)も他の自然災害を抑え上位に入り、新型コロナ感染拡大の脅威が、生活者の心に大きく影を落としていることがうかがえます(図表1)。

図表1

自然災害をはじめとした「脅威」に対する不安のイメージ図

今世紀に入り、未曽有の被害をもたらした2011年の東日本大震災。この大災害をきっかけにご家庭での対策見直しや、自治体の取り組みを確認する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。12年が経過した2023年現在、生活者の防災意識はどのような状況なのでしょう。ここからは、家庭での対策実態、自治体の各対策への評価などについて見ていきます。

まずは、家庭での防災対策実施状況です。「防災対策をしている」人は、全体で47%と、半数以下の結果となりました。「防災対策をしていない」回答者は全体では41%です(図表2)。

図表2

家庭での防災対策、していますか?のイメージ図

さらに細かく見ていくと、単身世帯で防災準備をしていない人の割合が圧倒的に多いことが分かりました。7割近い人が家庭での防災対策をしていない状況です(図表3)。

図表3

家庭での防災対策、していますか?のイメージ図

単身世帯で非対策率が特に高いのは若年層(10代79%、20代80%)、最も低い70代でも53%が対策せずと回答しています。単身世帯における対策実施・強化について、周囲の支援や自治体レベルでの啓蒙などが必要とされているのかもしれません。

それでは、家庭での防災対策には、年間どれくらいかけているのでしょうか。1人あたりの費用を確認しました。アンケート回答時点からさかのぼって1年間にかけた費用は、平均2,051円。さらにその前の1年間については平均1,851円となりました(図表4)。

図表4

防災対策平均費用(1人あたり)のイメージ図

続いて、防災対策として備えている物や事柄など、詳細を確認しました。トップ2は「水」(32%)、「レトルト・インスタント食品」(29%)、3位以下にはペーパー類、乾電池、缶詰が続きます。いわゆる「ローリングストック」として、日常の中に食料備蓄を取り込む習慣が根付いていることがわかります。また、避難所や家周辺の危険な場所を確認・家族で共有するという回答もそれぞれ1割以上の方が対策していました(図表5)。

図表5

家庭での災害対策 トップ15のイメージ図

なお、「今後対策したいもの」を聴取したところ、水や食料が多くそれぞれ2割弱、簡易トイレやポータブルバッテリーなど断水や停電なども考慮してか生活に必要なものの需要が高い傾向でした。
各自治体もその土地の風土や過去の災害経験をもとに各種防災対策を行っています。生活者がそれらについて強化を期待することを聞いたところ、「水など備蓄倉庫の設置」(51%)が最も多い結果となりました。避難生活の物資類が1位になる一方、生活再建支援制度が4割近くとなるなど、短期の避難に必要な物資だけでなく、中・長期的なこと(被災後の生活を見越した対策)への要望も高く、災害を身近に感じていることがうかがえます(図表6)。

図表6

自治体の防災対策 強化を希望するものトップ10のイメージ図

最後に、図表7は各脅威に対する不安の度合いはどう変化したのか、質問した結果です。3年前との比較でたずねています。トップは「猛暑(高気温)」で、(不安が)「とても強まった」「強まった」「やや強まった」合わせて64%でした。続くのは「集中豪雨・大雨・暴風」(54%)。近年、夏の猛暑日・酷暑日と大雨は明らかに増加しています。それによる体感的な不安に加え、熱中症での搬送や大雨による堤防決壊・土砂崩れなどの被害報道を目にする機会が増えていることも、生活者不安につながっているものと推察できます。

図表7

自然災害をはじめとした「脅威」に対する不安変化(3年前と比較)のイメージ図

生活者研究センター センター長 田中 宏昌 コメント

最近の気象予報に耳を傾けると「異常気象」や「100年に一度の〇〇」という言葉が頻出しています。ヒートマップ(気温)で表わされた日本地図を見渡すと「避暑地」はないことに気づきます。豪雨も線状降水帯となって文字通りゲリラ的に日本中を襲っています。さらに日本には2千を越える活断層があり、地震への不安がたえずつきまといます。そうした日常から自然災害への不安は「将来、自分にも起こりうること」と自分事化しているようです。一方で「備え」については十分とは言えないようです。特に単身世帯については7割が対策を講じていないとしており、近年の単身世帯の増加率や単身世帯率(東京都では50%!)、さらには単身世帯の高齢化といった現状を鑑みると、数字以上に大きな社会的リスクと言えそうです。「自助」だけに任せることなく、「共助(地域)」や「公助(行政)」としてどのようにリスクを理解してもらい、備えに努めてもらうのか、はますます重要な社会課題になると言えそうです。


使用したデータ
インテージのネットリサーチによる自主調査データ
調査地域:日本全国
対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=5000 ※国勢調査にもとづき性別・年代・地域を母集団構成に合わせて回収
調査実施時期:2023年8月4日(金)~8月9日(水)


株式会社インテージ

株式会社インテージは1960年に創業。世界9か国に拠点を持ちマーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1*のインテージグループを牽引し、国内外の企業・団体のマーケティング活動をトータルサポートしています。
「生活者理解の深化」と「データ活用の高度化」により顧客ビジネスの未来創造を支え、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」という事業ビジョンの実現を目指しています。
*「ESOMAR's Global Top-50 Insights Companies 2022」に基づく(グループ連結売上高ベース)

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