マーケティング用語集
ソーシャルリスニング(Social Listening)
ソーシャルリスニングとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS、ブログ、レビューサイトといったソーシャルメディア上に投稿される消費者の「生の声(VoC: Voice of Customer)」を収集・分析し、マーケティング活動に活かす手法のことです。日本語では「傾聴」と訳されることもあります。
消費者の購買行動において、口コミやレビュー(UGC: User Generated Content)の影響力が非常に大きくなった現代において、ソーシャルリスニングは欠かせないマーケティング活動の一つです。従来のアンケート調査では捉えきれなかった、顧客の潜在的なニーズやインサイトを発見し、商品開発やブランド戦略、顧客とのコミュニケーションを改善するための重要なヒントを得ることができます。
ソーシャルリスニングとソーシャルモニタリングの違い
ソーシャルリスニングは、しばしば「ソーシャルモニタリング」と混同されますが、その目的と時間軸に大きな違いがあります。
■ ソーシャルリスニング
・目的:未来に向けた「攻め」の活動。顧客インサイトの発見、商品開発のヒント探索、新たなマーケティング機会の創出、需要予測などを目的とします。
・時間軸:中長期的・戦略的。過去から現在までの広範なデータを分析し、将来の戦略立案に活かします。
・分析対象:特定のキーワードだけでなく、業界トレンドや消費者のライフスタイルなど、より広い範囲の会話を分析します。
■ ソーシャルモニタリング
・目的:現在や過去に対する「守り」の活動。自社に関するネガティブな投稿の早期発見(炎上検知)、評判管理、顧客からの問い合わせへの対応などを目的とします。
・時間軸:短期的・戦術的。リアルタイムでの監視が中心となります。
・分析対象:自社ブランド名や商品名、キャンペーン名など、特定のキーワードに絞って投稿を監視します。
ソーシャルリスニングの活用ステップと主な活用シーン
ソーシャルリスニングを効果的に実践するためには、目的を明確にした上で計画的に進めることが重要です。ここでは、基本的な4つのステップと、それによって可能になる主な活用シーンを解説します。
ステップ1:目的の明確化
ソーシャルリスニングを始める前に、「何を知りたいのか」「分析結果を何に活かしたいのか」という目的を具体的に設定することが最も重要です。「新商品の評判を把握したい」「次のキャンペーン企画のヒントを探したい」「競合製品と比較した際の自社の強み・弱みを明らかにしたい」など、目的が明確であるほど、その後のキーワード選定や分析の精度が高まります。
ステップ2:キーワードの選定とデータ収集
目的に合わせて、分析対象となるキーワードを選定します。自社のブランド名や商品名だけでなく、「商品カテゴリ名 × 悩み(例:化粧水 乾燥肌)」「利用シーン(例:プレゼント コスメ)」「競合製品名」など、多角的なキーワードを設定することで、より深いインサイトを得られます。キーワードが決まったら、専用のツールなどを用いてソーシャルメディア上のデータを収集します。
ステップ3:データの分析
収集した膨大なテキストデータから、有益な知見を抽出します。主な分析手法には、投稿内容が肯定的か否定的かを判断する「ポジネガ分析」、特定のキーワードと一緒に出現しやすい言葉を可視化する「共起語分析(アソシエーション分析)」、話題量の推移を時系列で追う「時系列分析」などがあります。これらの分析を通じて、消費者の感情やニーズの背景にある文脈を読み解きます。
ステップ4:施策への活用(アクション)
分析して終わりではなく、得られたインサイトを具体的なアクションに繋げることが最終的なゴールです。以下のような様々なシーンで活用することができます。
・商品・サービスの改善点の発見(顧客の不満や要望を開発部門へフィードバック)
・新たな顧客ニーズの探索(次のヒット商品のヒントを発見)
・ブランドイメージ・評判の把握(自社ブランドがどのように認識されているか定点観測)
・競合他社の動向分析(競合の新施策に対する消費者の反応を把握)
・キャンペーンの効果測定(施策がターゲットに響いているかUGCの量や内容で評価)
・炎上リスクの早期検知(ネガティブな話題の兆候をいち早く察知し対応)
まとめ
ソーシャルリスニングは、ソーシャルメディアという広大な海に散らばる顧客の「本音」を拾い上げ、ビジネス成長の羅針盤とするための強力なマーケティング手法です。単にデータを収集・分析するだけでなく、そこから得られたインサイトを具体的なアクションに結びつけ、継続的にPDCAサイクルを回していくことが成功の鍵となります。顧客理解を深め、より良い製品やサービスを提供するために、ソーシャルリスニングの活用は不可欠です。
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