- 小売店の販売前年比は4月7日週で下げ止まり
- 増税後の反動は6%減にとどまる
- 日常生活に必要な品目では買い控えは限定的
- 一方、嗜好品では買い控え品目が多い
- 増税による個人消費への影響度は3月より改善
株式会社インテージは、『消費税増税 影響分析プロジェクト』(※1)の一環として、「増税後3週間経過しての小売店販売実態と消費者購買意識調査」を実施しました。本調査は、当社の “SRI(全国小売店パネル調査)”(※2)から沖縄を除いた全国のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアの生活必需品(※3)の販売状況を把握し、増税後の2014年4月18日〜20日にインテージ・ネットモニター“キューモニター”のうち全国20〜69才の男女1,000人を対象としてインターネット調査を行い、結果をまとめました。
株式会社インテージが保有するリサーチデータやリサーチ基盤を活用し、2014年4月から始まった消費税増税の影響を分析するプロジェクトです。今回の増税前後の影響について食品、日用雑貨品の分野を対象に、『市場』『消費者』『店頭』の3つの視点で分析し、その知見を活かして企業の消費税対策に向けたマーケティング活動を支援します。
全国3,994店舗の小売店パネルによるマーケットトラッキングサービスです。 GMS、スーパー、コンビニ、薬局・薬店、ホームセンターなど主要小売業態を調査対象に販売動向をPOSデータで収集し、「どの商品が、いつ、どこで、いくつ、いくらで、どのような店舗で販売されたか」といった情報を把握することができます。
今回の調査レポートにおいては、食品(生鮮食品除く)、清涼飲料、アルコール飲料、日用雑貨品、ペットフード、ペット用品と定義しています。
- 調査方法
- インターネット調査
- 調査地域
- 全国
- 調査対象者
- インテージ・ネットモニター“キューモニター” 20〜69才男女1,000人
※ウェイトバック集計値 - 調査期間
- 増税前2014年3月29日(土)〜30日(日)
増税後2014年4月18日(金)〜20日(日) - 調査実施機関
- 株式会社インテージ
- 分析者
- 中村 勇揮(消費税増税影響分析プロジェクトリーダー)
調査結果のまとめ
SRIデータの結果では、食品・日用品の市場は、増税前のまとめ買いによる反動で4月7日週に前年比6%減となったものの、4月14日週には4.2%減となり、下げ止まりしていることがわかった。
カテゴリー別にみても、すべてのカテゴリーで前年比のマイナス幅は減少している。
インターネット調査において、食品・日用品の「今後の購入意向」を聞いたところ、46品目中32品目で『購入する量を増やす』『購入する量は変わらない』と回答した人は6割以上となり、今後の食品・日用品の買い控えは限定的と考えられる。
また、「増税による個人消費への影響度」は、『中長期にかけて個人消費が落ち込む』と回答した人は3月より6.3ポイント減少する一方で、『影響は少ない』と回答した人が3月より7.4ポイント増える結果となった。
以上の結果から、消費者は増税前には「増税による家計への不安」もあり、まとめ買いをしたものの、増税後の日常生活における購買行動は以前と大きく変わることはなく、消費マインドの低下は限定的であると考えられる。そして、それが4月14日週における小売店の販売前年比の回復に現れたと推測する。
調査結果の詳細
1.小売店の販売前年比は4月7日週で下げ止まる。増税後の反動は6%減にとどまる
SRIデータより、生活必需品における小売店販売前年比を増税前後で比較したところ、まとめ買いの影響で3月24日週(3月24日〜3月30日)には前年比19.7%増となった。しかし、増税後はまとめ買いの反動で前年比が下落しているものの、4月7日週(4月7日〜4月13日)時点で前年比6%減にとどまり、4月14日週(4月14日〜4月20日)には4.2%減となり、下げ止まりしていることがわかった。
カテゴリー別にみると、4月7日週から4月14日週にかけてすべてのカテゴリーで前年比のマイナス幅は減少している。ただし、日用雑貨品など長期保存可能なカテゴリーの前年比は13.9%減であり、前年水準に戻るには時間がかかりそうだ。(図1参照)
- [図1]
- 消費税増税前後の小売店の販売状況 (SRIの週次データより)
全国(沖縄除く)スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアの生活必需品の販売金額前年比
2.日常生活に必要な品目では買い控えは限定的だが、嗜好品では買い控え品目が多い
インターネット調査において、今後の食品・日用品の購入意向について各品目の購入経験者に聞いた結果、46品目中32品目では6割以上の人が『購入する量を増やす』『購入する量は変わらない』と回答。
この32品目は普段の生活で必要となる品目であり、消費者は増税後も生活習慣を維持するために買い控えはせず、影響は限定的と思われる。
一方で、「キャンディ」「煎餅・あられ」「チューハイ」といった嗜好品では、『購入することをやめる』『購入頻度を減らす』『購入量を減らす』の回答者が5割以上であり、買い控えが続くことが予想される。(図2参照)
- [図2]
- 食品・日用品の今後の購入意向 (インターネット調査より)
3.個人消費への影響度は3月より改善。増税により「中長期にわたり消費が落ち込む」との回答は3月より6.3ポイント減少
「消費税が8%になったことによる個人消費への影響』を聞いたところ、最も多いのは『一時的に落ち込むが、数ヵ月後にはもとの水準に戻る』で42.5%。次いで『中長期にかけて個人消費が落ち込む』で41.6%となった。
3月の結果と比較すると 『中長期にかけて落ち込む』と回答した割合が6.3ポイント減少する一方で、『影響は少ない』が7.4ポイント増加。増税を経験した消費者の中には“思っていたほど増税の影響は感じなかった”との思いもあったようで、景気の回復への期待がうかがえる。(図3参照)
- [図3]
- 消費税が8%になったことによる個人消費への影響 (インターネット調査より)
調査結果プレスリリースPDF
『消費税増税 影響分析プロジェクト』 レポート第3弾関連調査レポート
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- ex)
- インテージ ビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』 2015年2月調査
株式会社インテージのビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』(2015年2月調査)によると・・
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調査会社概要
【株式会社インテージ】 http://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values 〜お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、様々な業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、ともに生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点にたったマーケティングの実現を支援して参ります。