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インテージフォーラム 2018 開催報告:Z01

AI・ビッグデータ時代に価値をもつデータとは?
~ビジネス・技術・データの視点でみる、今、本当に知っておくべきこと~

花王株式会社 デジタルマーケティング部 データサイエンス室 室長
佐藤 満紀 氏

慶應義塾大学 経済学部 教授 兼 理化学研究所 AIPセンター チームリーダー
星野 崇宏 氏

株式会社インテージ Life Log Data事業本部 クロスメディア情報部 マネージャー
山田 護

株式会社インテージ Life Log Data事業本部 クロスメディア情報部 シニアアナリスト 兼
慶應義塾大学 産業研究所 共同研究員
中野 暁

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「現状は理想のデータドリブンのマーケティングには程遠い。データの奴隷となって残業が増えているだけだ。解決には、AIといったテクノロジーのサポートが必須である」「しかし、AIやビックデータは何でも実現してくれるわけではない。ビジネスで競合優位を築いていくためには、何が必要か」――本セッションは、司会を務めるインテージ山田の問いかけからスタートした。

まず、花王の佐藤氏は、「デジタル化が進み生活者が多様化し、マス広告だけでは情報伝達しにくくなってきた」という現状に触れたうえで、自社の取り組みについて「顧客同士のコミュニケーションに着目し、SNSの口コミや画像のデータ分析を行っている」と説明した。「データ分析は常に“お客様理解”に注力して行っている」という同氏は、データから見えた、建前ではない生活者の購買実態について、「様々な経験を積んだメンバーが議論し、そこから新たなインサイトを見つけ出そうとしている」と語る。また、インテージの「Media Gauge TV」の全数系ビッグデータを活用し、エリア特性など、これまでのデータで捉えられなかった粒度で自社ブランドの状況を監査する分析事例も紹介した。

次に慶應義塾大学の星野教授は、「AI・機械学習は、自動運転や自動翻訳など、構造が変化しない条件下での対応は得意だが、人の行動や心理を扱う領域では、データが持つバイアスや解析手法が持つ特性を理解して、注意深く活用していく必要がある」と語った。そのうえで、機械学習をマーケティング活用する際の陥りやすい様々な問題点に言及した。例として、スマホゲームの調査でテレビCMの接触群が非接触群よりもアプリ起動時間が少なくなるという結果が出たこと(その背後にはそもそもテレビをよく見る層はスマホゲームをやる可能性が小さいといった関係が考慮されていないこと)や、飲食店の調査で周辺人口が増えるほど来店者数が減る結果が出たこと(その背後には競合店舗の情報が考慮されていないこと)などを示した。同氏は「偏ったデータから出るのは誤った結論。バイアスの原因を踏まえて必要な変数を取り、外部の情報を融合していくことが重要になっている」と力説した。

最後に、インテージの中野は、「AIにインプットするのに使える“良いデータ” とは何か?」と問いかけ、(1)データの確からしさ、(2)施策への結びつきの観点から話を展開した。まず昨今増え続けている「全数系ビッグデータ」の偏りを評価し、“確からしいデータ”にするために、パネル調査のノウハウを応用した次世代設計の取り組みを紹介した。また、ビッグデータを実際の施策に使えるようにするための試みとして、スマートテレビの機器型視聴データであるMedia Gauge TVを個人型視聴データに分解推定を行った大規模テレビ計測パネル(Media Gauge Dynamic Panel)を紹介した。同氏は「今後大規模なテレビデータに、デジタル接触や来店・来場計測,全数系購買データを連携させ、全数の世界で生活者が見えるデータにしていくことで、従来の調査で難しかった出現サンプルが少ない事象の計測や直接的な施策への結びつきの強化を進めたい」と展望を語った。