アヲハタ株式会社
食品
インタビューとワークショップで見えた生活者の本音アヲハタのジャム開発に生きた「コンセプト開発支援」
- マーケティングリデザイン
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| 取り組み内容:成長機会探索プログラムにより新商品開発ターゲットをシニア層に定め、コンセプト開発支援プログラムを用いてワークショップを実施。ターゲットに対する理解を深め、新商品のベネフィット創出からコンセプト作成まで行った 成果:2つの新商品のコンセプトが商品化に向けて進行中。「お客さんが欲しがるものは何か」について深掘りできる第3の視点を得ることができた |
1932年創業のアヲハタ(本社・広島県竹原市)は家庭用瓶詰めジャム市場で市場占有率が50%、低糖度のジャムでは約70%のシェアを獲得しているトップメーカーです。「フルーツで世界を幸せにする」を社是としています。世界的なフルーツ価格高騰の中、「アヲハタ55」など主力商品の売り上げもあって業績は堅調に推移されています。
今回は離反が進んでいるシニア層向けのジャム開発で、インテージのソリューション、マーケティングリデザインシリーズの中の「コンセプト開発支援」を利用いただきました。インタビューやワークショップでの成果がどこに、どのように生かされたのか、研究開発本部とマーケティング本部を担当している藤原取締役と入社3年目の中川さんにお話を伺いました。

―はじめに、藤原さんの経歴と役割について簡単に教えてください。
藤原氏:研究開発本部とマーケティング本部を担当している取締役をしています。職歴としてはアヲハタが7社目で、直近はキユーピーで新規市場開発を担当していました。その前がカルビーで、「フルグラ」という商品のマーケティングと事業開発の仕事をしていました。その前は、ダノンウォーターズオブジャパンでミネラルウオーター「ボルヴィック」のブランドマネージャーをやって、その前が広告代理店2社。1社目は旭硝子でした。

―中川さんも職歴と役割についてお聞かせください。
中川氏:入社して3年目です。現在はマーケティング本部のジャム・スプレッドチームで、ジャムやスプレッドの商品企画を担当しています。マーケティング本部の前は、商品開発部門でジャムの開発を担当していました。

中川 理那氏
―藤原さんはご職歴の中でコンセプト開発や商品開発に関わっていた期間はどれくらいなのですか?
藤原氏:ダノンの時は、ブランドマネージャーで開発はやっていなかったので、カルビーに入ってからですね。
―今回、「離反が進んでいるシニア層に向けたジャムを開発したい」と弊社にご相談いただいたわけですが、インタビューをされたいっていうご要望だったと記憶しています。その中で「コンセプト開発支援」プログラムをご紹介しました。その場で、藤原さんは「これが必要だと思った」とおっしゃってくださいました。どこに、どういう課題感があって「必要だ」と感じたのですか?

左海 知里
藤原氏:まず表層的なことを調査し把握してからコンセプトに生かす、みたいなことが課題だなと思っていました。ですので贈り物ができるまで人物像を読み込むというプロセスは深くインサイトに入っていけるな、というふうに思いました。言い換えると本当のところに迫ることができる、と思ったんです。
―中川さんは弊社がプレゼンで提案した取り組みについて最初、どうお感じになりましたか?
中川氏:是非、やってみたいなと思いました。一方でインタビューをして、その結果をもとに自分たちの力でまとめなければいけないな、という不安もありました。私はまだちゃんとコンセプトを書いたことがなかったんですよ。そんな折にご提案いただいて、改めて教えていただきたいなと思いました。
―よかったです。今の部署に異動されて、もし弊社との取り組みがなかったらどうやってコンセプトを書いていましたか?
中川氏:代々、先輩たちから引き継がれてきたコンセプトシートがあるんですよ。それに商品名とか商品特徴とかを記入して、深掘りはあまりせずに商品化に進んでいたと思います。
―藤原さんにお伺いします。これまでコンセプトの書き方をちゃんと教わったことはありますか?
藤原氏:インサイトやベネフィットみたいな感じで、作ることが多かったため、コンセプトを書くのはあまり苦じゃないんです。
インテージ左海:私も苦じゃなく、楽しく書いているのですが、きちんと教えてもらったことはありません。見よう見まねで、人がやったことを見ながら吸収できた側の人間なんですよね。できる人が身近にいたからできたのであって、コンセプトをきちんと書けないままの人もいます。たくさんのメーカーさんとお仕事させていただく中でそれを感じました。
では、弊社との取り組みがなかった場合、インサイトの発掘方法を社内にどのように共有・教育していく想定でしたか?
藤原氏:インサイトをどうやって発掘するかって、自分では教えられないなって思っていました。教えるとしても個別対応で一人ずつでした。ですので皆がいっぺんに理解してくれたらいいなと考えていました。
―今回はインタビューが1日、ワークショップが1.5日と、結構短い期間でインサイトを見つけて、コンセプトを書くという流れを作りました。かなり濃縮した2.5日分だったと思います。その中で中川さんが印象に残っているところはどこですか?
中川氏:深掘りですね。インタビューした人の要素を全部書き出して、グループ化して、表札をつけることが一番難しかったです。すごく頭を使いました。
―ワークショップには14~15人が参加されましたが、マーケティング室だけじゃなくて、開発の方にも営業の方にも来ていただきました。専門分野を超えて知恵を出し合ったことについて、それぞれの部門にどのような変化や意識を期待されていましたか?
藤原氏:開発部門は絶対、そういう【インサイトを考える】マインドを持ってほしいと思います。営業もそうですね。営業は結構、マーケティングを勉強したいっていう人は多いんですよ。
―その後、ご参加いただいたマーケティング部門以外の方の感想って聞く機会はありましたか?
中川氏:会話したレベルでの感想なのですが、こんな経験というか、ふだんの業務ではすることないので、すごく楽しかったと。
―皆さんで同じ方向を見て、楽しい時間を共有した上で、商品のアイデアが出てきたっていうのが、すごくいい時間だったなぁと思っています。御社の中での関係性もあっての上なのですが。あれから時間が経ちましたがその後どうですか?
中川氏:新しいコンセプトで2つ新商品として進めよう、ということになりました。また、御社のサカイさんから「今ある既存商品の見せ方を変える方法もある」というアドバイスを受け、社内で「既存の商品に「ストーリー付け」をして【見せ方を変えてみよう】」という話になりました。後日レビューの場でこのようなアドバイスをいただけたため、すごく有益だったなと思います。
―後日レビューは弊社でも初めての試みでした。今回は実際に商品になっていきそう、と聞いて、すごく嬉しいです。このワークショップを受けた後で、何か大きく変わったことはありますか?

