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インテージフォーラム 2016 開催報告
~セッション 第3クール~

セッション:第3クール

 
Z01

i-SSPを活用したメディアプラン最適化の取り組み

Z02

ショッパーを知り、商品との新たな出会いを創る ~小売業におけるデータ活用

Z03

モバイル位置情報でつなぐ生活者の行動と意識

Z04

明日の暮らしを創発する新しい“問い” ~インテージ式“つくる”の支援~

Z05

ファクトからコミュニケーションへ 新たなブランド戦略のカタチ

Z06

生活者の心を動かす共創型コミュニケーション

Z01:i-SSPを活用したメディアプラン最適化の取り組み

 

生活者のメディア接触行動は大きく変化している。その変化は一様ではなく、ターゲット層に対して如何に効率的に適切な情報を届けるかという課題に直面している。
今回は日本を代表する広告主であるお二方よりインテージのi-SSPデータを活用したメディアプラン最適化の取り組みについてご紹介いただいた。

サントリー食品インターナショナル三好氏は、昨年より20本以上の広告についてi-SSPで調査を重ね、媒体別にリーチ及びフリークエンシー、そして購入への影響度を確認。調査を重ねていくことで適切な投入量について一定の判断基準ができ意思決定しやすくなったとのこと。今後はリーチの最適化だけではなく、フリークエンシーとパーセプションの関係性を解明したいと語った。

i-SSPに対してはブランドKPIとして活用されているSCI(購買データ)にメディア接触ログが繋がることで社内での説明、意思決定に反映しやすいと評価。今後はデジタル領域の計測範囲拡大とサンプル数拡大をインテージへの期待・要望として伝えた。

花王デジタルマーケティングセンター佐藤氏は、生活者のTVの視聴状況が大きく変化する中、「課題を解決しないままテレビ宣伝をしていませんか」と投げかけ、現在の取組を紹介。一定規模の投下をしたTVCFのリーチ・フリークエンシーを、TVとネット(PC及びスマートフォン)の視聴状況から生活者を分類した11層で確認すると、大量に接触する層と接触しにくい層の2極化が起きている実態が明らかになった。この構造を理解しながら、適正な投入量のシミュレーションに取組んでいることを説明した。今後はTVだけでなくデジタルも含め分析、実践を繰り返すことで、理想的なコミュニケーションプラン作成につなげたいと締めくくった。

関連ソリューションページ

サントリー食品インターナショナル株式会社
食品事業本部コミュニケーションデザイン部長
三好 健二 氏

花王株式会社 デジタルマーケティングセンター
データサイエンス室 室長
佐藤 満紀 氏

Z02:ショッパーを知り、商品との新たな出会いをつくる
~小売業におけるデータ活用

 
TSUNAGU・パートナーズ株式会社 代表取締役 相澤 利彦 氏

小売市場の業態間格差は大きな差が開いていており、業態別市場規模推移をみてもスーパーは安定している一方、百貨店は25年のうちに半減。人口減の市場環境である日本において、業態改革を怠ると顧客が流失し、業績は下降の一途を辿る時代だと認識しなくてはならず、メーカー主導のマーケティングから脱却し、これからの時代に即した小売り視点でのマーケティングの必要性について事例を交えながらTSUNAGU・パートナーズ相沢氏が解説した。

厳しい環境であっても時代に即した業態を作り上げれば生き残れるだけでなく、さらに発展できる可能性も大いにある。セブン-イレブンは供給者の論理からお客様の論理へといち早く変化したことで、大きく成長。全体として見れば成長を続けるECもユーザー自身に検索を強要する旧態依然としたサイトではなく、ユーザーの趣味・嗜好を理解し、顧客対応力を高めた企業こそが大きな成果を上げているという。企業起点から顧客起点のマーケティングへと急速に変わってきているのだ。

では、顧客情報をどのように戦略へ活かしていくのか。同氏はあるコンビニでの事例を基に、客単価や来店頻度をはじめ、キャンペーンの単純な売上だけでなく戦略的な効果は出ているか、経営者こそデータ分析に基づいた意思決定が必要であると強調。さらに個のユーザーを深く理解するには企業間を横断した購買情報まで認識するID-POSも不可欠なものとなり、チャネル、訴求ワード、購買タイミングの異なる個々のユーザーとの接点をシームレスに繋ぐデジタルマーケティングの重要性を訴えた。

