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インテージフォーラム 2018 開催報告:Z04

AIはマーケティングをどう変えるのか
~AI活用で言語の壁を超える、発想の壁を超える~

静岡大学 情報学部 情報科学科 講師 情報生成学研究室 主宰 須藤 明人 氏

INTAGE Singapore Pte. Ltd. Managing Director 長谷川 順一郎

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このセッションでは、「技術を使って気づきを得る」をテーマに2つの講演が行われた。最初は「目は口ほどにモノをいう」というタイトルで、画像認識や翻訳機能も組み込んだ「Phox」サービスについてINTAGE Singaporeの長谷川が講演した。長谷川は「Phox」について「言語の壁や物理的な距離があって届かなかったものについても、AIの活用で創造力を働かせるためのサポートをしてくれる」と紹介し、実際にデモをしながら詳しく説明した。

従来のネット検索と異なり、翻訳機能を組み込み、地域も選択できるため、ある地域特有の特徴を持つ写真を見つけられること、さらにAIが画像認識により自動的にタグ付けを行うため、検索後の情報の整理も任せられることなどが紹介された。長谷川は、「調査業界は転換期、業界の持つデータを集める力に、膨大な仕事をこなす力を持つAIを組み合わせることが重要になる」と語った。

静岡大学の須藤氏は、「創造性を持った人工知能は実現できるか?」というタイトルで講演。「AIにより論理的思考力を要する業務の自動化は確実に進む」という同氏は、「マーケティングにはこれらに加えて“創造力”が求められる時代になる」と語った。自身が研究する「創造ネットモデル」については「システムそのものが創造性を持ち、実務に幅広く適用できるもの」と説明。それには既存の概念の組み合わせが必要だが、そのためには「既存の概念と組み合わせロジック、つまり知識と創造をAIに学ばせ、過去に成功したコンセプトの“関係性”を学習させることで、新しく有益な組み合わせを得られるようになった」と語った。

最後に創造ネットを使った事例が紹介され、複数の企業でAIを利用したほうが有益な結果が得られたことが示された。また「みんレポ」への投稿の中からよいアイデアを含んだものを、投稿の得点をつけるAIで自動抽出する試みが、現時点でよい結果が得られていることも紹介。また、この技術には汎用性があるため、定性データから良い投稿や発言を自動で抽出するシステムの構築につながるとし、今後は「抽出したアイデアを創造ネットに取り込んで、生活者の投稿を加味した新しいアイデアを出していくことに取り組んでいきます」と締めくくった。