中川氏:大きく変わりました。データリサーチのやり方やその結果をもとにしたコンセプトの作り方を体系的に教えていただきました。さらにその後の動きまで教えていただけたので、若い人向けのジャムも考えたいんですけど、それについても、同じ方法を使ってやってみようかな、と考えています。光が見えてきました。
藤原氏:コンセプト作りがすごい上手になりましたね。
―コンセプトを作るための共通言語ができたのですね。いろいろな場面でご活用くださってるって話を伺ったのですが、やっぱり難しいなぁっていうところ、壁などはありますか?

宇賀神 留美
中川氏:シニア向けジャムはコンセプトのステートメントをもう1度書いて、データリサーチして、どこを調査するかっていう段階なんです。そこの見極めが難しいなと思っています。データリサーチもするけど、この情報でいいのかなとか、限られた予算の中でどこで見切りをつけて調査にかけようかっていうのが、難しいところですね。若い人向けのジャムを商品化するにあたり、特徴や伝えたいことがいっぱいあって、要約するのが難しいな、と思います。ターゲットに一番引っ掛かる、刺さるものを短い文章にしなければならないので。新しければ新しいほど難しいですね。
―ワークショップが楽しかった、とおっしゃってくださいましたが、その後も楽しくやれていますでしょうか?

本高 良磨
中川氏:とても楽しくやっています。研修を受ける前は先が見えない曇りの中で、ずっと書いて考えて「何か違う気がするけど、シート埋まったから、まあいいのかな」と思ってやっていました。進めること、やることが明確になり、「あ、これクリアできた。次はこれをクリアすればいい」という流れがわかったので、ストレスが減りました。
―達成感を感じるときはどんなときですか?
中川氏:誰かに「いいね!」と言ってもらえるときとか、自分の中で「ちょっと難しいかも、できるかな?」って思っていたコンセプトができたりとか。ワークショップでも、こんなコンセプトを書けるのかなって思って始まったんですけど、2日目が終わるころには書けるようになったので。そういうときにやってよかったなと思います。
―今回は弊社のマーケティングRe:デザインシリーズというソリューションの「コンセプト開発支援」プログラムを実施しました。ここで掲げているコンセプトは「マーケティングの理論と、生活者のデータに基づいて、生活者にとっての価値づくりを、自信を持って進めようとする人を支援します」です。そういう点で私たちはお役に立てましたでしょうか?
中川氏:普段、私たちの商品視点、つまり「自分たちがこうやりたい」という、自分たちが主語になりがちなんですが、「生活者視点」という、お客さんもそれを欲しいかなって思えるような視点をもう1個獲得できたと思います。目標とか、これをやったら大丈夫、と思えるようになったので、自信がつきました。
藤原氏:中川にとって「お守り」になったのかな?と思います。
―私たちのことを単に調査を担当する人ではなく、パートナーというか、「一緒に何かを作っていく人たち」って思っていただけると嬉しいです。
今回の取り組みを通じて生まれたコンセプトは、すでに新商品開発として動き始めています。
生活者視点から価値を見つめ直すプロセスは、シニア向けジャムにとどまらず、今後のさまざまな商品開発にも活用されていく予定です。
インテージはこれからも、生活者理解を起点とした価値づくりを支援するパートナーとして、企業のマーケティング活動に伴走していきます。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがあります。ご了承ください。
この事例について、
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ご担当者様
取締役 研究開発本部担当 マーケティング本部担当 藤原 かおり氏
新卒で旭硝子株式会社に入社後、マッキャン・エリクソン、株式会社電通、ダノンウォーターズ・オブ・ジャパン株式会社を経て、カルビー株式会社に入社。同社では「フルグラ」の成長を牽引し、2017年に執行役員に就任。その後、2020年3月にキユーピー株式会社へ転じ、女性初・最年少で上席執行役員に就任。2024年2月からはアヲハタ株式会社にて、女性初の取締役として活躍されている。