インテージフォーラム 2016 開催報告
~セッション 第1クール~
セッション:第1クール
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X01:「多様化する生活者とメディア環境変化」
マーケティングトップによるパネルディスカッション
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日本マクドナルド足立氏は、誰もがSNSなどで手軽に情報を発信できる“生活者のメディア化”に注目。従来のテレビ・新聞・雑誌では届きにくくなった生活者へ新商品をアピールするのに、発売前からの積極的なバズマーケティングを採用しているという。商品名は短くインパクトのあるものに、パッケージは写真を撮りたくなるようフォトジェニックにするなど、SNSやメディアで採り上げやすいよう配慮。環境がますますデジタルシフトしていくのに対し、時が来てからではなく、先行対応することが優位性を生むと語った。
この1年ほどでテレビ中心からターゲティングメディア活用の取り組みを大幅に強化したと語るジョンソン・エンド・ジョンソン リュウ氏。生活者から共感が得やすい新機軸のデジタルムービーをWebで配信するなど、メディアミックスによるアプローチを強化中。こうした取り組みを行う上では、テレビとデジタルを別々の組織体として意思決定させるのではなく、複合的なメディア活用を考えられる組織作りが重要だという。また、マーケティングのベースとなる生活者理解のためには、自分自身があらゆる商品に触れ自らの経験値を高めていくことがまず大切と語った。
P&Gジャパン中村氏は、デジタルコンテンツやモバイルの普及で“ながら見”が増えたことで、生活者に集中力や記憶力の低下という変化が起きていると解説。生活者が自身で情報を調べられる要素が増え、生活者の中に“情報の非対称性”が生まれている変化も大きいという。また、これからの時代はマーケッター自身が刻々と変化する“テクノロジーの発達”を正しく理解することも重要だと示唆した。こういった変化する生活者や技術を適切に把握して施策をたてることが極めて重要であり、社内にはそのための“考える組織”の設置が必要だと語った。
X02:ショッパー・マーケティング
~生活者起点の需要創造~
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イオンマーケティング佐藤氏は基調講演において、日本の企業は、本当の意味で生活者を起点としたビジネスにはまだまだ至っていないと指摘。グローバル企業の事例を紹介し、企業の成長には生活者の声を聴くことが重要だと解説した。
イオングループは来年度6000万人規模を見込むID-POSデータを保持するが、現状では情報の一部しか把握出来ていないという。データを見える化し、消費者ニーズの先を捉えるには何が必要か。ファシリテーターにアッセ望月氏を迎え、3つの視点でプレゼンを行う。
テクノロジー視点では、コグニティブ・コンピューティングの時代がどのように生活を変えるかを説明。音声や表情、価値観といった非構造化データを活用し、消費者がその瞬間に感じた要求を満たせるリアルタイムマーケティングが可能な世界が来るだろうと日本アイ・ビー・エム中山氏は語る。
コミュニケーション視点では、受け手の気持ちを汲んだアドテクノロジーが求められていると電通鈴木氏。数千万規模の消費者にフラグを立て、マーケティング活動の投資と成果を検証する「フラグマネジメント」により、感情まで含めたコミュニケーションを実現したいと訴えた。
ソリューション視点では、クックパッド片桐氏が同社で実施している消費者視点のマーケティングを紹介。レシピに関するビッグデータを活用したプランニングや、季節ごとの検索と連動したコンテンツの提供がクリック率に影響すると解説。今後はパートナーと協力し、問題解決レベルを上げていきたいと語った。
最後にイオンマーケティング佐藤氏が、多くのプレイヤーとつながることで、生活者理解を深めたマーケティングを実現していきたいと締めくくった。
関連ソリューションページ
X03:これからのデジタルとマーケティング、そしてデータストラテジー
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生活者の行動ログデータが爆発的に増加し、マーケティング活動は、リアルタイム、自動化、パーソナライズをキーワードに転換期をむかえている。
その中で、メーカー・サービス業、メディア、流通を横断し、マーケット全体の情報流を作ることが課題となり、解決には市場や生活者全体がわかる【ものさし】、様々なデータとつながる【のりしろ】、それぞれの機能を整備、運用し、行動ログや全数系データをアクティベートする必要がある。今後のデータストラテジーについて、トップランナーのお二人から話を伺った。
電通デジタル丸岡氏は、マーケティングにおけるデータの位置付けについて、より成果を上げるためには、生活者との接点を支えるシステムやマーケティング施策での連携が必要であり、その中心にデータがあると指摘。
また、従来のファネル型から、気象観測のように状況を捉える市場管理は変化し、継続型マーケティングに対応。常に状況を判断しながら進めるスモールサイクルと中期的なビジネスと、ブランドの動向をコントロールするビッグサイクルの組合せを実現していくことが重要だと語った。博報堂中谷氏は、IT技術の進化、デジタルとデータの活用を通じ、マーケティングが変わることで、より大きな成果が得られると指摘。
生活者発想へ切り替えるための取り組みとして、生活者を全方向から捉え深く洞察し、一例としてホットな顧客候補を発見し広告活動を行い、効果検証まで行う仕組みを作ること、加えて統計的な匿名化を推進しつつ、データ活用への生活者感情にも十分配慮することが重要だと紹介。最後に、これらを有用なHUBデータとビッグデータを組み合わせ、デジタル時代の生活者DMP構想を押し進めていきたいと展望を語った。