関連ソリューションページ

Z03:モバイル位置情報でつなぐ生活者の行動と意識

 

総務省によると、スマートフォンの世帯普及率はすでに6割を超えているという。ドコモとインテージの共同出資会社として設立されたドコモ・インサイトマーケティングは、こうした状況を背景に、ドコモの契約者7,000万人・訪日外国人400万人のモバイル位置情報をもとにした「モバイル空間統計」や、同社のDMPである「di-PiNK」をベースとした生活者の行動解析サービス「di-TRiP」等を提供している。

これらのデータサービスによって、“いつ、どんな人が、どこからどこに動いたか”という情報を1時間単位で把握できるようになる。一例を挙げると、「ハロウィンに渋谷に集まった人数、属性」、「ディズニーランド来園者の入園、帰宅時間」、「訪日外国人の国別の行動傾向」といった様々な生活者の行動が捕捉可能に。また許諾を頂いたモニターへの定期アンケートで得られる情報(年収、小遣い、興味があること等)と、出勤時間や帰宅時間等を連動させた分析もできる。さらに、行動履歴に基づいて特定の日時・特定の場所に滞在した人を抽出することで、例えば「休日に川越市に訪れた人」の来街目的や交通手段に応じたアンケートを行い、観光客や鉄道利用者への施策評価や対策立案に有効な情報収集を行うことも可能である。
もちろん、プライバシーに関しては最大限に配慮しており、モニターの氏名・住所などは一切非公表で、個人を特定することはできないようになっている。

こうしたデータは、買物・飲食やスポーツ・レジャーなど仕事・学校以外の目的での人口移動を把握できるという点で、従来の公表統計では入手不可能だった画期的なものである。生活者の日々の行動とその背景にある意識をつなげることで、イベントの評価・分析や施設の利用調査、交通計画、観光客の動向分析など、多様な企業のビジネスシーンにおいて活用が期待されている。

※ 「モバイル空間統計」は株式会社NTTドコモの登録商標です。

関連ソリューションページ

株式会社ドコモ・インサイトマーケティング
エリアマーケティング部 副部長
渋谷 大介

株式会社ドコモ・インサイトマーケティング
エリアマーケティング部
高松 大樹

株式会社インテージ
ビジネスプラットフォーム本部 マーケティング部
小泉 喜義

Z04:明日の暮らしを創発する新しい“問い”
~インテージ式“つくる”の支援~

 
東京大学大学院 情報学環 特任助教
ワークショップデザイン論 著者
安斎 勇樹 氏

王子ネピア株式会社
マーケティング本部 商品企画部
高瀬 智子 氏

株式会社LIXIL LWTブランド&マーケティング部
マーケティング戦略室
近藤 美紗姫 氏

株式会社インテージ
FMCG事業本部カスタムリサーチ部
シニアアナリスト/エスノグラファー
鮎澤 留美子

商品開発でいいアイデアを生み出すにはどうすれば――。インテージは、生活者のサイン(データ)と商品開発のクリエイティブをつなぐ場としてワークショップに注目し、創発プログラム「インテージ デ・サインプログラム」を構築した。ワークショップとは、トップダウン型の商品開発に対抗するものとして広がって来た経緯がある。“一人の天才”が生み出したような商品でも、実際にはコラボレーションやコミュニケーションから作り出されている例は多い。ワークショップは、全員が作り手となり、失敗から学び、作る過程からインスピレーションを得る場であり、イノベーションにおいては欠かせない。

今回は、生活に密着した「トイレ」を対象に、約3,000人の生活者から得られたマインドマップを用い、異業種間のメンバーで創発ワークショップを行った。例えばマインドマップの「リラックス」というキーワードを見ると、男性には「リセット」や「弛緩」といった意味があった一方で、女性には「隠れる」、「邪魔されない」といった逃避的な連想が強いなど、男女差が大きく表れ、議論は盛り上がった。結果、膨大なリサーチデータとワークショップを結び付けることで、誰もが疑わない“あたりまえ”に対し、たくさんの揺さぶりをかけることができた。

