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デイリー調査のソフト面とハード面からライブモニタリングが進化する
〜デイリーデータをアイデアの刺激に、リアルタイムでの施策最適化へ〜

ネスレ日本株式会社では、ライブモニタリング環境を構築し、メディアプランニング、メディアバイイングが劇的に変化しました。しかし、アクセスログ・販売実績データはデイリーで取得できているものの、態度変容のデータがデイリーで取得できていないため、視聴と購買の間をつなぐ態度変容を追うことができないという課題がありました。この課題を解決するためにネスレ日本株式会社の松崎收亨氏が行ったのは、デイリー調査です。毎日インターネットでアンケートを実施するデイリー調査。その結果をライブモニタリングし、リアルタイムで施策の最適化を行った取り組みについて、ネスレ日本株式会社の松崎收亨氏に伺いました。

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(※左からインテージ:小金、ネスレ日本:松崎様、インテージ:玉木)

費用対効果を考えれば、デイリー調査なんてする必要はないと思っていた

今までデイリー調査を実施してこなかった理由についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

費用対効果がよくないと思っていたからです。
測定に足るサンプルサイズをデイリーで取得するとなると、費用が相当かかることは分かっていました。
また、キャンペーン施策の効果測定をアンケートベースで取得しても大きな発見が得られないのではないかとも感じていました。したがって、キャンペーン効果に対する調査費用としては費用対効果がよくないと思っていたわけです。

それなのに、なぜデイリー調査を実施しようと思われたのでしょうか?

ライブモニタリングの支援をしたいと思ったからです。
ライブモニタリングをしていると、日次でメディア予算の最適化を行っているので、きめ細かいマーケティングデータの収集が必要になります。今までのようにキャンペーンが終わってから、「過去1ヶ月間に見たものはどれですか?」という質問ではライブモニタリングを支援することができません。「昨日見たものはどれですか?」という聞き方ならライブモニタリングを支援できます。
また、昨日ベースの質問は質的にもきめ細かい反応を見ることができると思いました。自分自身を省みても、昨日のランチに何を食べたかはかろうじて思い出せても先週となるとかなり怪しいし、過去1ヶ月となると「記憶がウソをつく」状況に近くかなりあやふやなので、意識データを聴取する方法としても機能することに気づきました。
そこまでの可能性があるのに気づいたら、「やらずに知らない」って状態が嫌だったからですかね(笑)
人から事例の話を聞くより実際に自分自身でやってみて、いいことも悪いことも理解した上でみんなに話したいと思ったからでしょうか。

デイリー調査結果をソフト面とハード面からアプローチすれば、関係者からアイデアが溢れてくる

デイリー調査を行ってみて、新しい発見はありましたか?

データ提供というハード面でみると、競合商品のキャンペーン残存効果(注:施策実施後にも残るキャンペーンの効果)などが分かります。
これは、実施する前から、獲得できる発見だと分かっていたので、特に大きな驚きはありませんでした。定期的にデータ提供されていれば、競合商品のキャンペーンも冷静に判断することができるようになります。しかし、毎日のジグザグのデータを見ているだけでは何も面白くないので、毎週30分定期的なミーティングをすることに決めました。
定期的なミーティングというソフト面でみると、関係者からアイデアが溢れてくるようになりました。
ミーティングには、メディアバイイング部門、調査部門、インテージさんに加えて、別部門から統計学博士が参加しました。会議の中ではデイリー調査結果を見て、各担当者が仮説を出し合います。そこで出てきた仮説を実行に移します。実行した結果をデイリー調査結果で見て、仮説を出し合う・・・。このような繰り返しを週次単位で行っていたので、ライブモニタリングがより進化している感覚がありましたね。

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実際に変わったアクションはありましたか?

東京ばな奈とキットカットのキャンペーンのメディア予算配分を変えました。
会議の中で、若年層は自分でシェアしてから購買するという仮説(通説と逆の順番)が出てきたので、若年層に強いSNS 、オフラインへの予算配分を、メディアプランニング部門が変更しました。
広告効果の因果分析で実務的に意味があるのは、因果関係そのものよりも「どのような順番がいいか」「どれくらいのタイムラグがあるか」です。インテージさんががんばってくれて、今回のデイリー調査結果から「若年層はSNSで流行をキャッチし、店頭での広告やイベントで流行を実感する」ということまで可視化して提示していただいたので、このような判断ができました。

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※定期的なミーティングで発見したファインディング

球場のファールボールのアナウンスは意味がない

今後、インテージに期待していることはありますか?

球場のファールボールの時のアナウンスって、事後評価じゃないですか。
ボールが飛んできた後に「ファールボールは大変危険です。お気を付けください。」って何の価値もない。本当の価値は、ボールが飛んでくる前に「○○選手、ファールボールが多くなっております。三塁側スタンドでご観戦のお客様、お気を付けください」って伝えること。今後のビジネスも同じだと思うんです。今では、消費する前に入ってくる情報の質と量が多く、情報伝達の速度が速くなり、効果も長続きしなくなりつつある。効果が続かないからこそ、調査部の我々は消費者と対話し続けていく必要があり、関係部門へリアルタイムにアナウンスし続ける必要があります。

今回の取り組みは、アクションのための仮説出しと、アクション結果の答えあわせの両方を、細かい粒度で実施できる可能性を感じた取り組みだったと思います。御社ならではのデータとして、i-SSP®とデイリー調査による指標が合体したファクトベースでの、オン・オフ・購入・態度変容が短いタームで分析できるデータを提供してもらいつつ、一緒にアクションを変えるためのディスカッションができるような未来を期待しています。


松崎 收亨(まつざき かずのり)
ネスレ日本株式会社
マーケティング&コミュニケーションズ本部 マーケティング情報部 部長

1986年ネスレ日本株式会社入社。国内営業部門経験後、主に市場調査部門とコーヒーのマーケティング部門を経験し、2011年より現職。市場調査部門に通算19年(3回に分けて)在籍。新製品開発に伴う消費者調査、ブランド診断調査やパネルデータの分析などのほかに、最近、コンシューマーインサイトワークショップやアイディエーションワークショップのファシリテーションに注力している。趣味は、データサイエンスという言葉に触発されて50歳過ぎてから始めた統計学(苦戦中)。

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小金 悦美(こがね えつみ)
株式会社インテージ 特命部長

大阪大学卒業後、石油会社にてリテールサポート企画に従事。
2001年、株式会社インテージ入社。
主に、化粧品・飲料・食品の大手クライアントのアカウント担当として、市場理解・ターゲット理解、施策の立案、そして評価と幅広い課題に対応。
現在は、特命担当として、サービス開発やアライアンスなどに従事。

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玉木 健一(たまき けんいち)
株式会社インテージ 西日本支社 シニアマネージャー

大学卒業後、2006年 株式会社インテージ入社
入社以来、食品・飲料・化粧品等の消費財を中心としたデータ集計・分析業務を担当

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