マーケティング用語集
OTT(オーティーティー)
OTTとは、「Over The Top」の略称で、インターネット回線を通じて動画や音声、メッセージなどのコンテンツを配信するサービスの総称です。日本語では特定の訳語はなく、そのまま「オーバー・ザ・トップ」と呼ばれます。
OTTは、通信事業者(キャリア)が敷設したインターネットインフラを「飛び越えて(Over The Top)」、コンテンツ事業者が直接ユーザーにサービスを届けるという仕組みに由来します。高速インターネット回線の普及やスマートフォンの登場により、消費者が時間や場所にとらわれずにコンテンツを楽しむライフスタイルが定着したことで、市場が急速に拡大しました。
関連業界・文脈での位置づけ
OTTは特定のサービス名ではなく、サービスの「形態」を指す言葉です。そのため、動画配信だけでなく、音声配信やメッセージングアプリなど、幅広いサービスがOTTに含まれます。
- 動画配信サービス: YouTube, Netflix, Amazon Prime Video, TVer など
- 音声配信サービス: Spotify, Apple Music, radiko など
- メッセージング・通話サービス: LINE, Skype, WhatsApp など
BtoBマーケティングの文脈では、特にYouTubeやTVerに代表される「OTT広告(動画広告)」のプラットフォームとして注目されています。
OTTと混同しやすい用語との違い
OTTは、VODやCTVといった関連用語と混同されがちです。これらはコンテンツ配信における「配信形態」「視聴方法」「視聴デバイス」という異なる側面を指す言葉であり、それぞれの違いを理解することが重要です。
OTT (Over The Top)
・対象:コンテンツの配信形態(インターネット経由で配信されるサービス全般)
・時間軸:- (概念のため特定しない)
・適したビジネス:動画・音声配信、メッセージングなど、インターネット上でコンテンツを提供する全てのビジネス
VOD (Video On Demand)
・対象:コンテンツの視聴方法(視聴者が好きな時に好きな作品を選んで視聴する形態)
・時間軸:視聴者が選択した任意の時間
・適したビジネス:映画・ドラマ・アニメなどの見放題・レンタルサービス(例:Netflix)
CTV (Connected TV)
・対象:コンテンツを視聴するデバイス(インターネットに接続されたテレビ端末)
・時間軸:- (デバイスのため特定しない)
・適したビジネス:テレビデバイス向けアプリ、大画面での視聴体験を重視する広告ビジネス(例:スマートTV、Amazon Fire TV Stick)
つまり、「OTTという配信形態のサービスを、VODという視聴方法で、CTVというデバイスで楽しむ」といった関係性になります。
マーケティングにおけるOTTの活用
OTT市場の拡大に伴い、マーケティング手法としての「OTT広告」の重要性が高まっています。従来のテレビCMにはないメリットを活かすことで、より効果的な広告展開が可能です。
精緻なターゲティングによる広告配信
OTT広告は、Web広告と同様に、ユーザーの属性(年齢・性別など)や興味関心、視聴履歴といったデータに基づいた精緻なターゲティングが可能です。これにより、自社の製品やサービスに関心を持つ可能性が高い潜在顧客層へ、無駄なく広告を届けることができます。例えば、「過去に特定のジャンルの動画を視聴したユーザー」や「特定の地域に住む30代女性」といったセグメントに絞って広告を配信することで、広告費用の最適化とコンバージョン率の向上が期待できます。
テレビCMでは届かない層へのリーチ
近年、特に若年層を中心に、地上波のテレビ放送をリアルタイムで視聴しない「テレビ離れ」が指摘されています。OTT広告は、こうしたテレビCMではアプローチが難しかった層にリーチするための有効な手段です。スマートフォンやコネクテッドTVで動画コンテンツを視聴するユーザーに広告を配信することで、新たな顧客層の開拓につながります。実際に、テレビCMの予算の一部をOTT広告に再配分し、キャンペーン全体のリーチを最大化するメディアプランニングも一般的になっています。
データに基づいた効果測定と改善
OTT広告は、広告が最後まで視聴された割合を示す「完全視聴率」や、広告経由のWebサイト訪問数、コンバージョン数など、広告効果を定量的に測定できる点が大きな強みです。従来のテレビCMでは難しかった詳細な効果測定が可能になるため、データに基づいたPDCAサイクルを回しやすくなります。どのクリエイティブが高い効果を上げたのか、どのようなターゲット層で視聴完了率が高いのかを分析し、次回の広告配信の改善に活かすことができます。
まとめ
OTTは、単なる技術トレンドではなく、人々のコンテンツ消費行動を根本から変えた社会インフラと言えます。マーケターにとっては、従来のマス広告では捉えきれなかった顧客層と新たな接点を生み出すための重要なチャネルです。
OTT広告の特性を正しく理解し、自社のマーケティング戦略に組み込むことで、より効果的で効率的な顧客コミュニケーションを実現できます。
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