LIXILの近藤氏は「メーカーとしての先入観にとらわれない良い気付きを頂けた」と感想を述べた。また、王子ネピアの高瀬氏は「これらの視点は商品開発に限らず、プロモーションにも活用できる」と語る。東京大学大学院の安斎氏は、「固定観念にとらわれずに普段とは異なる視点から日常の前提を揺さぶり、ミスをおそれず実験し学ぶプロセスが最も大切」と、ワークショップをより良い商品開発につなげるポイントを解説した。

Z05:ファクトからコミュニケーションへ ”新たなブランド戦略のカタチ”

 

ブランド力の強弱はブランド側の想いと生活者の認識やウォンツがどれだけ重なっているかがポイントになる。これを調べるためにはアンケートなどを実施するが、そもそも調査項目のイメージワードの粒度にバラつきがあるケースが多い。エクイリサーチはブランドの意思や共感してほしい価値と、ブランド戦略視点および生活者視点を結び付け、戦略に活かせる調査項目を再構築し、ブランドを活性化するサービスとなる。

エクイリサーチを活用したブランド再生事例として、ライオン新條氏が壇上に登場。ブランドの再生について、ライオンが所有する56ブランドの中から、「制汗デオドラント Ban」を例に挙げた。最近の実態調査にて制汗剤対してユーザーが求めるものは、汗やにおいを予防するセグメント、べたつきや不快感を除去するセグメント、これに加えサラサラ感などを希望するプラスのセグメントが存在。汗と汗染み抑える製品をラインアップさせた同社は、購買ベースで予防セグメントにおけるブランドが成長している結果が見てとれたという。

結果を受け、汗を予防する製品のブランドを更に活性化させるため、新しいBanでは汗ブロック機能を想起できるような体験価値を探ることが重要だということが分かったほか、訴求ポイントもより明確にすることが出来た。エクイリサーチを活用した感想について、新條氏は今回の調査でBanの提供価値を体系的に捉え直すことができ、インサイトワークショップによって方向性の示唆と提案をもらえた事などのメリットを感じたほか、同時に自社で行っていた調査と照らし合わせ、結果を両方で検証することが出来たことも大きかったと語った。

ライオン株式会社 生活者行動研究所
ブランドマネジメント開発担当部長
新條 善太郎 氏

株式会社インテージ FMCG事業本部CR部
ブランドマーケティング戦略担当ディレクター
佐藤 忠

Z06:生活者の心を動かす「共創型」コミュニケーション

 
慶應義塾大学 商学部 教授 清水 聡 氏
カルビー株式会社 事業開発本部 事業戦略課 河又 章子 氏
株式会社インテージ
ビジネスプラットフォーム本部 開発室
マネージャー・シニアアナリスト
小島 賢一

生活者同士の“口コミ”が消費に影響をおよぼす流れを観察していると、大まかに「興味関心→情報探索→購買→情報共有→認知→興味関心→……」というように、“循環型”となっており、商品が売れている時はこれがうまく回っている。SNSの普及にともない、商品購入の意思決定プロセスにおける口コミのウェイトは高まっており、「商品購入の興味を他のユーザーに伝える、“良い口コミ”を発信できる人は、『共創型』のマーケティングを考える上で非常に重要なキーとなっている」と清水教授は指摘する。

新商品が売れないと嘆く企業は多いが、口コミだけで爆発的に売れるものがあるのも事実である。「共創型」コミュニケーションとは、「感度の高い生活者を巻き込んだ情報発信」であり、インテージは良質な口コミを発信するSNS型のマーケティングソリューションを提供している。このソリューションは企業側の「売りたい」という気持と、生活者の「いい商品と出会いたい」という、要求の“マッチング=共創”をサポートするものである。

例えば菓子メーカーのカルビーは、アンテナショップ「カルビープラス」の運用において同ソリューションを活用したキャンペーンを実施し、大きな成果を上げている。同社担当者の河又氏は、他の投稿者の評価レポをきっかけに商品を購入する人が多いことに驚いたといい、また、投稿された評価を店頭でPOPにしたところ売上が伸び、「まさにこれこそが共創と感じた」という。「お客様とのコミュニケーションのきっかけになるとともに、何よりも商品に対するお客様のニーズをリアルに捉えることができたことが大きい」と、このサービスを活用した成果を評価している。

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