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マーケティング用語集クロス集計とは

集計とは

アンケート調査などで収集したデータについて、「度数」(何人の人があてはまるのか・そのように回答したのか)や「割合」(何%の人があてはまるのか・そのように回答したのか)でその結果を要約することを「集計」といいます。通常、アンケート調査で収集した回答データは、図1のように、1行につき1回答者の回答結果が記載されています(これをローデータといいます)。ローデータを見ることで、「回答者それぞれがどのように回答したのか?」はわかりますが、このデータを眺めているだけでは、「全体のうち何人がxxと回答したのか?」「全体のうち何%がxxと回答したのか?」のように結果を俯瞰することは困難です。そのため、「集計」は、回答者全体を理解する上でのファーストステップとなります。

図1.ローデータの例

アンケート調査のローデータの例

集計には大きく分けて、「単純集計」と「クロス集計」の2種類があります。ここでは、図1でローデータの例としても取り上げた、「あるWebサービスの利用者200人を対象に実施した満足度に関するアンケート調査」を例に、「単純集計」「クロス集計」それぞれについて説明します。

●単純集計
アンケート調査によって収集した回答データを、設問ごとに集計することを「単純集計(Grand Total)」といいます。また、単純集計の結果による集計表を「単純集計表」といい、「Grand Total」の頭文字をとって「GT表」ともいわれます。

図2.単純集計表の例

アンケート調査の単純集計表の例。Webサービスのサービスの満足度

●クロス集計
アンケート調査によって収集した回答データを、設問をかけ合せて集計することを「クロス集計」といいます。クロス集計を行うことで、ある設問の回答傾向を、別の設問の回答別に細分化して見ることができるため、「あるサービスに対して、全体では6割の人が満足していたが、満足度に男女差があり、女性では満足している人の割合が4割と低かった」といったように、単純集計ではわからなかった、異なるグループ間での回答傾向の比較が可能になります。なお、細分化に使用する設問は「分析軸」や「ブレイクダウン(BD)」などと呼ばれます。また、クロス集計の結果による集計表を「クロス集計表」といいます。

図3.クロス集計表の例

アンケート調査のクロス集計表の例。Webサービスのサービスの満足度を、性別を軸に分析した結果

クロス集計表の見方

ここでは、一般的なクロス集計表の見方や用語について解説します。

図4.クロス集計表の例2

アンケート調査のクロス集計表の例。Webサービスのサービスの満足度を、性年代を軸に分析。表の上側を表頭、表の左側を表側ということを図示して説明

●表頭と表側

「表頭(ひょうとう)」「表側(ひょうそく)」は、一般にはあまり聞かない言葉ですが、クロス集計表の作成においては基本的な用語で、それぞれは以下の部分をさします。

表頭(ひょうとう)=表の上側
表側(ひょうそく)=表の左側

●度数と割合
図4のクロス集計表では、各行の上段に「度数」(何人がそのように回答したのか)、下段に「割合」(何%がそのように回答したのか)が記載されています。

●横%表と縦%表
このクロス集計表は、表頭に設問の選択肢が並び、各選択肢の割合を横方向に合計すると100%になります。このように、単一回答の集計表で横方向の合計が100%になるように作成された集計表を「横%表」といいます。一方で、表側に設問の選択肢が並び、単一回答の集計表で縦方向の合計が100%になるように作成された集計表を「縦%表」といいます。

横%表と縦%表は、どちらで作成しなければならないというルールはありませんが、国内企業においては横%表が、外資系企業においては縦%表が多く使われる傾向があります。

●多重クロス
3つ以上の設問をかけ合せて集計することを「多重クロス」といい、3つの場合は「3重クロス」、4つの場合は「4重クロス」といいます。例えば、「Webサービスの満足度」について「性別」×「年代」別に傾向を見る場合には、3つの設問をかけ合せて集計するため「3重クロス」になります。

●nとN
図4のクロス集計表では、「n」と記載された列があり、各行ごとに数値が記載されています。この数値は、全体および分析軸の各選択肢ごとの回答者数で「集計ベース」や単に「ベース」などといわれます。さて、この「n」ですが、大文字の「N」ではいけないのでしょうか。ここで「n」と「N」について解説します。

統計学の世界では、「母集団(調査の対象と考えている対象の全体)」と「標本(母集団から抽出された一部分)」が明確に区別され、母集団の大きさを「N(ラージエヌ)」、標本サイズを「n(スモールエヌ)」と表現します。冒頭から登場している、「あるWebサービスの利用者200人を対象に実施した満足度に関するアンケート調査」を例に説明すると、このアンケート調査の「母集団」の大きさ(N)は「このWebサービスの利用者全体」となり、アンケート調査の回答者200人は「母集団」から抽出された「標本」のサイズ(n)となります(これを「標本調査」といいます)。アンケート調査において、母集団全数を対象とし、かつすべての対象者から回答を得る(これを「全数調査」といいます)ことは、実施に膨大な費用と手間がかかるため、あまり多くはありません。そのため、アンケート調査の集計表において「N」が登場することはほとんどなく、図4のクロス集計表においても「n」が正しい記載となります。

