Search

キーワードを入力してください

マーケティング用語集コレスポンデンス分析とは

「コレスポンデンス分析」とは、統計学上のデータ解析手法のひとつで、アンケート調査などのクロス集計結果を散布図にして見やすくする手法です。省略して「コレポン」と呼ばれることもあります。
調査データはクロス集計表にすることが多いため、項目が多いと内容を把握しにくい場合があります。そうした際、項目間の関係性を視覚的に分かり易く表現するために、コレスポンデンス分析は頻繁に使われます。メディアや企画書などで見かけることも多い手法です。

コレスポンデンス分析と同様の手法に、1940年代後半から50年代にかけて統計数理研究所元所長である林知己夫氏によって開発された、日本独自の多次元データ解析手法である数量化Ⅲ類があります。コレスポンデンス分析はその20年ほど後に、パリ第6大学のジャン=ポール・ベンゼクリ氏によって開発されました。

コレスポンデンス分析と数量化Ⅲ類は、根本の考え方やアルゴリズム(手順)は同じです。厳密に分類すれば、数量化Ⅲ類は2値データ(する/しない、あてはまる/あてはまらない、などのYes/No回答)を対象とし、コレスポンデンス分析はより広い割合なども対象とします。

correspondence01.PNG

コレスポンデンス分析の手順

集計項目の関係を一目で把握したいときや、項目が多く集計表ではわかりにくいときなどに活用されるコレスポンデンス分析。この手法を使えば、自社ブランドと競合ブランド間のポジショニング関係をビジュアルでわかりやすく理解することができます。どのような手順で分析していくのか、具体例を参考に見ていきましょう。

Step1/分析の目的を明確化する
介護用品メーカーでマーケティングを担当するAさんは、シルバー用カートの新商品開発にあたり、ポジショニングマップを作成することにしました。競合メーカーも増え、差別化ポイントを明確にしたいと考えたからです。

Step2/アンケートデータをクロス集計する
イベントや発表会で集めたアンケートから、シルバー世代でシルバー用カート利用中もしくは興味ありという方に「セグメント」し、要支援~要介護2もしくは日常の歩行に辛さを感じている方に「ターゲット」を絞ってピックアップしました。そして、表側項目(表の左端の項目部分)に自社の主力商品と同等の競合他社商品、表頭項目(表の一番上の項目部分)に商品イメージを設定し、クロス集計しました。

correspondence02.PNG

Step3/統計ソフトで分析する

分析は統計ソフトで行います。エクセルとエクセルに加える統計用のアドインソフトを使えば分析が可能です。フリーウェア「R」や、企業や学術・研究機関では「JMP」「SPSS」「SAS」「MATLAB」といった有料ソフトもよく利用されています。

コレスポンデンス分析のアルゴリズムについても、ここで説明しておきましょう。基本的な考え方は、表側項目と表頭項目の関連が最も強くなるように行や列を並べ替え、なるべく元のデータを多く反映させる形で散布図を作成するという流れです。

Step4/分析結果を散布図表示する

統計ソフトに分析結果として商品イメージと各社商品による散布図が表示されました。商品イメージの分布の状況を見て、Aさんは縦軸を「価格感」に、横軸を「安心感」にすべきだと解釈しました。横軸は、「座りやすい」「信頼できる」「使いやすそう」というという項目から生まれたのではないかと考えたのです。また、A社商品は「信頼できる」の近くに、「デザインが良い」から遠くに付置されていることが分かります。

correspondence03.PNG

Step5/分析結果を活用する
Aさんは自社A社商品のポジションを「価格は高めだが、ある程度の安心感はある」という位置だと解釈しました。そして、「もっと安心感を高める」とは、「長く歩いても安心」な商品をつくることだと考えました。そのために、カゴの上の座面を思い切ってソファ風にしたり、ブレーキをディスク式にしたりといった新機軸を会社に提案しようと決めました。価格競争に入らず、長い距離、長い年月にわたって使い続けてもらう商品こそ差別化できるはずだと考えたのです。

