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2023/09/14調査レポート

ポストコロナでも成長を続ける男性化粧品市場

2022年は5年前の1.5倍、23年上半期も前年同期比15%増

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、全国15歳~79歳の男女52,500人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データSCI®新しいウィンドウで開く(全国消費者パネル調査)をもとに、男性の化粧品購入金額より推計した男性化粧品の市場動向を確認しました。

[ポイント]

  • 男性化粧品の市場規模は、2022年までの5年間でおよそ1.5倍の376億円にまで増加

  • 市場は基礎化粧品にけん引されており、2023年1-6月でも前年同期比15%増と好調を維持

  • 種類別の2022年対2017年比では、美容液がおよそ3倍、クリームが2倍超まで成長

  • 基礎化粧品の購入金額が若年層で著しく伸びており、化粧水だけではなく美容液やパックなども購入か

  • 高齢者層では、化粧水や乳液などの効果も兼ね備えたオールインワンタイプのクリームが人気

図表1

男性化粧品の市場規模の推移のイメージ

データ:SCI 集計期間:2017年-2022年、2023年1 -6月 指標:市場規模金額
対象:日焼け止めを含む化粧品カテゴリー
※男性による本人使用目的の購入金額から推計

2022年までの5年間で1.5倍に成長した男性化粧品市場、2023年も好調を維持

コロナ禍のマスク生活や外出自粛の影響で落ち込んでいた化粧品市場が、2023年には回復傾向にあります。感染状況が落ち着きを見せる中、マスクの規制緩和や5類移行に伴い、マスクをせずに人に会うなど化粧品の需要が高まっているためでしょう。
化粧品全体では苦戦が見られていたものの、成長を続けてきたのが男性化粧品です(図表1)。男性化粧品の市場規模は増加を続けており、2022年には2017年比でおよそ1.5倍にまで成長し376億円となりました。男性化粧品のうち約9割を占める基礎化粧品にけん引され、市場が成長してきていることが見て取れます。
年別の推移では、2021年と2022年に2桁増と伸び幅が拡大しました。コロナの長期化によりストレスやマスク着用による肌荒れが見られる中、オンライン会議で自分の顔をみる機会が増えるなど、美容意識が高まったことが市場拡大の要因として挙げられます。コロナ前に通勤や飲み会にかけていた時間やお金を美容にかけられるようになったのも追い風となったようです。
2023年1-6月でも、男性化粧品の市場は前年同期比1.15倍と好調を維持。2023年には外出し人に会う機会が増える中、基礎化粧品だけではなく日焼け止めも伸びるなど男性化粧品の需要は高止まりしています。

洗顔と化粧水が約6割を占める基礎化粧品、美容液とクリームが著しく成長

基礎化粧品には、クレンジングや洗顔のほか、化粧水・美容液・乳液などのスキンケア用品があります。どういった基礎化粧品が伸びているのでしょうか(図表2)。

図表2

男性・基礎化粧品の市場規模の推移(種類別)のイメージ

データ:SCI 集計期間:2017年-2022年、2023年1 -6月 指標:市場規模金額
対象:基礎化粧品カテゴリー
※男性による本人使用目的の購入金額から推計

構成比でみると、2022年時点で洗顔と化粧水が約6割を占めています。ただし、2022年対2017年比では、美容液が2.91倍、クリームが2.25倍と著しく伸びていました。洗顔と化粧水を中心としつつも、美容液やクリームなど使用する基礎化粧品の種類が増えてきているものと考えられます。

若年層で見られた顕著な基礎化粧品の購入金額の伸び、中高年層では購入率も増加

続いて、基礎化粧品の年代ごとの購入状況を、2017年と2023年の1-6月で比較してみましょう(図表3)。購入金額とは購入者一人当たりの基礎化粧品の購入金額を、購入率とは基礎化粧品を購入した人の割合を見たものです。
年代計で2023年と2017年を比べると、購入率は18.5%から21.2%と1.15倍の伸びに留まっているのに対し、購入金額は1,197円から1,749円と1.5倍近く伸びていました。購入金額の伸びが基礎化粧品市場の拡大の主な要因となっていることがうかがえます。
年代別にみると、10・20代の購入金額が2023年には2017年と比べて2倍近くにまで増加。若年層では美容意識がとりわけ高いためか、基礎化粧品への支出を増やしていることが分かります。
また、40・50代では、2023年と2017年との比較で購入金額が1.3倍以上増えていただけではなく、購入率も1.2倍以上と大きく増加していました。男性の美容意識は、若年層に限らず、中高年層でも高まってきているようです。

図表3

男性・基礎化粧品の購入金額・購入率(年代別)のイメージ

データ:SCI 集計期間:2017年・2023年(各年1-6月計) 指標:購入金額、購入率
対象:基礎化粧品カテゴリー
※男性による本人使用目的の購入金額から推計

クリームは高齢者層で著しく伸長、美容液・パックの構成比は若年層で大きい

最後に2023年1-6月の基礎化粧品の購入金額構成比を年代別に確認します(図表4)。年代計では洗顔と化粧水がおよそ6割を占める中、60・70代では洗顔と化粧水の割合は5割を下回り、クリームが3割以上を占めていました。クリームの構成比は2017年1-6月時点では21.2%だったので、2023年1-6月にかけておよそ10ポイントも増えていることが分かります。60・70代で特に好調なのが、化粧水・乳液・美容液・マスクの効果も訴求するオールインワンタイプのクリームでした。
また、10・20代と30代の構成比に着目すると、美容液はおよそ7%、パックはおよそ6%と40代以上よりも大きくなっていました。30代以下でとりわけ人気となっている美容液が、シミやニキビ対策を訴求する、若年層の需要を捉えた商品です。パックも日ごろからケアをすることで肌の状態を整えようと訴求するものが好調でした。若年層では、さまざまな基礎化粧品を組み合わせて使用し、化粧品への支出を増やしていることがうかがえます。

図表4

男性・基礎化粧品の購入金額構成比(年代別)のイメージ

データ:SCI 集計期間:2023年1-6月計 指標:購入金額構成比
対象:基礎化粧品カテゴリー
※男性による本人使用目的の購入金額から推計

男性化粧品の好調は基礎化粧品にけん引され、ポストコロナでも継続していることが分かりました。顕著に伸びていたのは若年層でしたが、中高年層でも男性化粧品の需要は高まっているようです。足元では外出増の動きが加速しており、基礎化粧品だけではなく、メイクアップ化粧品でも好調が続いていくのでしょうか。今後も男性化粧品の市場動向に注目していきたいと思います。



使用したデータ/関連プラットフォーム
SCI®(全国消費者パネル調査)
全国15歳~79歳の男女52,500人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。

SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません


株式会社インテージ

株式会社インテージは1960年に創業。世界9か国に拠点を持ちマーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1*のインテージグループを牽引し、国内外の企業・団体のマーケティング活動をトータルサポートしています。
「生活者理解の深化」と「データ活用の高度化」により顧客ビジネスの未来創造を支え、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」という事業ビジョンの実現を目指しています。
*「ESOMAR's Global Top-50 Insights Companies 2022」に基づく(グループ連結売上高ベース)

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株式会社インテージ

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