●SAとMA
アンケート調査において、選択肢を使用した回答形式には「SA(Single Answer:単一回答)」と「MA(Multiple Answer:複数回答)」があります。例えば、『サービス満足度』のように、「とても満足している」や「満足していない」など1つの選択肢を選んでもらう場合にはSAが用いられます。一方で、『サービス重視点』のように、「価格」「アフターサポート」「提供会社の信頼性」など複数の選択肢を選んでもらう場合にはMAが用いられます。SAの場合、選択肢の割合の合計は必ず100%になりますので、回答形式がSAにも関わらず、選択肢の割合の合計が100%にならない場合には、データの収集や集計において何かしらのミスが起きている可能性があり注意が必要です。

身近なクロス集計例

クロス集計は、実生活の中のどのようなシーンで登場しているのでしょうか。ニュース・メディアにおいて、さまざまな企業や行政が発表する調査の結果を目にすることも多いかと思いますが、その中では「男女別」「年代別」「未既婚別」「子どもの有無別」「地域別」「職業別」など、さまざまな分析軸でクロス集計を行った結果が使われています。ご家庭で家計簿をつけているという方では、「月別」で収支を確認したり、「費目別」で支出を確認したり、といったクロス集計を日常的に行っているかもしれません。また、経営に関連するものであれば、「支店別」の売上高、「商品別」の販売数、といった数字を目にすることがあると思います。「xx別」という単語が間に入っていたらクロス集計、というくらい、クロス集計は身近なものであることがわかります。

クロス集計のメリット

・アンケート調査の結果をわかりやすく可視化できる
クロス集計は数値の意味がわかりやすく、比較がしやすいため、統計に詳しくない人でもわかりやすいのが大きなメリットです。またグラフへの加工も簡単で、クロス集計表と併せてグラフを活用することで、企画書やプレゼンテーションの説得力が増します。

・ツールで簡単にできる
ローデータがあれば、エクセルの「ピボットテーブル」機能を使って簡単にクロス集計表を作成することができます。もちろん、RやSPSSといった統計用ソフトでも可能です。

【エクセルの「ピボットテーブル」によるクロス集計表の作成手順】
① データの範囲を指定し、「挿入」→「ピボットテーブル」を選択します
② データの範囲を確認し、「ok」を選択します
③ 表頭にしたい項目を「列ラベル」、表側にしたい項目を「行ラベル」を、それぞれドラッグ&ドロップします。「値」には集計対象となる項目をドラッグ&ドロップします。ここでは、「KEY」を指定します
④ 値フィールドの設定で、「データの個数」を選択します

図5.エクセル「ピボットテーブル」の操作方法

エクセルのピボット機能を使用して、ローデータからクロス集計表を作る方法を4ステップで説明

クロス集計の注意点

より細分化した分析軸で結果を見ようとしていくと、標本サイズ(n)が小さくなり、分析に耐えられなくなる場合があるため、注意が必要です。そのようなことにならないように、分析軸はアンケート調査を行う前に予め検討し、十分な標本サイズ(n)が確保できるように回収数を設計しましょう。なお、一般的に標本サイズ(n)は30以上が推奨されています。

クロス集計を使った事例

最後に、クロス集計のイメージをつかんでいただくために、事例をご紹介します。

○課題:
スマートフォンのアクセサリーを扱うネット通販会社のA社では、ヒット商品であるモバイルバッテリーへの依存度が高く、直近で何度か発売した新商品からはヒットが生まれませんでした。新商品の上市は、今までは経験と勘によって意思決定されていましたが、今回は上市前にマーケティングリサーチを行い、開発や販促に活かすことが決まりました。

○調査:
スマートフォン利用者を対象にWebアンケートを行い、「新商品」と「ヒット商品(旧商品)」のLP(ランディングページ)を提示し、それぞれの購入意向を中心に聴取しました。

○分析:
「新商品」と「旧商品」、それぞれの購入意向の結果は以下のようになりました。

図6.新商品、旧商品それぞれの購入意向

属性:新商品、旧商品それぞれの購入意向

会社の看板である旧商品の人気は高く、新商品より高い数値となりました。商品企画部門は気落ちしましたが、マーケティング部門は「もしこの数字通りに販売できるなら、充分次の看板商品になり得る」と判断しました。そして、どの層をターゲットに訴求すればより確実に販売できるのか、さらに分析することになりました。

そこで、現在保有しているスマートフォンの機種別に購入意向を見てみると、ちょうど2カ月前に発売された機種B保有者の購入意向が顕著に高いことも明らかになりました。

図7.新商品の購入意向(保有機種別)

保有機種を軸に新商品の購入意向を分析した結果

○活用:機種B所有者への販促を厚めに設定
その後、社内外の機種B所有者やメーカー、販売店へのヒアリングにより、新商品が機種Bにつなぐことで一体化するデザインであることが評価の要因であることが判明しました。そこで、宣材写真やキャッチコピーなど、機種B所有者に思い切って絞ってアピールすることを決めました。さらに、第2段として人気の機種Aに合うデザインに一部改変して発売することも決まりました。

○振り返り:リサーチを継続的に実施意向
今回の過程でマーケティングリサーチの重要性を感じたA社では、今後も継続して行っていくことを確認しました。同じ質問を継続的に行うことで、変化を捉えることもできそうです。

※解説に使用しているデータ、図版はダミーのものです