以上が、具体例を用いたコレスポンデンス分析の流れになります。

コレスポンデンス分析の種類

コレスポンデンス分析は適応可能範囲が広い分析手法です。入力可能なデータも人数や割合など幅広く対応可能で、たとえば下記のような分析ができます。

●プロフィールデータ × ブランドや商品イメージ
「表側項目」を性別・居住地・職業などのプロフィールデータに、「表頭項目」を使用ブランドや商品のイメージ・利用状況などにすると、プロフィールでセグメントした階層ごとに商品イメージや利用状況などを視覚化することができます。たとえば20代男性はこういうイメージを持ち、30代女性はこういうイメージを持っている、といった違いを可視化してくれます。

●ブランドや商品 × イメージ
ブランドイメージを比較したい場合には、表側項目にブランドや商品名を、表頭項目にはアンケートのイメージ回答を設定すれば、各ブランドや商品がどのようなイメージを持たれているか、イメージの近いブランドや商品はあるのか、などを可視化することができます。

コレスポンデンス分析のメリット

コレスポンデンス分析の最大のメリットは、項目間の関係性の可視化ですが、次に解析の元となるデータの制約がほとんどないことです。表の形にできるデータであれば、基本的に分析が可能です。そして、過去からの時系列での推移を比較する際にも、表ではどこが変わったのかを確認するだけでも手間ですが、散布図を作成することで変化を俯瞰することも可能です。

コレスポンデンス分析のデメリット

コレスポンデンス分析のデメリットは、回答者の数などのサンプルサイズにおける大小が反映されないことです。たとえば、「センスが良い」と答えた人が多くても少なくても、同じひとつの点として散布図に表記されてしまいます。散布された位置の距離によって、イメージの近さや遠さを知ることはできても、そう答えた人の数まではわかりません。

コレスポンデンス分析の結果を理解するための注意点

コレスポンデンス分析は、他の多変量解析と比べて結果がわかりやすいことが特徴ですが、分析結果を活用する際には注目しておきたい点があります。

1)ブランドイメージ調査から競合と差別化するポイントを探る際には、散布図上のホワイトスペースに当てはまるものを考えてみます。そこが空いているブルーオーシャンかもしれません。

2)コレスポンデンス分析は散布図の縦軸、横軸の意味を分析者が考える必要があります。どういう軸なのかを項目間の近さ・遠さから決めた方が散布図はよりわかりやすくなります。価格、デザイン、機能性、使い心地、オリジナリティ、季節感など、さまざまなキーワードが考えられます。

3)コレスポンデンス分析は元データを要約して散布図として表出しますが、同種の多変量解析である主成分分析などに比べて元データからこぼれ落ちてしまう割合が多いとされます。どの程度元データを反映しているかは、統計ソフトで表示される「固有値※」と「寄与率※」でわかります。どちらかが下の基準値より高ければ、信頼性が高いと言えます。

※【固有値】
固有値とは各軸が含んでいる情報の大きさを示す指標です。一般的に「固有値が1以上」あると、元のデータとの関連が深いとされます。

※【寄与率】
寄与率とは、その軸だけで元のデータの何割を説明することができているかを表した数字です。一般的に2軸の寄与率を合計した「累積寄与率」が80%以上であれば、元データをかなり反映していると言われます。

4)散布図の縦軸の目盛りと横軸の目盛りは合わせるようにします。項目同士の距離感が正確に測りやすくなります。

5)クロス集計には付き物ですが、商品ごとの利用者限定調査など(「○○を使ったことのある方のみお答えください」が頭に付いた質問)では、商品Aは500人使ったことがあるが、商品Bは50人しか使ったことがない、ということが起こります。その場合、「知人に勧めたくなった」という回答が同じ50%だとしても、商品Aは250人で、商品Bは25人です。その数の違いは散布図ではわからないため、注意が必要です。

※解説に使用しているデータ、図版はダミーのものです。

関連サービス